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『アアルト』

監督、脚本:ビルピ・スータリ
公式サイト https://aaltofilm.com/

フィンランド生まれの建築家、アルヴァ・アールトのドキュメンタリー。
主にヨーロッパからアメリカを舞台に建築プロジェクトをいくつも手がけた。プロジェクトは奥さんと共同で行うことが多かったようだ。
奥さんに恵まれた。建築業界の男性優位な社会において、女性との共作に成功した。
実は生涯で二人の女性と結婚している。一人目の奥さんアイノは家具を扱い、二人目エリッサは美術を担当するなど、うまく棲み分けをしていた。人望に厚く、デッサンが上手かったそうだ。

自分が手がけた建築を良いとも、悪いとも言わない。曖昧でミステリアス。しかし例えば教会の案件では三位一体を忘れることはない。むしろ自分の曖昧さを表現するように、建物の中、外、そしてその中間の三つを用意する。
晩年は左派の批判から評価を落とし、アルコール中毒になってしまったらしく、悔やまれる。批判内容もある程度妥当なもので、銀行や企業など、豪華な建物ばかり建てているというものだった。

ただしそうした批判に対しては、映画の内容から考えて疑問が残る。
彼は実験的な建物にも挑戦している。(ムーラッツァロの実験住宅
基礎を作ることなく土地の岩盤に直接建物を建てているのだそうだ。ただ単に豪華であること、美だけを追求していたわけではないとも思う。
フィンランドの巨匠、ここにありといった作品だった。


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