羽藤ゼミ4期生の卒業論文 (2020年度:マーケティング、消費者行動)
流通科学大学羽藤ゼミ4期生の卒業論文をnoteにて公開します。論文は4本、それぞれ(1) 安室透 (名探偵コナン) の人気を生み出す要因について、(2)Instagramの通常投稿とストーリーの使い分けについて、(3)電子書籍と紙書籍の使い分けについて、(4)Uber Eatsについてです。不十分な点もありますが、学生らしい視点や考察等、面白い点も多々あります。社会人の方や大学生・高校生の参考・気づきになればと思い公開します。今年はコロナの影響もあり、対面での講義が前期の間できず、さらに初めての論文執筆ということもあり、モチベーションの維持や必要な文献収集も大変でした。そんななか書いた論文、皆さんの参考になれば嬉しく思います。(最終版完成順)
木下碧泉「なぜ安室透はコナンよりも人気があるのか」
はじめに
第1章 名探偵コナン
第2章 安室透
第3章 安室透が人気な理由
おわりに
参考文献
名探偵コナンシリーズは子供から大人まで多くの人から愛されている人気作品である。20年以上も続く長寿作品であるが、2010年後半から急激に人気が高まってきた。とくに私が注目したのは、2012年に名探偵コナンの原作で登場した安室透が2018年の劇場版「ゼロの執行人」で人気が急上昇し、「小学館DIMEトレンド大賞2018」で初のベストキャラクター賞を受賞したという点である。本稿の目的は、なぜ彼がそこまでの人気キャラクターになったのかを明らかにすることである。
本稿では安室透というキャラクターに焦点を当て、安室透がなぜ人気なのかという点についてその特徴をマーケティング的な視点から検討した。さらに、時系列的に安室透の作品内でのポジションがどう変化していったのかを調べた。結果、人気の要因を5点見つけることができた。まずキャラクターとしての魅力が4点、(1) 爽やかイケメン、(2) 特技の多さ、(3) ミステリアスさ、(4) 彼が発する魅力的な台詞とその声質が挙げられる。そして、(5) 2018年の劇場版「ゼロの執行人」で安室透がメインキャラクターとして扱われたこと、その時期に行われたさまざまなプロモーションを通じて人気が上昇したことが分かった。とりわけ5点目は重要で、安室透の人気は小学館によるプロモーション戦略に支えられた結果ともとれる。この戦略がなければ安室透のファンは増加しなかったし、「小学館DIMEトレンド大賞2018」でキャラクター賞を受賞するほどの人気にはならなかっただろう。
平野早紀「女子大学生の生活とInstagramの利用についての研究」
はじめに
第1章 SNS
第2章Instagram
第3章 インタビュー
第4章 分析
おわりに
参考文献
スマートフォンの普及により、インターネットの利用がより身近となった。すべての世代において、インターネットの利用率は年々増加している。その中でも10~20代がSNSに費やす時間がほかの世代よりも圧倒的に高く、特に女性でその傾向が顕著に表れている。さらに、数多くあるSNSの中でもInstagramは女子大学生から、圧倒的な支持を得ており、インスタ映えという言葉は女子大学生を表現する言葉にもなっているだろう。このようにInstagramは女子大学生の生活の一部となり、必要不可欠なツールとして利用されている。本稿では、さまざまな機能を兼ね備えているInstagramで、女子大学生がその機能をどのように使い分け、発信を行っているのかについて理解を深めたい。
以上の目的を果たすため、女子大学生がInstagramの通常投稿やストーリーズで投稿する動機をインタビューやアンケート結果をもとに考察した。インタビューでは2人の女子大学生に、「どういった場面で投稿するか」「投稿の気軽さはどうか」という点を聞いた。結果、女子大学生は主に、通常投稿では非日常的な出来事を投稿し、ストーリーズでは日常的な出来事を気軽に投稿しているということがわかった。この結果を一般化するため、女子大学生にアンケート調査を行った。アンケート調査では、インタビュー結果を参考にInstagramへの投稿動機についての質問を行った。そして、女子大学生がInstagramに投稿する動機を抽出するため、探索的因子分析を行った。さらに、この探索的因子分析から「非日常」「日常」「芸能人」の3つの要因が通常投稿とストーリーズに影響を及ぼすという2つの仮説を立て、これらを重回帰分析によって検証した。その結果、通常投稿はポートフォリオのような特徴があるが、非日常的な出来事よりも、日常的な出来事を投稿する傾向が高いことがわかった。また、ストーリーズは気軽に投稿できるという特徴があるにもかかわらず、日常的な出来事よりも非日常的な出来事を投稿する傾向が高いことがわかった。このことから、通常投稿にはいいねという評価機能があるため、インスタ映えする投稿が多いとみられたが、身近な出来事に共感してほしいという想いが強いため日常的な投稿が多い傾向にあると推察できる。それに対して、ストーリーズはいいねという評価機能がないため、着飾らない日常的な投稿が多いとみられたが、優越感に浸った投稿を気兼ねなくしたいという想いから非日常的な投稿が多くなっているのだと感じた。
中尾亮太「紙媒体の漫画はなぜいまでも買う人がいるのか」
はじめに
第1章 紙書籍と電子書籍
第2章 漫画とは
第3章 仮説
第4章 仮説検証
おわりに
近年、スマートフォンやタブレット端末などの電子機器が普及するなか電子書籍を読む消費者が増加し紙書籍を読む消費者が減少している傾向にあると感じた。電車内でも最近スマートフォンを見ている消費者が多く紙書籍を読んでいる消費者の姿を見ることが少なくなった。そこで、紙書籍が今なお売れているのはなぜかというところに疑問に思った。
私は、紙書籍と電子書籍を比較し、消費者がなぜメリットの多い電子書籍ではなく紙書籍を買うのかという点をアンケート調査で用いて分析した。紙書籍と電子書籍についてアンケート調査を実施し t 検定を行った。 アンケート調査では、「紙書籍派は電子書籍派より手触りを重視するのか」「紙書籍派は電子書籍派より読みやすさを重視するのか 」「電子書籍派は紙書籍派より値段を重視するのか」「紙書籍派は電子書籍派より付録を重視するのか」「電子書籍派は紙書籍派より量(持ち歩きやすさ)を重視するのか」という 5つの点について111人の方に回答してもらった。
その結果、電子書籍派は紙書籍派より量(持ち歩きやすさ)を重視するという点が特徴として見られた。また、現在ではまだ電子書籍より紙書籍を利用している消費者のほうが多いことが分かった。紙書籍の販売市場は年々減少傾向にあり電子書籍の販売市場が増加しているが、すべての消費者が電子書籍のみを購入することはない。紙書籍を利用する消費者は数少なくなるとは思うが紙書籍がなくなるということは考えにくいと思われる。
林和輝「なぜ日本ではUber Eatsが成功したのか」
はじめに
第1章 Uber Eatsとは
第2章 フードデリバリー市場について
第3章 店舗側の政策
第4章 配達について
第5章 消費者について
第6章 分析
第7章 今後のUber Eats
おわりに
フードデリバリーサービスは、昔から出前という言葉があるようにサービス自体は知っている人が多いだろう。しかし、実際に利用したことがある人はどれだけいるのだろうか、新型コロナウイルス感染症により自粛期間が始まった辺りから、駅前にある人気店やファーストフード店で宅配人らしき人をよく見かけるようになった。また、「デリバリーサービス始めました!!」という広告や看板を貼っている店舗も増えてきている。今回は、その中でも特にテレビやインターネット、SNSで話題になっているUber Eatsに注目した。
本稿では、Uber Eatsがなぜ日本で人気がでたのかを5フォース分析を用いて調べた。結果として、配達パートナーという今までになかった雇用形態が重要だったのではないかと考える。また、新型コロナウイルスによる外出自粛の動きもあり、フードデリバリー市場の追い風となったことも人気になったことの要因と言えるだろう。
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