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キツネはコンコン、夜はしんしん

 ネコのような、イヌのような動物が走ってきて、荒ゴミ置き場の所で立ち止まる。こっちを見た。ネコというよりは大きく、体型が違う。イヌというよりはしっぽが大きい。しっぽが大きく毛がふさふさの犬種とも違い、しっぽだけがやけに大きい。体は向こうへ行こうとして、顔だけこっちに向けた。三角の顔で、まさにキツネ。おおっ、と携帯のカメラをかまえている間に向こうへ逃げていった。
 キツネがこんなところにいる。
 子どもの頃、田舎では何度かキツネを見ているので、見間違うことはない。

 キツネは「コンコン」と鳴くといわれているが、youtubeの動画を見るとコンコンではない。自分自身も実際にキツネの声を聞いたことがない。キツネには、いろんな鳴き声があるなかで、コンコンに近い鳴き声もあるそうだ。

 イヌを「ワンワン」、ネコを「ニャー」と書くのと同じで、そういう擬音語が共通認識されてきた。実際のイヌは「わんわん」とは鳴かない。ネコも「にゃあ」ではない。日本人の耳にはそう聞こえる。「ワンワン」「ニャー」という言葉を親や先生の口を通して聞き、絵本の文字で読んで、擬音語が頭に入り込んでしまう。
 くしゃみにしても、「ハクション」という擬音語が頭にあるので、人は、くしゃみが出そうになると、ワザと「ハックション」と声を出してしまう。本当のくしゃみは「ハクション」なんてはっきりした「声」にはならない。

 一言も声を発しなかったキツネの消えた夜の道。
 夜はしんしんと更けていく。


 さて、六甲山麓に、他にはどんなほ乳類がいるのだろう。
 神戸と言えばイノシシが有名だ。山の方の街ではイノシシが平気で歩いている。うり坊が走っているのも見た。神戸にはいのししが多い。神戸市ではイノシシにエサをやらないという条例もある。エサをやる人がいるから、イノシシはどんどん町の方へ降りてくる。

 ここらにはタヌキもいる。朝、早い時間に車を走らせていると、車にはねられたタヌキがよくいた。タヌキは「タヌキ寝入り」をする。敵に襲われた時、死んだふりをする。敵が、あれっ、と思ってきょとんとしたスキに逃げる。野生の動物や人間には通用する作戦だが、走ってくる車には通用しない。車が近づいたら、死んだふりをする。それが生き延びるためのタヌキの本能。その本能が車には通用しない。

 サルも見たけど、ここらで見るのはひとりザル。
 ニホンザルのオスは、大人になると武者修行の旅に出る。ボスになるために腕力をつけるための旅なので、戦闘態勢になって旅している。だから独りザルには注意しなければ攻撃される。

 ウサギとリスも見た。ニホンリスは、とても小さく、最初は大きなネズミかと思った。体長16~22㎝だそうだ。ふさふさとしたしっぽがなかったら、本当にドブネズミのような大きさだ。
 まだまだ神戸にどんな動物がいるのだろうか。
 外来のアライグマもいる。アライグマは六甲山にもたくさんいるらしい。アナグマやイタチもいるそうだが、まだ実物は見ていない。


 自然がどんどんなくなっているけれども、ちょっと目を広げると、周りには自然がたくさん残っており、ほ乳類のような大型の動物もいる。
 自然を大切にし、動物たちと共存できる社会が続けばいいなあ。

 そのために我々は何ができるのだろう。

  


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