2019年10月の記事一覧
想像力と観察力から人物は生まれる
登場人物を書くのに必要なのは想像力といいましたが、もう一つ重要なのは観察力です。これは普段の生活で必要な力です。
わたしはいつも、許されるのなら相手の年齢や職業を知っておしゃべりをしたいと思っています。どんな年齢でどんな職業の人がどんな暮らしをしているのか、どんな見方をしているのか、そのすべてが小説を書くときの参考になるからです。自分のなかに座標軸があって、そこにサンプルを置いていく感じです
登場人物のプロフィールを作る
現実世界の話をします。初めて出会った25歳の人と、数分間一緒にいたとします。あなたはその人のことを数分間分しか知りませんが、その人はあなたの見ていないところで25年分の人生経験を積んでいて、数分の間にあなたに見せたその人の仕草や発言や行動すべては25年分の経験をもとに生みだされているわけです。
小説の登場人物も同じです。物語に25歳の登場人物が出てきたとします。その人の発言や行動は、その人が25
プロット立てたほうがいいのか問題
誰が何をして(なぜそんなことをして)どうなるか、という物語の設計図を書いたものをプロットといいます。小説を書き始めの人によく、プロットを作ったほうがいいですか? と聞かれますが、わたしはいつもこんなふうに答えます。
家を一度も作ったことのない人が家の設計図を作れますか?と。もっと身近な例でいうと、料理したことがない人が一度も作ったことのない料理のレシピを書けますか?
何度も完成させる経験を積ん
文章描写こそ小説の味わい
小説の味わいを演出するのに欠かせないのが文章描写です。描写なんて読むのも書くのもまどろっこしいと思う人もいるかもしれませんが、描写がなければ、小説がほかの分野のエンターテインメント作品に勝てる要素はないとわたしは思うのです。小説を書き始めの人は、セリフの羅列になったり誰が何をしたという説明だけの文章になってしまいがちです。脚本のようなのです。しかし、脚本は絵や演技や映像や音楽が合わさって初めて一つ
もっとみる文章描写のトレーニング方法
ところで、描写は詳しければいいというものではありません。言葉からイメージを思い浮かべるのは、読者の脳に大きな負荷をかけます。あれもこれも食べてと読者の口に無理やりつめこんでも全部吐いてしまうように、適切な順で消化できるスピードで、楽しんで食べられるようなものを、うまく渡していく必要があるのです。そこに「技」があります。
どうすればいいか、一概にはいえません。文の置かれた状況によって違うからです。
小説の「構成」という技
何をどの順番で書くか、簡単にいえばそれが「構成」です。構成には大中小いろいろな段階があります。ここで取り上げるのは大きな構成、ストーリーの構成です。プロットで考えた「誰が(なぜ)何をするか、何が起こってどうなるのか」などのエピソードをどの順番で読者に見せていくかを考えます。
これは映画を思い浮かべてもらえるとわかりやすいでしょう。映画は、約2時間という限られた時間しかありませんから、何をどう見せ
構成力をつけるトレーニング方法
最後に、構成力をつけるトレーニング方法について紹介します。
前の記事で述べたように、物語にとって最も良い構成を見つけるためには、大きな手術が必要になる場合があります。ですが、最初のうちはなかなかそこに踏み切れません。せっかく書いたものを捨てたくないし、どのエピソードも設定も愛着があって一部を切ったり入れ替えたりしたくないからです。
それはわたしも同じです。せっかくまとめあげたものを、できれば直した