2023ルヴァンカップGS第6節「北海道コンサドーレ札幌 vs ジュビロ磐田」超主観的振り返り
熱心なJリーグファンでも、この試合を注目した人は少なかったと思います。
ジュビロ磐田は、既にグループステージ敗退が決まっていました。
また、北海道コンサドーレ札幌は、引き分け以上でプライムステージ進出が決まり、敗戦でも他グループの結果次第で進出できるという状況でした。
このように、今回の試合結果に関わらず、ほぼ大勢は決まっていたのです。
でもジュビロとって、今回の試合は今季ベストゲームに挙げても良い!
2023年6月18日、ルヴァンカップグループステージ第6節。ジュビロ磐田はアウェイで北海道コンサドーレ札幌と戦い、2-3で逆転勝利!
私は「スカパー!番組配信」でライブ観戦しました。
ナイスゲーム。
本当にナイスゲームでした。
試合終了後、はるばる北の大地に集ったジュビロサポーターと選手達が「勝利は続くよ」を歌う画面を見ながら、勝利の余韻に浸っていました。
感謝です。
スターティングメンバー
大森晃太郎が今季公式戦初スタメン。昨年負傷し、手術を経てようやくここまで辿り着きました。このメンバー表を見た時は感無量でした。ガンバ大阪時代から長い付き合いの遠藤保仁と同じピッチに立つのは、2022年9月3日ホームエコパスタジアムでの柏戦以来です。
針谷岳晃と藤川虎太朗の同期コンビが揃ってスタメン。更に古川陽介、中川創、鹿沼直生。ベンチには後藤啓介、藤原健介、吉長真優といった若手選手が顔を揃えます。
そしてジュビロ磐田一筋小川大貴がゲームキャプテン。
ベテランから若手まで融合したメンバー。
2021年までのジュビロは経験豊富な選手を起用する傾向があったのですが、昨年の伊藤彰監督、そして今年の横内昭展監督はカップ戦を中心にこれまで殆ど控えだったメンバーを起用し、実績を積ませ、リーグ戦メンバーへと繋げていきました。
このメンバーでこれまで苦杯を喫してきた札幌に一矢報いて欲しい。
キックオフの瞬間を心待ちにしていました。
試合振り返り
この試合、ジュビロの何が嬉しかったか?
これに尽きます。
チーム全員が最後まで勝ちに行った。
この試合の前日、勝利という結果にこだわって欲しく記事を書きました。
試合開始早々の2分、ルーカスフェルナンデス選手のゴールで札幌先制。
入りが悪くて失点するという悪い時のジュビロの姿。これまでのジュビロならばこのまま決定機を決められず、失点を重ねるケースが多かったのですが、前半は札幌の攻撃をしのぎ切り、0-1で折り返します。
後半16分、大森晃太郎がボックス内にボールを入れ、藤川虎太朗そして後藤啓介がボールに行き、そのこぼれ球を山本康裕が左足を振り抜きボールはゴールネットへ突き刺さり、待望の同点ゴールで1-1。
ベテランが追撃の狼煙を上げます。
試合後、山本康裕は次のように語っています。
2021年はゲームキャプテンとしてJ2優勝に大きな貢献をした山本康裕。
しかし、今年は上原力也、針谷岳晃、藤原健介の台頭もあってリーグ戦ではベンチ外になることが多くなりました。
山本康裕でも競争で勝てなければ、リーグ戦メンバーに選ばれない現状と挑戦。そして何よりチームの勝利に自らのプレーが貢献できたことへの喜び。横内監督の姿勢がしっかり浸透している証です。
しかし、同点に追いつかれた札幌も黙っていません。ジュビロ陣内での攻防が続き、後半26分、ボックス内で吉長真優のプレーでPKを与えてしまいました。このPKを深井一希選手が決めて2-1。再び突き放されます。
せめて同点に追いついて欲しい。
しかし残り時間は約15分。
相手は何度も何度も苦しめられた札幌。さすがに厳しくなったか・・・。
でもこの試合のジュビロは、昨年9月11日札幌ドームで0-4となす術無く敗れ去ったあの時とは違いました。
後半25分、ボックス内で古川陽介が
と、ばかりに左手で合図を送った相手は藤川虎太朗。藤川は迷わずボールを供給。ゴールラインぎりぎりから古川陽介はクロスを上げる!
札幌の選手にマークされながらもゴール前に入った中川創は、札幌の選手を背後にしながらヒールでボールをゴールへ!
再び同点!
この押し迫った時間帯でなんとおしゃれなシュート!
パソコン画面の前で大喜びしていた私でしたが、その画面に映っていた中川創は、自らのゴールに浮かれることなくボールをすくい上げ、センターサークルに向かって全速で走ります。
そのまなざしは、
という気持ちがほとばしるような、鋭いまなざしでした。
CBのポジションの競争は熾烈です。
今季序盤はけが人が続出したポジションのため、選手不足に泣いたジュビロでしたが、今やほとんどが復帰。リカルドグラッサと鈴木海音が筆頭。そこに伊藤槙人、本来ボランチですがこの試合CBに入った鹿沼直生、そして山本義道。更には負傷離脱中ですが森岡陸もじきに復帰するでしょう。
この多くのメンバーとポジション争いをしてリーグ戦メンバーに割ってに入らねばならないのです。
昨年FC琉球で1年間育成型期限付き移籍で武者修行してきた中川創。鋭いまなざしでセンターサークルに戻っていくその姿は、2020~2021年の中川創とはまるで別人のような厳しい顔で試合に臨んでいました。一回りも二回りも成長してジュビロに戻って来た姿を見せてくれました。
残り約5分とアディショナルタイム。
しかし、この試合のジュビロは、ボールを奪われても積極的に奪い返しにいく姿勢を見せ続けました。敵陣でプレーする時間が増えます。
山本康裕がボックス左側に入り込む古川陽介へ絶妙なパス。ドリブルで相手を切り返し、古川得意の位置で右足一閃!ついにジュビロ逆転!
今季前半戦はリーグ戦メンバーになかなか入れずに苦しんだ古川陽介。今季ようやく初ゴールを決めて喜びを爆発させます。
ベンチには、出番は無くともいつもベンチから声を出して鼓舞する八田直樹が出迎えます。先輩の針谷岳晃や遠藤保仁に頭をバシバシ叩かれて手荒い祝福をうけます。
そして最後は横内監督が笑顔で抱きしめて殊勲のゴールを称えます。
スカパーのハイライト動画に残っているんですが、古川陽介のゴールの瞬間横内監督は、拳を大きく全力で振り下ろすガッツポーズで最高の喜びを示しているんですよね。
試合後のスカパーでの横内監督のインタビューでは、笑みをたたえながら以下のようにコメントしています。
昨年J1での戦いは辛い試合ばかりでした。
札幌ドームでも0-4と全く良い所無く敗戦し、呆然としていた選手の姿を今でも思い出します。
それだけに、今回札幌ドームで歓喜に沸き返るジュビロの選手とサポーターの姿が本当に嬉しかった。
早速ジュビロ磐田の公式YouTubeチャンネルでは、このゴールシーンをアップしました。
コメントではおどけた所を見せる古川陽介でしたが、最後まで諦めない姿勢。勝利への貪欲な姿勢。その気持ちが生んだナイスシュートでした。
次戦へ向けて
この試合の勝敗は、ルヴァンカップのプライムステージ進出には影響しないし、リーグ戦にも関係ないことは申し上げた通りです。
でも、なぜジュビロの選手達はここまで勝利にこだわることができたのでしょうか?
憶測の域を出ないのですが、
この目標をチーム全員でより強く共有しつつあることが生んだ結果では無いかと感じました
今年鹿児島キャンプ前に山田大記が語ったチームが「一丸」になることに通じるのでしょう。
更にはルヴァンカップの総括として、試合後に横内監督は以下のように語っています。
J1昇格後を見据え、そのイメージを選手が共有し戦っていたのです。
そのためには、たとえ見かけは消化試合であっても、今回のJ1札幌には絶対に負けられない戦いをする必要があったのです。
これが横内監督が常日頃「無駄な試合は一つも無い」といっていた意味なのだと思います。
リーグ戦は次節6月25日アウェイ熊本戦で前半戦を終えます。
厳しい夏の時期を迎え、コンディション不良や負傷、累積警告での離脱など選手が離脱する可能性も否定できません。
他チームはウイークポイントを選手補強で対応するでしょうが、ジュビロ磐田はこの夏のウインドーも選手補強ができません。今いる戦力で勝ち抜かねばなりません。
そのためにも、今回控えメンバーが札幌から勝利を奪ったことはチーム全体にとって大きな自信になりますし、それは今現在のリーグ戦メンバーもうかうかしていられない状況かもしれません。ポジションを巡る激しい競争が起こるでしょう。
是非健全な競争を繰り広げ、また一歩一歩成長する姿を見せてくれることを期待してまたヤマハスタジアムに足を運ぼうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って。
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