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Chicoが若者に選ばれる理由とは

1.はじめに

近年アパレルブランドのSNSを使っての購買促進活動を大いに見受けられる。特にフェミニンカジュアル系統に分類するLOWRYS FARM、chico、Heather、one after another NICE CLAUPなどトレンドのアイテムを手軽に購入できる10代後半から20代前半をターゲットにしたレディースアパレルブランドなどのInstagram(以下インスタ)の投稿は、おすすめに上がってくることが多数あることから、インスタのストーリーや、リールなどの機能を駆使して多くの顧客を手に入れているのではないだろうかと考えられる。

実際のところ、総務省の調査によると、インスタは年代別の利用率は以下の通りとなっており、10代、20代の約7割が利用しているソーシャルメディアとなっている。さらに、インスタはショッピング機能が活用されている。日本の利用者は、他国の3倍、ショッピングタグから商品の詳細を見ており、昨年と比較して、ショッピングタグが付いている投稿などから商品詳細を見た国内利用者の割合が65%も増加していると公表されている。以上のことから、インスタと国内のアパレル商品における購買行動とが密接な関係であることがわかった。そこで、今回はさまざまな似た系統のブランドがある中で、私自身も好む多くのユーザーにchico(以下チコ)が選ばれる理由について考えていきたい。

2.Chicoとは

チコとはASOKOやLatticeなどの大手株式会社パルが経営しており、ヴィンテージウェアーテイストをイメージのルーツとし、自分の中にある女性らしさを引きだし、自分らしく着こなすというそのような想いを表現したブランドである。主張しすぎない、淡い色や肌馴染みの良い色使い、そしてさりげないレースや透け感のあるアイテムの数々は、まるで、一人の女性のクローゼットに迷い込んだかのような親しみのあるブランドである。系列にはSALON by Chico(サロンバイチコ)というブランドがある。女性であることがもっと好きになる。そんなライフスタイルの提案がコンセプトである。さらに、ヘアサロン、ネイルサロン、コスメサロンなど、サロンのような空間、提案をかかげている。

年間購入者が948 万人にも及ぶ衣服中心に扱う大手オンライン通販サイトであるZOZOTOWN(以下ゾゾタウン)でもレディース部分のすべてのパンツカテゴリー108,593着中の10-18位まで総なめにしており、チコのダメージワイドデニムパンツは4,194億点中の総合ランキングで22位である。

さらに、当サイトやPAL CLOSET(以外パルクロ)のサイト上では多数の商品が完売し、再入荷や早くて一ヶ月先の予約販売が当たり前になっている。このようなことから、チコは主にインスタなど人気なSNSを活用してファンを獲得し、企業の売上・ビジネス成長につなげるSNSマーケティング戦略を行っていると考えられる。

3.5A分析を実際用いて

そこで実際5A分析を使って分析していきたい。まず5A理論とは、フィリップ・コトラーが提唱するインターネットやSNS時代を反映させた購買プロセスの理論である。コトラーは、ソーシャルメディアの出現によって「接続性(つながり)の時代」に突入していることを指摘している。SNS中心の現在において、以前に増してSNSと購買行動の結び付きが強くなってきていると考えられる。

実際のところ、チコのインスタ公式アカウントのフォロワーは37.5万人おり、ハッシュタグの数も1.4万ほどにも及ぶ。最も有名なチコのアパレルスタッフのフォロワーは5万人にも及び、彼女のインスタから商品を購入に至ったひとも多いのではないだろうか。このように、チコとSNSとの関係性は深いものであるため5A分析が適応していると考えられる。

さらに詳しく5Aについて分析していきたい。まず 認知(Aware)、訴求(Appeal)、調査(Ask)、行動(Act)、推奨(Advocate)以上の5つの頭文字から5Aと呼ばれている。

認知(Aware):広告や口コミで知る
訴求(Appeal):ブランドに引きつけられる
調査(Ask):評価、評判を調べる
行動(Act):店舗やECサイトで購買する
推奨(Advocate):SNSなどで情報共有する

まず認知の段階では、従来からのカスタマージャーニーの入口であり、他者から聞かれたり、ブランドの広告を見たりすることで、認知される。まずブランドを消費者に知ってもらわなければいけない。

チコの場合、インスタを通じての認知が多いと考えられる。私自身もインスタのおすすめに流れてきたリールを通じてチコというブランドを知った。そのリールを通じて、他社にない服のデザインのかわいさや、スタッフさんの着こなし方の憧れに惹かれスタッフさんやチコのインスタをフォローするようになった。それらの行動が次の段階である訴求の段階に値する。

訴求の段階では、顧客は認知したブランドの中から、自分にとって好ましいと思う少数のブランドだけに引きつけられた状態である。チコが他のブランドと選別され、且つ比較した際に選ばれなければいけない。前の認知段階であるようなただ知っているという状態ではなく、このブランドが好きという状態に持っていかなくてはいけない。それゆえ、他ブランドとの明確な違いが必要になってくると考えられる。チコはトレンド商品であっても、デザインやカラーのバリエーションが他ブランドとは少し異なっていたり、ノベルティーの質が高いものになっていたりしている。これらの点から他社との差別化がされていると考えられる。

次に調査の段階では、顧客は引きつけられたブランドの中から、魅力を感じたブランドを調査する。調査段階で詳しい情報を入手したら行動へ進んだり、購買行動を伴わない場合でも、推奨へ進んだりする。好きという状態を確信のつくものにしなくてはいけない。ただ思いを強めるのではなく、しっかりと根拠に基づいて確信にもっていくということである。この段階では、消費者自ら情報収集する。それゆえ、企業自らが情報を発信したり、消費者に発信したりいないともらわなければいけない。

チコが所属するパルクロのサイトの口コミや、チコのインスタは情報収集する際には大変重要な場所である。チコのインスタでは、アパレルスタッフの投稿、あるいは消費者自らが着画にタグを付けているため、サイズや色味などで悩む購入時に非常に参考になるのではないだろうか。実際の調査によると、買い物をする際にSNSの情報に影響を受けると回答した人は51%となっており、SNSは消費者が買い物する際の重要な判断材料となっていることが伺うことができる。

近年商品の購入検討時に一般消費者によるSNSでの口コミや、着画などを参考にするといった購買プロセスはもはや一般的になっている。さらに、SNSマーケティングを行うことにより、対象の商品・サービスの認知度を向上する効果が期待できる。具体的に言えば、多くのフォロワーを持つアパレルスタッフのアカウントで商品を紹介することで、多くのユーザーに商品を目にしてもらうことが可能になるということである。

行動の段階において、購買行動だけではなく、消費や使用はもちろん、アフターサービスを通じたコミュニケーションも行動に含まれる。チコは、店舗にもオンラインストアにも出店しているため、比較的に購入しやすいと考えられる。さらに店舗が関東では渋谷109や新宿PARCO、関西ではLUCUAや、姫路ピオレといった都会にあるため、人が行きやすく、実店舗にも足が運び易いと考えられる。さらに、ゾゾタウンではいいね数や、パルクロでは口コミ、スタッフのコメントが確認できるため、調査の段階から行動段階へのステップがスムーズにいきやすく、購入への円滑化に繋がっていると考えられる。私自身も丈間がわからなかったため、パルクロの口コミを参考にチコの商品を購入したことがある。

最後である推奨の段階において、顧客にブランドに対する強いロイヤルティが芽生え、熱心な推奨者は大好きなブランドを自発的に他者に推奨し伝道者になる段階である。ここでは、推奨の段階に再度購入したり、そのブランドを利用し続けたりすることも含まれる。最近特に、消費者は自分と同じ立場である身近な消費者の声や、着画を参考にしていることがわかった。パルクロにて、口コミを書くのはまだ躊躇するひともいるかもしれないが、インスタにチコの服をきて撮った写真を載せ、タグを付ければそれで推奨していることになる。これらの口コミや、投稿が新たな消費者の調査をつくり、これが循環的になっていき、より密接に消費者とブランドとを繋げていくことになる。

以上これまでの考察を通じて、チコは、インスタやアパレルスタッフの投稿によりヒットしたと考えられる。

4.まとめ

これまでチコがなぜヒットしているのか考えてきた。そこには、チコのヒットと消費者の口コミや、アパレルスタッフ、消費者のインスタの投稿などのSNSと深い関係性があることがわかった。時代が進むにつれて、消費者の口コミや、インスタの投稿の数によってブランドの価値がかなり変わってくるのではないかと考えられる。SNSが普及したことにより、表現の自由が拡大化している世の中では、消費者の声とブランドの価値がより密接になっていくと考えられる。それはいいことだけではなく、SNSで多大な力を持つ人々を使ってユーザーに広告だと気づかれないように宣伝を行うマーケティング手法であるステルスマーケティングのような悪質な商売にも用いられてしまうことも十分に理解しなければいけない。今現在では5Aに見られるようにつながりがとても重要となっている。あらゆるブランドも顧客を単なるターゲットとみなすべきはなく、ブランドを発展、推進させる仲間、友達とみなしていくことが必要となってくるだろう。

参考文献

株式会社コムニコ2022年6月版人気ソーシャルメディアのユーザー数まとめ
https://www.comnico.jp/we-love-social/sns-users(参照2022.6.15)

ZOZOTOWN 数字で見るZOZO
https://corp.zozo.com/recruit/statistics/(参照2022.6.15)
5A Loyalty Suite
マーケティング4.0の5Aカスタマージャーニーマップを学ぼう
https://www.pkmarketing.jp/articles/marketing4-5acj/?amp=1(参照2022.6.15)

PAL GROUP求人サイト
http://recruit-grp4.palgroup.holdings/detail.php?job_id=4066976(参照2022.6.15)

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関西大学 羽藤雅彦/羽藤ゼミ
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