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子供が産まれてわかったこと

少子化
どこの国でも衰退する大きな理由のひとつに挙げられ、日本も内需を確保する意図もあるのでしょう、真剣に取り組む「姿勢」を見せてはいますが、それでもなお、子供が産まれて思うことは、この国は子供を産むハードルの高い国であろうということです。

直球で書けば、つまるところ全て「お金」についての問題です。
もちろん、これ以上人口を増やしたくない。増やしたいとは思っているが、黙っていても勝手に増える。という状況なら今の制度でも良いと思います。むしろ、一昔前にくらべれば、手厚くもなっているでしょう。

しかし、少子化を打開したいのであれば、全く足りませんし、足りないどころか「なぜこの部分を変えずに良いと思っているのか」とすら思います。

こういうことを書くと、不安を煽ってしまうかも知れず、少し心苦しくもありますが、現状の不満と改善について、思うところを書きたいと思います。

出産について思う事

出産については、最近、出産育児一時金が8万円引き上げられましたが、それに伴い、多くの産院が出産費用を値上げして結局患者負担は変わらずといった状況です。「出産育児一時金」ですが、多くの場合、育児に回る金額は恐らくゼロでしょう。

少しもやもやしますが、産院もそもそも出産は利益が少ないと言われているので、仕方ないのかもしれません。ただ、結局はイタチごっこのようになってしまうので、出産費用は国が全額負担ではダメなのでしょうか。

もちろん上限を決めなければ、産院の法外な言い値を払わなくてはならない……なんてことも想定できるため難しいかとは思いますが、たとえば出産に保険が適用できるようにし、妊婦については、その期間、国が医療費を10割負担する制度にはできないものでしょうか。保険診療にすることでレセプトが作成され、保険点数が必ず報告されるようになります。レセプトは第三者機関によって審査され、保険点数が不当であったり、著しく高く設定されていたりすれば、監査が入ります。このシステムに乗せてしまえばよいのではないでしょうか。

とりあえず出産に費用がさほど掛からないというだけで、出産のハードルは下がります。さらに、私の妻は切迫早産となり、出産前に3ヶ月ほど入院していましたが、妊婦の保険診療が国10割負担となれば、そうした特殊な事情も吸収でき、負担減となります。(現状は高額医療費制度を利用し、87400円/月+食事代等諸経費の支払いとなります)

当たり前ですが、出産前後は仕事はできません。少なくとも労働基準法に則り、産後8週間は就業できない期間があります。これとは別に、産前も体調などにより就業できないこともあるでしょうし、本人の希望があれば産前6週間の休職は権利として認められています。この期間、会社員であれば出産手当金や傷病手当を受け取ることができますが、専業主婦であったり、個人事業主、アルバイトなど、非雇用あるいは、社会保険適用外の被雇用者で、国民健康保険に加入している者は受け取ることができません。

専業主婦は仕方ないとしても(算出基準となる給与がないため)他の働いている者にとって、国保の福利厚生は足りていないと感じますし、支払いを受けられる者も、給与の2/3程度となるため減給となります。

就業せずに受け取るのであれば仕方ないと考える方も多いかと思いますが、家族が1人増えたうえで、働けない状況に陥った挙句、給与も減るというのは相当にハードル高いです。少子化に歯止めをかけたいなら、支給額は過去6か月の平均額の満額で良いのではないでしょうか。

育児休暇中の補償について

育児休暇中は、雇用保険に加入していれば育児休業給付が受けられます。この保証額も、過去6か月の給料の平均の67%ほどです。しかも、最初の6か月は67%ですが、それを過ぎると50%となります。

更に、労働基準法に定められている産後8週間の就業不可期間については支給されません。建付けは理解できます。あくまで育児休業給付は、休業期間に対して払うもので、就業がそもそもできない(就業ができなければ、それを休むこともできない)期間に給付金は出せないということなのでしょう。

しかしながら、確実に産後8週間は育児をしています。定義の建付けは理解できますが、その制度の精神に照らせば、おかしな規定ではないでしょうか。

そして、この育児休業給付に関しては、役員および経営者について支給はされません。そもそも法人と「雇用関係」にはならず、雇用保険に入れないことが理由ですが、要は、会社が制度として育児休業手当を支給する場合を除き、休めば無給、国からの援助もないということです。

これも制度としては理解できます。役員報酬を算出基準とすると、支給額がかなり大きくなる可能性は高いですし、役員報酬はぶっちゃけ就業に対する対価でもありません。そしてそもそも、雇用保険の範疇でもありません。

しかし、何度も書いているように「少子化を抑制したい」と本当に国が考えるなら、育休を選んだ父母に多少なりとも給付金を用意しても良いかと思います。役員がピンキリだと思うなら、所得上限を設けてもいいかもしれません。とにかく、少しでも「育児をする=通常の勤務が難しくなる」となったときに、金銭的な負担が無い制度と、そのアピールが必要かと思います。

極端な話「子供産んだら、外に働きに出なくても今の生活水準で暮らせるやん」って思わせるくらいウハウハなイメージが生まれないと、現状は好転しないと思うのです。

保育園問題

私の住んでいる自治体は、育児にもそこそこ力を入れていて、保育園も多いですし、待機児童なども少なく、頑張っておられる方だと思っています。

それでも、我が家は選に漏れて入れられる保育園がなく、途方に暮れています。一体、いつ保育園に入れられるのか?

そして、待機児童問題とは別に、託児に於いて「保育時間」がかなりネックな気がしています。預けられる時間は夕方17時 or 18時までくらいが基本で、延長保育で20時まで。0歳児は延長なし。日曜は完全に休みで土曜日は延長なしで預かり。大体そんな感じの保育園が多いです。

もちろん、特に0歳児など家で育てる方が良いのは百も承知です。そこは理解したうえで、託児を選択することは多分にあると思います。そして、託児を選択し、預けることができたとしても、現状かなり働き方が制限されます。結局、育児休暇や育児による時短就労に制度的な補填があれば、色々と解決するのですが、補填が薄い現状、保育園を利用する選択肢を選ばざる得ない場合がほとんどです。そしてもちろん、保育園も無料ではありません。

厳密にいえば、現在、3~5歳の園児はその保育費用(認可保育園)は国費で負担となっています(託児料以外の雑費は負担しなければなりません)。これもなぜ3~5歳なのでしょうか?0~3歳、5~7歳(小学生未満)を対象としない理由がいまいちわかりません。

0~3歳、5~7歳は「できれば家で面倒見ろよ」ということかもしれませんが、たとえば育児休業給付を受けられたとしても、最長2年弱(子供が2歳になるまで)で、3歳まではもらえません。5歳以上も然りです。この辺りの金銭負担を考えれば、このご時世、家でゆっくり育児に専念できる主婦はかなり少ないと思います。

理想と現実が乖離しており、国の政策は現実を見て行って欲しいと思います。民業を圧迫してしまうため難しいかとは思いますが、理想は国営で託児所を作り、託児の無償化と、潤沢なキャパシティの確保、託児期間や時間の延長をすることかなと思っています。

まとめ

子供を産むということは、生活面ではマイナスを被る場面が多くなると思います。もちろん、子育て自体をマイナスと言っているわけではありません。子供は可愛いですし、人間として根源的な楽しさはあります。故に「子供自体がマイナスである」という感情はありません。ただ、金銭的には、家族が1人増えれば明らかにマイナスになるのです。

そこを出来る限りマイナスにしない。少なくとも出産から3年間、あるいは最長7年間(小学校に入学するまで)くらいは、金銭的負担を限りなくゼロに近い(食費や嗜好品の購入費用くらいにとどめられる)手厚い補償をしても良いのではないかと思います。少子化対策をしたいのであれば。

今の制度のままでは、少子化は止められず、その進行を緩やかにすることも叶わないだろうなというのが、実際に子供が産まれて、その環境を知ったうえでの感想です。

願わくば、早急な制度改革と施設の拡充を実現し、本当の意味で子供と共生できる日本を作ってもらいたいなと思います。


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