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学校に苦情申し立て窓口を

少年院等に不服申し立て制度が導入された

刑務所には、不服申し立ての制度が昔からあります。
裁判の判決によって、国が強制的に刑事施設に収容していますが、だからといって基本的人権の全てが奪われる訳ではありません。
集団生活や受刑者等であるという現実の中で、受忍義務はありますが、それは限定されたものです。受刑者等は平穏に不服を申し立てることができることが法律で認められています。
逆に、自分の主張が思うようにならないからと言って、施設内の規律秩序の維持を阻害するような行為については、強制力で排除されますし、懲罰も与えられます。
不服申し立ては、施設職員が内容を知ることはできません。また、法務大臣宛てに送られた不服申し立てについて、施設に実情調査の指示があります。
採択された場合は改善命令が出されるのです。
ところが、少年院や少年鑑別所では、法務大臣宛ての不服申し立て制度がありませんでした。
2014年の法律改正でやっと導入されたのです。

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導入当時の現場職員の感想

導入当時、私は刑務所等の現場ではなく矯正管区という地域を統括指導する機関にいましたので、少年院や少年鑑別所の担当者とも席を並べていました。
それまで、不服申し立てという制度のなかった少年施設に対して、どのようなものかという説明をする必要があったので、施設の責任者を集めての研修会が度々行われました。
その研修を行うのは、実際に刑務所等での取り扱いを知っている私たち成人矯正の職員でした。
特に私の場合、少年院での勤務経験があるので、説明に最適だと思われ、説明する機会が多かったように思います。
その際の少年施設職員の感想は、
「少年との信頼関係が破壊される」「教育の場にふさわしくない」「積極的な指導ができない」「職員のやる気を削ぐ」等
散々なものでしたものでした。

広島少年院事件

広島県東広島市にある広島少年院で2009年4月、複数の法務教官によって在院者に対して腹部や顔面への暴行のほか、トイレに行かせずに失禁させたり、腕立て伏せを1000回するよう命じ、達成できなければ進級を遅らせるとして腕立て伏せを強制するなどといった虐待行為と思われる事案が115件あったことが判明した。この事件で虐待行為をしたとされる5人の法務教官が43件の特別公務員暴行陵虐罪で起訴され、一審の広島地裁では5人全員が有罪判決を受けた。1人は広島高裁に控訴したが、2011年6月30日棄却、弁護側は即日上告。

少年院等での不服申し立て制度は、私も勤務していた広島少年院での少年に対する虐待行為が明るみに出たことが発端でした。
知り合いも関係しているので、報道や裁判に関して一部違和感はあるのですが、事実、これがきっかけです。
社会に対しても少年に対しても説明でき、認めてもらえることを行っていれば、不服申し立て制度があっても教育の後退にはならない。
ある意味、少年院の教育活動は、社会に広く知ってもらい適正に行われてこそ意味があるのではないかと説明しました。

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地域の学校の問題を地域で解決できないか

現在は、ただの絵本屋なので、そのような国機関についてご意見をさせていただくような立場にはありませんが、地域の小学校に読み聞かせに行くようになって、ちょっと調べてみました。
保護者からの教育委員会あての不服申し立て窓口がある地域もあるにはありますが、子どもたちが申し立てる制度は見あたりません。

第12条
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる

国内法として子どもの不服申し立て制度の手続きが法律で定められていないのが現状です。
そこで考えたのですが、第三者委員会として地域の大人の代表で構成される苦情相談窓口があったらいいのではないかと思うのです。
子どもたち、またはその代理人が、学校で子どもたちが感じている不満や困りごとなどを、学校に内容を知られることなく相談できる独立した委員会です。
委員会は、学校での問題をその子ども個人の問題として解決するだけでなく、自治体の長や議会に報告し、地域が協力して問題点を解決する方向で論議をします。

問題点を公にして地域で解決する

多分、学校現場や教育委員会の反発はすごいでしょうね。ちょうど、少年院等に制度が導入された当時を思い起こします。
で、現在、少年院や少年鑑別所が大変なことになったかというと、全然そういうことはありません。
今では、制度がなかったのが不思議なくらいです。
少年施設は地域にどんどん開かれてきましたし、協力者もたくさんいます。
現在でも各学校は子どもたちの教育に一生懸命です。そのご苦労には感謝しています。
ですから、自信を持って不服申し立て制度や窓口を作っていただきたい。
地域で学校を支える体制を作りましょう。
批判を恐れるのではなく自信を持って事実を公表し、足りない部分は協力を仰ぐことが必要です。
学校現場の疲弊という話題が出ますが、解決策の一つだと思うのです。

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