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奇跡の一本松

東日本大震災の被災地である
陸前高田市の戸羽市長の講演を聴く機会があった。


以前、陸前高田市には日本百景にも選ばれていた
高田松原という七万本の松林があり、
県の内外からも観光に訪れる名勝があった。

2011年3月11日、その七万本の松林は、
津波のため一瞬にして倒壊した。

たった一本の松の木だけを残して。



いつしか市民たちは、
この残された一本の松を自身に投影し、
高く聳え立つ松を見て、明日への希望とした。

しかし…

そんな奇跡の一本松も、実は瀕死の重傷を抱えていた。
その保存・維持に掛かる費用は、なんと1億5千万円❗️


「市民の、いや被災者の希望である一本松を延命させて欲しい」
「インフラも整っていない被災地に、そんな余分なお金はない」

世論は真っ二つに分かれることになる。



市長の戸羽 太は迷った。

彼は市長就任4週間で3・11を体験していて、
ご本人もこの日、愛妻を失っている。

被災者の孤独、嘆き、不安、動揺、悲しみは
痛いほど分かっている。


彼は決断した。

「希望」の象徴、一本松を残そう。
ただし税金を使わず、寄付金を集う❗️


戸羽の呼び掛けに日本中、
いや世界中から寄付金が集まった。

総額、1億8827万8754円にもなった。


現在、「奇跡の一本松」は被災者及び、
そこを訪れるすべての人たちに
明日への希望と勇気を与え続けている。

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