企業がデジタルトランスフォーメーションに失敗する理由 盲点をケアできていない

デジタルトランスフォーメーションや、新規事業開発を至上命題に進める企業が昨今増えています。
今後、日本既存市場が縮小することは明確なので、新しい道を見つける必要がある。
しかしながら、残念ながらうまくいっていないケースのほうが多いのではないでしょうか。
その理由を考えてみたいと思います。

変化を起こす際に考慮すべき4象限のうち2象限しか見えていない

ケンウィルバーの4象限を引用して考えてみたいと思います。

デジタルトランスフォーメーションにも使えるケン・ウィルバーの4象限


組織には、組織-個人の2極 外面(システムなど)内面(心境など)の2極がクロスされた4象限があります。
例えば、新しいシステムや、新しい人事制度は右下の象限に。
個人が身に着けるスキルは右上の象限に。
個人がどんな感情を抱いて仕事をしているかは左上の象限に。
組織間での見解の違いは左下の象限になります。

何らか変化を起こす際には、この4象限に、盲点なく、バランスよく対策を仕込むことによって、変化の成功率が上がると考えます。
しかしながら、企業がデジタルトランスフォーメーションや新しいサービス開発、システム導入を行うとき、現場社員の心理状態はケアされているでしょうか。
「私は既存事業でこれまでノウハウを身に着けてきた。どこの馬の骨が考えたかわからない、新しいアイデアに乗るよりも、これまで私が培った成功法則にのっとり、既存事業に力を入れたほうがよいはずだ」
といった思いを、聞き取り、成仏させてあげる試みを、社内でどなたかしてきたでしょうか。

その人の気持ちになり、その人と対話をし、お互いの理解を深める。
これによって、古い仕組みにこだわっていた(とらわれていた)人を、新しい仕組み側に導くことが可能となる。

対話の重要性について、詳しくは以下書籍が参考になります。

しかし、この「対話」という領域、どちらかというと、組織開発・人事開発コンサルタントの領域であり、システムやマーケティングコンサルタントは提供できないサービス領域。

そういった背景もおそらくあって、新しいシステムやサービスの構築と、
対話や組織間の相互理解が同時に進むことは多くはない。

これが、デジタルトランスフォーメーションがうまくいかない一つであると思うのです。

デジタルトランスフォーメーション・新規事業開発を推進されている方は、ぜひ、頭の片隅にケン・ウィルバーの4象限を置いていただき、何か障壁にぶつかった際には思い出していただけると、新しい解決方法が見つかるかもしれません。

私自身が、過去、(新規事業開発ではありませんが)新商品開発を受け持ったことがありました。その時、私は、右側象限だけを推進し、左側、組織やメンバーの納得感を大切にしてこなかった。その時、ウィルバーの4象限を知っていたならば、結果は違っていたかもしれないと思い、この記事を書かせていただきました。


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