企業がデジタルトランスフォーメーションに失敗する理由 ゴール設定を誤っている

いつもの記事と毛色が変わりますが、今日はデジタルトランスフォーメーションのお話です。

デジタルトランスフォーメーションや、新規事業開発を至上命題に進める企業が昨今増えています。
今後、日本既存市場が縮小することは明確なので、新しい道を見つける必要がある。
しかしながら、残念ながらうまくいっていないケースのほうが多いのではないでしょうか。
その理由を考えてみたいと思います。

今回は、ゴール設定 について考えたい
具体的には、時間軸と、ゴールの方向、の2つについて記載します。

時間軸のゴール

もしかして、サービスをリリースすることが、新規事業開発担当のゴールとなっていて、
リリース後にユーザーを見つける、一般顧客に売り込むことは、マーケティング担当のゴールとなっていないでしょうか。
もしそうなっているとしたら(役割が分割されているとしたら)それが、成功しない理由の1つです。

事業開発には、大きく分けても以下1から3のステップがありますが。この2をゴールとしてしまっている企業が多いのではないでしょうか。
3までどうすすめるか、これをイメージし、構想し、遂行しないことには、収益化はあり得ません。
1 新規事業の開発の種(誰を、どう幸せにするのか)を見出す段階
2 その種をもとに、最小限のサイズの商品をリリースし、市場に出す段階
3 市場に出してから、お客さんの声を反映しながら、サービスの方向転換や磨きこみをする段階
コーチングメソッドではありませんが、自分が至りたいゴールを明確にイメージし、そこまでの道筋を描くことが重要です。

知人の新規事業開発担当者と話していてよく聞こえてくるのは、
「サービスリリースまでは予算がつまれているが、リリース後の改善はほとんど予算がない」というケース。
新規事業開発はそもそも未知の領域に踏み出す試みであるにもかかわらず、
第一歩でしっかりと顧客ニーズを捕まえたサービスを生み出せるとお考えでしょうか。
今では有名なYoutubeでさえ、最初は「デート相手を見つける用のPR動画サービス」から始まっていますし、
Instagramは、「位置情報共有サービス」から始まりました。
これらの事例からも、第一歩でニーズを捕まえることは難しいのがわかります。

リリース=ゴールではなく、ビジネスとしての成功までを見据えた、リソースと、ゴール設計が必要です。

ゴールの方向

新規事業開発の方法論には、さまざまなものがあります。
顧客開発、デザイン思考、デザインスプリント、アジャイル開発、プロダクトレッドグロース・・・
いずれの方法論にも共通している点があります。それは「顧客を見ること」。

このサービスを開発することによって、「誰を」「どう」幸せにするのか。ということ。
このビジョンにコミットするプロダクトマネージャーが、顧客インタビューでファクトを集め、それを根拠に推進していくのが新規事業だと思うのです。

しかしながら、結構多いのが、「社内を見る」「競合を見る」という視点。

A取締役が、「この機能のほうがいいといった」という鶴の一声。
類似サービスを提供しているB社が、ある機能を拡張させたから、うちも追随するべきだ、という考え。
これらは、顧客を見ていません。しかし、このような力学がまかり通ってはいないでしょうか。

A取締は、既存事業の経験が豊富で、これまで成功してきたかもしれませんが、新規事業開発経験は豊富ではない。
その方の意見を聞くことで、事業の成功率を上げられるのか。

また、類似サービスの真似をして実装された機能が、ふたを開けるとあまり使われなかったということは数多くある。

限りある資源を、よけいなことに消費せず、顧客のために、どうあるべきか ただその1点を考え抜いてサービスを作ることが必要だと思うのです。

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