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私がジェイソン・ステイサムに惹かれる理由

1.はじめに 

私はジェイソン・ステイサムという俳優が好きである。私がなぜ彼に惹かれるのか、今回はその理由を分析してみたい。

まず、ジェイソン・ステイサム(以下、ステイサム)という俳優について、映画.comを参考にどういった人物かを確認したい。ステイサムは、53歳のイギリスの映画俳優である。アクションをメインにハリウッドでも活躍している。俳優になる以前は、水泳飛び込みのイギリス代表選手として活躍、1992年の世界大会では12位となった。その後、リーバイスなどのモデルとして活躍した。98年、ガイ・リッチー初監督作「ロック、ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ」で映画デビューし、続く「スナッチ」(00)で主演を務める。リュック・ベッソン製作・脚本の「トランスポーター」(02)でアクションスターとして注目を集め、続編2作にも主演する。その後も「アドレナリン」(06)シリーズ、「メカニック」(11)シリーズなど数多のアクション映画に主演してその地位を確固たるものとし、大ヒット作「エクスペンダブルズ」(10)シリーズには第1作から、「ワイルド・スピード」シリーズには第6作「EURO MISSION」(13)から出演している。

2.ファン心理

何故ステイサムに惹かれるかをファン心理の構造から考えていく。関西大学大学院の小城(2006)によると、ファン心理とは、「作品の評価」「疑似恋愛感情」「外見的魅力」「同一視・類似性」「流行への同調」「ファン・コミュニケーション」「尊敬・憧れ」「流行への反発・独占」の8側面に分類される。また、 ファン行動については「情報収集」「熱狂行動」「作品の収集・鑑賞」「模倣行動」「宣伝行動」の5つに分類される。作品の評価や尊敬・憧れ といった感情は、すべてのファンにおいて高かったものの、特にスポーツ選手は顕著に高い値を示した。また、性別によるファン心理・ファン行動の比較とファン層の分類では、ファン対象に加えて、ファン自身の性別属性も加えて分析が行われた。その結果、疑似恋愛感情や外見的魅力について、異性がファン対象の場合により高くなったことに加え、特に女性のファン対象に対する男性ファンで顕著に高い傾向がみられた。このことから、ファン感情には性差がある。 

ファン心理やファン行動のパターンによって、ファン層をいくつかに分類できると考えられる。例えば、「作品を楽しむだけのライト・ファン層」 「異性のアイドルに擬似恋愛感情を抱き、本人に対して熱狂するバーチャル 恋愛・ファン層」「ミュージシャン本人に心酔し、憑依するディープ・ファン層」「プームに乗っただけのミーハー・ファン層」などである。 

まず、8側面に分類されるファン心理から考えていく(表1)。現時点でわかる当てはまらないものを洗い出す。私は女性で、ステイサムは男性であることから「同一視・類似性」、ステイサムはSNSを行なっていないことから「ファン・コミュニケーション」、独占より共感を求めているので「流行への反発・嫉妬」、これらの3つが当てはまらない。当てはまるのは、「作品の評価」、「擬似恋愛感情」、「外見的魅力」、「流行への同調」、「尊敬・憧れ」、の5つだと考えられる。「作品の評価」は、ステイサムが出演している映画は全て面白いと言う自論を持っているので当てはまる。演技力も抜群で闘うシーンではほんとに喧嘩が強そうなキレのある動き、多くの場面展開での表情の変化などから作品の評価は高いと言える。「擬似恋愛感情」は、年齢はかなり離れているものの、ステイサムの作品には女優を助けたり、濡れ場が多いことから、あると考えられる。「外見的魅力」は、筋骨隆々なところ、寡黙で堂々としていて男らしい、しかし、子供みたいな笑顔というギャップ、仕事や喧嘩ができる、スーツを着こなしており清潔感がある、綿密な作戦を練っている、また、決断力がかなりある場面が多いことから知性がある、女性を乱暴ながらも守ることから誠実さ、と言った数々の魅力が映画の場面から見て取れる。「流行への同調」は、私の周りにいる映画好きにはステイサムが好きと言う人はいなかったが、アクション映画を面白いと思った頃に調べたサイトには、ステイサムを推すようなものが多かったので同調している。「尊敬・憧れ」は、私の美意識では筋肉がある方が綺麗だと感じる、また、仕事ができる人がかっこいいと思うことから尊敬や憧れがある。これらのことから、「作品の評価」、「擬似恋愛感情」、「外見的魅力」、「流行への同調」、「尊敬・憧れ」、の5つである。 

ファン層の分類では、私は、ステイサム自身のプライベートや性格に強い興味はないことから、「作品を楽しむだけのライト・ファン層」である。 

他にたくさんのアクション俳優がいるにも関わらず何故ステイサムに惹かれるのか同じように筋骨隆々で人気のあるドウェイン・ジョンソン(以下 ジョンソン)と比較して考えていく。まず、好きではないので「擬似恋愛感情」、「同一視・類似性」、「流行への同調」、「尊敬・憧れ」、「流行への反発」は当てはまらない。「作品の評価」は、演技力はあり、作品自体も面白い。ステイサムが出演している映画と比べると、頭を使うようなものではなく、馬鹿力で苦難を乗り越えていくようなものが多い。「外見的魅力」は、筋肉は凄いが他は特になし。「ファン・コミュニケーション」は、インスタグラムで行っている。以上の違いを比較すると、擬似恋愛感情が特にステイサムの重要な点と考えられる。

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3.愛の三角理論

擬似恋愛感情に注目しステイサムを愛情という視点から検討したい。「愛は“親密性”(intimacy:親しさや結合、相手と繋がっているといった感情を愛情関係の中で経験することなどを含むもの)、“情熱”(passion:ロマンスや身体的魅力、性別な達成を引き起こすような動因を内包するもの)、“コミットメント”(commitment/decision:短い関係においては愛するという決定を、長期の関係においては愛を維持するような言質や約束などを含むもの)の3要素からなる。」という愛情の三角理論で考える(尾田2015)。

身体的魅力があると感じるので情熱はあるのかもしれないが、会ったこともないので親密性とコミットメントはない。このことから、8側面に分類されるファン心理における擬似恋愛感情が当てはまると考えたが、私にはそれが当てはまらないことがわかる。では、どういった要素が重要なのかを次に考えたい。

4.憧れ

私がステイサムに惹かれる理由として、異性の先輩に惹かれるような憧れというものが考えられる。異性に対する憧れを「ときめき」と捉えると、その「ときめき」感情は、「不満」、「平穏」、「動揺」、「幸福」、「強気」の5因子で構成されている。「ときめき」は不満感が少なく、幸福感や強気、平穏感といったポジティブな感情が多い。しかし、動揺感といったネガティブな感情も含まれる(浅井ら 2019)。

ステイサムが出演している映画をみると、ストーリーが面白いこと、戦う姿や女性を扱う姿がかっこいいことに幸福を感じる。アクションでの武器がなくても勝てるような強さがある役や大勢の敵に1人で向かって実際に勝つ場面を見ると自分も強くなったような強気を感じる。間抜けな役が時々あり、最初は負けてしまう場面が多いことから動揺を感じる。ステイサムが出ている映画は面白いという平穏などの感情を感じる。不満は特に感じたことはない。ポジティブな感情が多いことから、ステイサムに惹かれる理由は憧れであると考えられる。

こういったことから、擬似恋愛感情ではなく憧れでステイサムに惹かれている。

5.まとめ

 私がステイサムに惹かれる理由はファン心理から「擬似恋愛感情」か「憧れ」からだとわかる。しかし、愛の三角理論から「情熱」は当てはまるが、「親密性」や「コミットメント」には当てはまらないことから、「擬似恋愛感情」ではない。そして、憧れの異性に対する「ときめき」感情で、「平穏」、「動揺」、「幸福」、「強気」の感情が強く、「不満」の感情が弱いことから、ステイサムに惹かれるのは、異性に対する憧れからのものであった。

6.参考文献

・小城英子(2006)「ファン心理の構造⑶性別によるファン心理・ファン行動の比較と、ファン層分類」第64巻177〜195ページ
・尾田政臣(2015)「美しさ・魅力・好ましさ評定の項目間の関係」154ページ
・浅井雛代ら(2018)「女性の『ときめき』尺度の作成」第22巻9〜17

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