見出し画像

教員の働き方、教師に未来はあるのか

 ヤフーニュースに「教員の働き方の悩みにカズレーザーがバッサリ」という記事が出ていた。


 教員の働き方の現状を改善するには、文部科学省が「どこまでを教員の業務とするか」を決めなければならない、という内容。
 はあっ、これのどこが「ニュース」なんだろう。元記事がBuzzFeedJapanだから、ネットで見られそうな「カズレーザー」という名前を出したのだろう。記事はどうでもいいものだけど、私の関心はヤフーコメントだ。「教員の働き方」についてのコメントを読むとおもしろい。今の段階で461件あるコメントを見た。(AIが私用に選んだ最初の方のコメントばかりだけど……以下のコメントは文意を変えないようにして、かなり省略している)
 

・小学校は完全教科担任制は向かないと思う。担任が授業と子どものことだけ見られるようにすればかなり負担減かと思う。
・教科別担任にして、生活、教科、保健それぞれに専任のHR担任を置く。先生の数は3倍くらいになるが、教科担任制ならパートタイム可能。どうせ増税してカネをかけるなら、こういうことにかけてほしい。

 なるほどなるほど。中学校のような教科制は小学校では無理という意見。中学校も含めて、HRまで担当の担任を置けという意見。どっちもなるほどと思える。
 ところがこんな意見もある。

・学校の授業はオンデマンドにしたり、塾の先生に授業をやらせ、学校の先生はその授業を見守る役目をすればいい。学校には友だちと遊ぶために行っているので、勉強に行ってるつもりはなかった。

 よっぽどいい先生に恵まれなかった人なのだろう。義務教育九年間で一人もいい先生がいなかった(見つけられなかった)のは不幸だ。こういう人は私立の学校へ行けばよい。でも、私立の学校は退学があるので、結局は公立の学校に来ることになりそうだ。論外の意見。でも、こんな意見があるのも現実。

 全教科を教える(図工や音楽の専科以外)小学校の先生は大変で、休み時間もないけれど、全体を見ているから子どもの指導が出来る。パート勤務ではない。
 会社で仕事をしていて、パートでちょこっとやって来る上司の指示を、どの社員が聞くのだ。ある程度の時間のふれあいが必要だ。監視カメラのAIではない。教師は親の立場になって子どもをみなければならないが、親(や外部のコメンテーター)も教師の立場になって考えてほしい。

 塾がどれだけのものと思っているのだろう。テレビに出るカリスマ塾講師だけではない。犯罪者スレスレの塾の先生はたくさんいる。塾にもピンからキリまである。逆に、教師も犯罪者だけニュースになるが、尾木ママのような教師もいるし(昔は本当に真面目な文章を書いていた)、がんばっている教師は、犯罪者の何倍もいる。そんな人は、いそがしくてマスコミに出ることもないだろう。

 コメントを続ける。

・なんでこんなにひどい環境なのに、正規の教員になるのがこんなに厳しいんだろう。教員に求めることは多いのに、人数を増やそうとしない。仕事でいっぱいいっぱいだから不祥事も起きるし、イジメの対応もずさんになる。仕事が増えるなら人も増やさなきゃ意味ない。
・あれもこれも義務教育のうちに教えようとしている。授業の資料も問題用紙も作成し、丸つけもする。生徒間の問題や、部活動の顧問、引率、修学旅行や課外授業もついて行く。仕事は増えるに決まっている。外部委託にすればよい。
・三十年以上前、小学校の新人教員の頃、全教科教え、休み時間は子どもと校庭で遊び、チャイムとともに息を切らせて授業を再開。気がつけば朝から立ちっぱなし。給食の時間は、宿題や日記の丸付け。丸付けしないと次の宿題が出せない。当時は土曜日も授業。常に子どものノートは家に持ち帰っていた。この仕事は、一生懸命すればいくらでも仕事があるし、手を抜こうとすればそれもできると、ベテランの先生から言われた。

 元教員の方のコメントの通り。一生懸命すれば時間が足りないし、手を抜くこともできる。子育てと一緒。学校だけが特別ではなく、子育てだって同じだろう。今はネグレクトの親が増えている。手を抜きすぎている。昔はそんな家には祖父母もいたし、隣近所もいた。
 学校にもOJTなんて言わなくてもアドバイスをくれるベテランの先生がいた。今は余裕がない。給料もない。仕事を持ち帰れないので(個人情報の関係で)、勤務時間内に仕事を終えなければならない。余裕がない。そんな職場を考えてみてほしい。

・企業から求められるスキルが高度になり、短期間で教育効果をあげることが求められる。
・残業代をちゃんと出せばいい。現状の不満の大部分は、生徒のために何かしてもお金が出ないというところ。
・教育委員会は自分が教えないから、現場のことを理解せずにいろいろ決めてしまうのでは。

 教師がマスコミからさんざんたたかれ、ブラック企業だと言われれば誰も就職しようと思わない。せめて給料がよければ志のある人は集まる。


 教育委員会や管理職も、並べてきたような意見の全てを聞いて、どこからも不満の出ないようにしようとするから、結局何がやりたいのかわからないような指示が出る。みんなの意見を聞いていたら何もできない。ズバッとやるべきことはやり、切るところは切らなければならない。
 ところが、我が子の言うことならなんでも聞く、聞かないまでも考えてしまうのが親。教師もそれと同じで子どものことなら全て考えてしまう。次のコメントが全てのように思う。

・放課後、「先生、教えてください」ときた生徒に、「定時だからごめん」と言えるか。部活後、「もっと練習したい」と言ってきた部員に、「時間外だからもうだめ」と言えるか。外部から連絡があり、「子どもが悪さしているから指導してくれ」と言われ、「時間外だから無理です」とも言えない。明日に持ち越せない仕事が入ることもある。教員のやりがいや優しさの搾取と言われようとも割り切れない。未来ある子どもが相手だから。とある高校教師のつぶやき。

 コメントを並べたので、ちょっと文章が長くなってしまった。
 子どものことを親と一緒になり必死で考えている教師の思いにも少しは寄り添った意見をニュース内のコメントにも出してほしいというのが、ささやかな願いだ。
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?