見出し画像

「保護した高齢男性置き去り」事件について

愛知県職員がいったん保護した身元不明の70代男性を公園に放置し、立ち去っていた問題で、職員が虚偽の説明で事実を隠蔽(いんぺい)し続けていたことが4日、判明した。

すいませんすいませんすいません

実は、刑務所でも同じようなことをやっていました。平成10年代まではこんな感じでした。
特に、保護観察所が閉庁の土曜日曜など、知的障害のある満期出所者などは、刑務所から直接出所させると近所で犯罪した場合などは、刑務所に苦情が来るので、駅近くの公園なんかまで送っていく「保護乗車」というようなことをしてました。すいません。

「特別調整」という制度

刑務所出所者等の中には、高齢又は障害により、自立が困難で身寄りがなく、福祉的な支援が必要でありながら、適切な支援を得ることができないまま出所している者が少なからずいます。
法務省は厚生労働省と共同で、平成 21 年から、刑務所等に収容されている者のうち、高齢であり、又は障害を有し、かつ適当な帰住先がない者について、釈放後速やかに適切な介護、医療等の福祉サービスを受けることができるよう「特別調整」を実施しています。
具体的には、刑務所に社会福祉士を配置し、対象者のニーズを聞き取って、各県にある地域生活定着支援センターを通じて福祉施設や医療機関などにつなげる取り組みです。
近年は毎年約500人の出所者が制度の対象となっています。

スクリーンショット 2020-02-05 17.58.52

それでもまだまだ難しいこと

「特別調整制度」の対象者は在所中の受刑者であること、本人がその制度の利用を希望することという制約があります。
今回の愛知県の事件は、本人が一時保護された身元不明者であったことに原因はあります。
同じことが、逮捕されたが刑務所に入らない人や釈放される人にも言えるのですが、これらの人を保護する制度がないのです。
基本的人権として、個人は法律に定めがない限りは自由でいることが保障されているのですが、だからといって保護するための制度が整備されていないというのは問題です。
現場でどうしていたかというと、制度上の規定がない中で職員の個人的な人間関係やお願いベースの頼み込みで福祉施設や自治体の福祉担当者のお世話になっていました。
そういった隙間の部分で苦労している公務員もたくさんいます。
福祉相談センター職員もやむに止まれなかったのだと思います。

面倒なことに立ち向かう

元衆院議員の山本譲司さんが2000年に秘書給与をめぐる詐欺罪で逮捕・起訴され、懲役1年6カ月の実刑判決を受け、黒羽刑務所に収容されました。
その体験を『獄窓記』『累犯障害者』などに著すとともに、2004年の全国の刑務所長が集まった席で、刑務所に収容されている触法障害者について講演を行ったのです。元受刑者の所長会同での講演は法務省の歴史の中で初めてでした。

2012年の数字で例示すると、新受刑者総数2万4780人のうち5214人、全体の21%が知能指数69以下の受刑者ということになる。測定不能者も839人おり、これを加えると、実に全体の約4分の1の受刑者が、知的障害者として認定されるレベルの人たちなのだ

それまでの刑務所は、これらの触法障害者についてしょうがないとみて見ぬふりをして、職員もそんなものだと考えていたのが、この講演を契機に法務省と厚生労働省が共同で「特別調整制度」の立ち上げに動きました。
問題点に立ち向かった結果が一定の成果をあげたのです。

前例踏襲では何も変わらない

何かを行うに当たって、前と同じことをしていれば間違いはないでしょう。しかし、そんな中でもそれぞれに違和感は生じているものです。
公務員であったのでよくわかりますが、変わったことをしても、もらえるお金は変わりませんが、失敗すると非難されます。成功しても嫉妬されたりします。
でも、違和感を見ないふりをしていると、やがて、問題は大きくなり、最後には制度自体の崩壊することもあります。
声をあげないと何も変わらないのです。


スキ!♥️押してもらえたら感謝!感謝!支援していただけると超嬉しいです☺️