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どうしていたんだっけ。

記憶が飛ぶことがある。

それは、体力を使い果たして。
頭の中が「疲れた」とも感じられなくなって
一瞬で静かになる。

周囲を見ることは出来ない。
見たら気持ち悪さが増すから。

景色がピカソやゴッホの絵みたいな色彩になり、
時にダリの時計みたいに歪んでいく。

とにかく座れる場所を探して腰掛け、
俯いて目を閉じて、呼吸を整える。
「大丈夫、大丈夫」
自分に言いながら、体力の復活を待つ。

フッと軽くなった気がして、顔を上げる。

恐る恐る目を開けると、いつもの風景。
色彩も元に戻り、歪んでもいない。

こうなったら大丈夫だ。
ホッとする。

時計を見ると、ほんの15分程。
そんなに休んでいたのかと思うけど、
それ程長くならなくてよかったと思う。

立ち上がって見る。
力が入った、立てた。良かった。

荷物が肩に食い込むように感じるけど、
大丈夫、歩けそうだ。

歩き出して、ふと気づく。
今、私どうしてたんだっけ。

15分の記憶は、全くない。
恐らく、座って一瞬で深い眠りというか
気絶していたのだと思う。

正直、街中でそうなるのは怖い。
だから、こうならない様に気を付けている、
はずだったのに。

さすがに最近は、出来る限りカフェ等に入る。
注文して、受け取って座るまでは辛いけど、
その辺で気絶するよりは安心だ。

美味しいコーヒー等を一口、また一口と
いただいている内に落ち着く事もたまにだが有る。
最初、手が目に見えて震えているけど、
大丈夫、誰も見ていない。

怖い。また立てなくなったら。
気絶して、今は15分とかで済んでいるけど、
もっと長い時間記憶が飛んでしまったら。

毎回、疲れを感じるたびに
動けなくなった自分を思い出す。
そうならない様に気を付けているけど、
急に体力の限界を超えたりもする。

どうしたらいいのか分からない。
無理をしちゃダメと言われるけど
多少の無理はしないと、生活できない。

予兆で気づくようにしているけど、
多分、毎日が無理の連続なんだろうな。

ようやく家について、食事や入浴を済ませて
横になると、心からホッとする。
脱力するような手足の感覚に、思わず
本人ながら身体に感謝しながら謝る。

今日もありがとう。毎日ごめんね。
大事にしなきゃなと改めて思う。
無理がきかなくなっているから。
自分の思う以上に、体は疲れているから。

朝起きて、寝るまでに記憶が飛ばなかった日は
無理させなかったんだなと安心する。
その日は、今度からカレンダーに丸しよう。
これからの第一の目標は、
無理をしないで、一日を終える。
これでいきます。

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