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寄り道

最近、思い出した話を一つ。

それは大昔、川崎市内の住宅街の小学校に通っていた時のこと。
小学校の登下校の「道」というのは常に同じ方向で、ほぼ同じ「道」なのは当たり前のことだ。

しかし当時の私は「もしも真逆の方向に行ったら、家にはちゃんと帰れるのだろうか?」という疑問を、何年間か持っていたのだった。 

校門を出て、家へ帰る「道」は右に行かなければならないが、左に見えるちょっと怖そうなあの竹藪の「道」の、その向こうがどうなっているのか気になって気になって。「あっちに行ったら、何があるのだろう?あっちに行っても、家に帰れるのかな?」と、常に思っていた。

あれは5年生の時だっただろうか、遂にある土曜日、真逆の道に行った。なんせ未知なる世界への「探検」だったので、地図なんかも必要ない。

ただ方向感覚だけを頼りに、出発した。しかし「帰ってみせる」という、意志の力なのだろうか。見事なもので、時間は相当かかったが、ちゃんと家にはたどり着いた。

まず、その道の入り口は暗い竹藪で、少し行くと徐々に坂になる。その坂を上っていくと丘になって、そのまま歩いて行くとその丘の頂上に到達した。

するとそこから見下ろす町が、今まで見たことのない町で「こんな所にも、違う街があるんだ!」と、とても驚いたことを今でも覚えている。

それは本当に別世界で、見たこともない世界とのその出会いが新鮮過ぎて、あの時の感覚は今でも忘れられない。少しでもあの時のことを思い出すと、最高にワクワク・ドキドキした感覚が鮮やかに再現されるほどだ。

この鮮やかな「達成感」を伴う思い出は、一生忘れることができない。


やっと家にたどり着いて、母親にそのことを言うと、不思議なことにあまり怒られなかった。まぁ、ちゃんと帰ってきたしね。せいぜい「もう行っちゃだめよ。」とは、言われたと思う。 

実はその後もその道が気になって、私を常に誘惑したが、今度はもしかして迷うかもしれないと思い、もう行くことはなかった。

寄り道、裏道、回り道「好き」なのは、この時の感覚が影響を及ぼしているのかもしれない。

ふと立ち止まって寄り道したり、真逆のことを選択することも、ありだと思う。

もしかして、全然期待もしなかった感動に、出会えるかもしれないしね♪

拙い文章を読んで頂いて、ありがとうございました。 できればいつか、各国・各地域の地理を中心とした歴史をわかりやすく「絵本」に表現したい!と思ってます。皆さんのご支援は、絵本のステキな1ページとなるでしょう。ありがとうございます♡