刑務所とかで働いてたけど絵本屋始めました（１）

story.jpで約２万ビュー、約2100件「いいね」のドキュメントストーリーを加筆修正しました。連載ものになります。よろしかったら読んでみてください。（有料記事）

プロローグ

SF小説オタクの中学生だった私は、ロバート・A・ハイラインの「夏への扉」が一番のお気に入りで、好きが昂じて友達や気になる女の子にプレゼントするので、結局、今まで数冊の「夏への扉」を買っていて・・・でも、まさか５０過ぎてから自分がピートみたいに「夏への扉」を探すようになるなんて思ってなかった。
２０１７年４月、２７年間勤務していた刑務所職員の仕事をやめて、ゲストハウスの創業を企画していた私は、その日、県土木建築事務所で散々な対応を受けて、その夢を諦めなくてはならない事態に陥っていた。
すでに、市の空き家バンクの制度を使って古民家を借り受けて、退職金の一部を使って改修工事にも取り掛かっていた。移住者向けの創業資金補助制度の申し込みも行ない、できれば夏休み前には開業したいと思って準備を進めてきた。県土木事務所から出て、
「あ、詰んだかもしれん」
と思ったら、やっぱり、また手が震えはじめた。処方された精神安定剤は運転するので持って来てない。