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第2回逆噴射小説大賞という祭

私の作品が最終選考に残ったという知らせを受け、ビックリした。

逆噴射01

純粋に嬉しくて、指パッチンを年甲斐もなくPCの前でやってしまった。
大賞は逃したが、最終選考に残った事が本当に嬉しかった。

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この賞を知ったのは、たまたま流れてきたTwitterからだった。

「なんだ、この奇抜な名前の小説大賞は!?」

そんな印象を受けた。恐らく初めて見た方で、そう思った人もいるのではなかろうか。しかし、奇抜だなと思った瞬間に、この賞に興味が湧いてる自分がいた。後に、それこそが逆噴射先生の狙いだったのかと感じてしまう。
興味が湧いたので、募集要項を見る。

この続きを読みたいと思わせる、最もエキサイティングなパルプ小説の冒頭800文字。賞品は「CORONA🍺」という黄金。

そんなコンテストは聞いた事がない。副賞は賞金ではなく、CORONAビール1カートン(24本入り)が郵送される。なにこれ、すごくおもしろい。

募集要項の最後に選考委員で、この賞の冠にもなっている逆噴射聡一郎先生の言葉もすさまじく良かった。

【選ばれなくても過度に凹まない事】
逆噴射小説大賞はCORONAという黄金を奪い合う「コンテスト」である為、選ばれる者・選ばれない者が、選考のたびに発生する。AIによる選考ではないので、万人が納得するスコアを提示できるものではなく、運が絡む可能性もあるが、そういうものである。

選考を通らなかった場合も、貴方は何も失っていない。応募作自体が読者の耳目を惹く可能性もある。その冒頭800字から続けて長編を書き上げることもできる。だから、たとえ入選しなくても、その受け止め方は「CORONAを獲りそこねたな」「残念だったな、さあ次に行くぞ」ぐらいで十分である

ここは最終的に99%が脱落する過酷な荒野なので、選考に選ばれなかった際にそれをいつまでも引きずったり、他の参加者や審査を恨んだり、「この賞を取れなかったらきっぱり筆を折る」のように人生を賭けてしまう依存的な精神状態であれば、はじめから応募を控えるべきだ。そして自分でCORONAとドリトスを買いに行き、NETFLIXでもつけながら一杯やっていた方がはるかに健康的である。

引用元:2019年10月に「第2回逆噴射小説大賞」を開催します

大賞の中間発表でも、この言葉が何度も出てくる。教養のエチュード賞主催の嶋津 亮太さんの言葉をお借りるすると「コンテストコンプレックス」に陥らないための暖かい配慮だと思う。ますます興味が湧いた。しかし、第1回の入選作品を読んで青ざめる。私が知らなかった世界。しかも前回は400文字でさらに短い冒頭の文章。にもかかわらず、スリリングな展開の小説が多かった。つまり、短いのにメチャクチャ面白い作品が多かったからだ!

書いた事も無いジャンル。しかも、ライバル達は、かなりパルプに特化してタマの打ち合いをガンガンやっている名うての猛者たち。彼らは敬意を込めて「パルプスリンガー」と呼ばれていた。これは敵わないな...。そう思っていた時、一人のパルプルスリンガーの記事に目が留まる。

1:とにかく参加しろ
面白そうだと思っているなら迷わず参加しろ。見る阿呆より踊る阿呆の方が強いのはうろん学会でも学術的証明がなされており確定的にあきらかだ。

去年も面白そうと思っている間に参加できず苦渋を舐めたヤツが一杯いた。かしこいお前はそうはなるな。

引用:逆噴射小説大賞は10月31日まで開催中!だぞ!

記事に速攻スキを押した。タマの打ち方も分かない状態だったが、こちらを読んで参加する事を決めた。面白そうだから参加する。参加する事に意義があると感じた。

ただ、やるからには真剣にやらないといけないが、私はパルプの聖地であるメキシコの荒野は知らない。つまり、そこを戦場に選びたくても選べないのだ。他の戦場を探すことにし、見つけた戦場が「横浜のオフィス」だ。そして、面白がって徹夜で書いていたら1本書けた。しかし、1500文字を超えてしまう。冒頭とはいえ、募集要項の800文字が、いかに難しいかを知り、そこから文章の圧縮作業に入る。いらない場所は削るが、これがなかなか削れない。ギリギリの文字数になり、何とか仕上げた。

最後に悩んだのがタイトルだ。当初は『締め切り間際の攻防戦、そして時計の針が迫る!~運命をかけたタイムリミット6時間~』だったが、妻に見せたところ「長いし、クソダサいのではないか?」と痛烈にダメ出しされ、5文字に圧縮し完成した。

応募するとマガジンに登録されると聞いたが、私の作品が収集されない。やはり、正しいパルプではない作品だったので、最初から選考外になってしまったのだなと勝手に思ったが、念のためもう1回マガジンを見る。すると、

だいたい1日1回のペースで収集しています。
収集漏れを発見したらダイハードテイルズまで連絡してください。

もしやと思い、ダイハードテイルズさんにTwitterで連絡してみた。

テイルズ

金曜の夜にもかかわらず、素早い対応と、粋なメッセージ返信していただいた。心底ホッとした。同時にダイハードテイルズさんは、かなり誠実な出版社だという事を改めて実感した。そして、その時に対応して頂いた方にお礼を申し上げたい。本当にありがとうございました。

もし、次回のコンテストで同じ事があったら、すぐにTwitterで連絡すると良い。とても丁寧に対応してくださる。おまけに粋なメッセージまでもらえて、得した気分を味わえるぞ!

月日は流れ、中間発表の12月を迎える。この審査で実に2か月を要している。1作品づつ、丁寧に見ているのが伺える。そして、私の作品も1次・2次審査を通過していて、とても嬉しかった。

さらに1か月後の2020年1月21日。結果発表が行われた!


まさか、最終選考に選ばれているとは思わなく、武者震いした。そして、あきらかに混乱していたが、そのまま勢いでツイートしてしまった。

しかしこの後、遅くなってしまって買いに行けず、仕方ないので自販機で売っているダイエットコーラで乾杯するという失態を犯す。本当は最初に2本くらいCORONAを買って、さらに追加で買いに行く。
いわゆる「セルフ 追いCORONA」をしたかった。

今回、何よりも嬉しかったのが、逆噴射先生よりコメントを頂いたことだ。

逆噴射聡一郎:ダイハードテイルズ内で「お仕事もの」と呼ばれるジャンルだ。お仕事ものは、キャラ造形よりもまず、プロフェッショナルの仕事ぶりを垣間見たいという読者の知的欲求を強く満たせるかどうかがフックになる。それは気の利いた一文の描写かもしれないし、あるいは全体的な言葉選びや筆致から言外に滲み出す「作者はこのジャンルに詳しそうだ」という信頼感かもしれない。どちらにせよ、そのようなプロの仕事に関する説得力が必要なのだ。これは全体に言えることだが、パルプという事でなんとなくアメリカ人を出したりメキシコにしたりしようとするものも多かったが、はっきりいって書いてる奴自身がそれら描写対象・描写世界を咀嚼し己のものにしていないと、単に付け焼き刃で浮ついてしまい見苦しくなるし、ちゃんとやれるのか? という疑念もわいてしまう。そのてん、こいつは800字の時点で、このジャンルに関してR.E.A.Lなのだという安心感のようなものがあった。読めばなにか知らない知識なりノウハウやあるあるが展開し脳が刺激されそうだという期待・・・この作品からはそれを感じられた。

逆噴射先生に、「こいつ」と呼ばれ、マジで惚れそうになった。そして、R.E.A.Lを大事にしろ!とアドバイスを受けたと感じる。これは、この小説だけでなく、一般的にどの文章でも通じる事ではないかと思った。また、私だけでなく、他の受賞者の作品にも細かくコメンタリーされており、とても参考になる意見ばかりだ。
小説でも記事でも、書く事が好きな人間は、ぜひ、この結果発表にある先生のコメントを拝読するのをお勧めしたい。読んでいて面白いし、ためになるのもそうだが、誰が読んでも分かりやすい言葉を使って書かれている。

考えてみると、なんと3か月に及ぶ長い祭りが終わった。コメントや応募要項を見ても分かるが、かなり公平で、また、選出された作品も多種にわたり真剣に選んでいるのが良く分かった。

参加することに意義があると教えてもらい、参加した事に本当に良かったと感じる祭りだった。やらなければ、何も始まらない。やれば何か起きるかもしれない。祭りは参加してこそ意義がある。このコンテストは素晴らしい!

最後に、この祭りを主催し審査していただいた、ダイハードテイルズ様。コメントまで丁寧につけていただいた、逆噴射聡一郎先生。そして、祭りに参加した、全ての読者の皆様と、作家の皆様に対し、厚く御礼を申し上げたい。本当にありがとうございました。

***
2019年の祭りは終わった。
大賞のバッティさん本当におめでとうございます!🎉

そして、次回の開催が、すでに予告されている!
「第3回 逆噴射小説大賞」は、2020年10月予定!

再び祭りの足音が聞こえてくるのが楽しみだ!




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