見出し画像

いま、この空を忘れないでおこう

いま、あなたの町の空はどんな色をしていますか?


世界中が新型コロナの影響を受け、なんと人口の半分以上が外出に制限を受けている自体にまでなっている。

そういう私もロックダウンとなったイギリスに在住しており、外出禁止生活も4週間目に入った。

そんなイギリスでは、ちょうど春真っ盛り。長く暗い冬が終わり、様々な花が咲き誇り木々は緑に踊っている。3度の飯よりパブが大好きなイギリス人であるが、すべての酒場を含めた飲食店がしまっている(テイクアウト・デリバリーを除く)今の状態では彼らの慰みはちょっとした外での運動以外に存在しないようで、公園等ではソーシャルディスタンスを遵守しつつ、春の気候を楽しんでいる人々が多くいる。私もその一人だ。

18世紀にここ英国で産業革命が起こって以降、私たちは地球の資源を使い、排気ガスを産出しつづけている。そんな2020年、ここイギリスでこんなに美しい空が見えるというのは、なんとも皮肉なものである。

この現象は何もイギリスだけに起きていることではなく、あらゆる産業工業人の行き来が圧倒的に減少しているおかげで、世界中で同様の副産物が見られているようだ。

私たち人類はもっと早く、もっと遠く、もっと高くと何百年も生き急ぎ、この空を黒く染めてきたのだな。そして、その足並みはアフターコロナの世界で一体どのように変わっていくのだろう。そんな風に考えてみても、難しいことは私にはさっぱりわからない。


経済が止まることで、生活が圧迫される人が多くいる。路上生活者は食料や収入を得ることが普段の数倍と難しくなるだろう。彼らはstay at homeすることすら難しい。移民などのエスニックマイノリティを含んだいわゆる社会的弱者や、経済的に余裕のない貧困層の人間の立場を考えると、この美しい空を見なよなんて軽々しくは言えない。自分も、いわゆる”持っている側”の人間だからだ。

経済か命か、物質的潤沢さか空の美しさか。私たちはそうやって色んなことを天秤にかけてきた。これから、人間一人ひとりの価値観がどのように変わってくるかなんてわからない。

だけどひとまず私は今、思う。

この空の色を覚えておこうと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?