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ゴスの女王、「Siouxsie And The Banshees」について

今回は、ゴシックロックの女王である「Siouxsie And The Banshees」について紹介します。
Siouxsie And The Bansheesは、ポストパンク・ポジティブパンクの先駆け的な存在のバンドで、様々なバンドへ影響を与えた先駆者的バンドです。
活度歴も長いバンドになってますので、大きく
・初期
・中期
・後期
の3つに分けて紹介していきます。
是非、80年代音楽シーン・ポストパンクやゴシックロックへの導入に役立てればと思います。

スタジオアルバムについて

初期(The Scream~Juju)

1978年発売のデビューアルバム「The Scream」
ポストパンクジャンルの先駆者的なアルバムになった本作。
後のバンシーズ作品に繋がっていくであろう、パンクサウンドながらもサイケ感とゴスの暗さを感じ取ることができ、重厚かつ耽美な世界観が構築されています。
今作と次作「Join Hands」は、ギターをJohn McKayが担当し、KillingjokeやThe Cureなど様々なバンドへ影響を与えました。
日本盤のみ、パンキッシュな人気シングル「Hong Kong Garden」収録。
ポストパンク・ポジティブパンクやゴシックロックの先駆け作品として、是非拝聴してほしいアルバムになっています。

1 Pure
2 Jigsaw Feeling
3 Overground Original Version
4 Carcass ★おすすめ
5 Helter Skelter ★おすすめ
6 Mirage
7 Metal Postcard (Mittageisen)
8 Nicotine Stain
9 Suburban Relapse
10 Switch
11 Hong Kong Garden ★おすすめ
12 The Staircase (Mystery)

1979年発売した2枚目のスタジオアルバム「Join Hands」
前作のような明るいパンキッシュなアルバムとは違い、Siouxsie And The Banshees歴代作品の中でも、一番ダークでオカルトチックな作品に仕上がっています。
スージーの鬼気迫る狂気的なボーカル、悲鳴かと疑えるギターノイズが合わさり、不協和音が鳴り響く奇怪なサウンド。
発売当時は評論家から酷評されたという逸話があります。
紹介記事を書いている私も正直得意ではないアルバムですが、今作以降では得られないオカルトサウンドを得られるという意味では、歴代作品の中でも貴重な作品ではないでしょうか。

01. Poppy Day
02. Regal Zone ★おすすめ
03. Placebo Effect
04. Icon
05. Premature Burial
06. Playground Twist ★おすすめ
07. Mother - Oh Mein Pa Pa
08. Lord's Prayer


Siouxsie And The Bansheesが1980年に発表した3枚目のスタジオアルバム
このアルバムから、元magazineのジョン・マクガフと元the Slits のバッジーが参加
前作前々作とはうって変わり、シンセとドラムマシンを取り入れたことにより、鮮やかな印象を与えています。
アルバム全体として、サイケ色が強いアルバムになっており、タイトルが示すように、まさに「万華鏡(kaleidoscope)」と言い表せる作品に仕上がっています。
このアルバムあたりからメロディアスな仕上がりになっていき、自然と口ずさめるような曲(Happy Houseなど)が増えてきた印象です。
人気シングルの「Happy House」と「Christine」が収録されており、当時の全英アルバムチャートで最高5位を記録するなど、ファンの間でも評価が高いアルバム。
80年代ネオサイケデリック系統のアルバムでも、「Echo & the Bunnymen」の作品に次ぐ知名度と人気を誇るアルバムではないでしょうか。


1.Happy House ★おすすめ
2.Tenant
3.Trophy
4.Hybrid
5.Clockface
6.Lunar Camel
7.Christine ★おすすめ
8.Desert Kisses ★おすすめ
9.Red Light
10.Paradise Place
11.Skin

1981年発売の4枚目のアルバムである「Juju」
後に紹介しますが、7作目の「Tinderbox」と合わせて、Siouxsie And The Bansheesを語るうえで欠かせないアルバムになっており、最高傑作との呼び声も高いアルバムです。
邦題である「呪呪」が指し示している通り、呪術的・ゴシック的な要素が強まったアルバムに仕上がっています。
前作でサポートギタリストを務めたジョン・マクガフが正式にバンドに加入し、全体的によりメロディアスに、よりスピーディな楽曲が増えた印象です。
1曲目の代表曲「Spellbound 」から開幕するあたり、まさにイケイケで勢いが有り余っています。
ポジティブパンク・ポストパンク期のSiouxsie And The Bansheesを語るうえで欠かせない名盤です。
01. Spellbound ★おすすめ
02. Into the Light
03. Arabian Knights ★おすすめ
04. Halloween ★おすすめ
05. Monitor
06. Night Shift
07. Sin in My Heart
08. Head Cut
09. Voodoo Dolly
10. Spellbound [12" Mix]
11. Arabian Knights [12" Vocoder Mix]
12. Fireworks [Nigel Gray Version]


中期(A Kiss in the Dreamhouse~Tinderbox)

1982年発売、5枚目のスタジオアルバムである「A Kiss in the Dreamhouse」。
「Juju」の後に発売された、シングルベスト盤「Once Upon A Time: The Singles」で1つの区切りをつけたことで、サウンドには変化が見られました。
アルバムジャケットからもわかる通り、パンキッシュな前作までとは一線を画し、サイケデリックサウンドが前面に押し出されているアルバムになっています。
パーカッションやハーモニカ、オルガンなど様々な楽器を使用することで、より幻想的で官能的な世界観を構築しています。
Siouxsie And The Bansheesの中期開幕の作品。
パンキッシュさは残しつつも、妖美でどこか怪しさやサイケ感漂う「Cascade」「She’s A Carnival」
このアルバムの人気楽曲で、ミドルテンポに進行しながら囁くようなボーカルが印象的な「Melt!」「Slowdive」
アルバム全体で約40分ないぐらいなのが欠点だが、「Siouxsie And The Banshees」が表現するサイケデリックで妖美な世界を是非堪能してください。
01. Cascade ★おすすめ
02. Green Fingers
03. Obsession
04. She’s A Carnival ★おすすめ
05. Circle
06. Melt! ★おすすめ
07. Painted Bird
08. Cocoon
09. Slowdive ★おすすめ

1984 年発売の6 枚目のスタジオ アルバム「Hyaena」
このアルバムには、The Cureのロバートスミスがギタリストとして参加しています。
ロバートスミス時代唯一のフルアルバムです。
シンセやピアノを楽曲に採用し、エスニック要素を追加したりと、発展性を見出そうと試行錯誤していたことが伺えるアルバムになっています。
また、シングル曲「Dazzle」、米国版にはThe Beatlesのカヴァー「Dear Prudence」が収録。
ロバートスミス在籍時唯一のアルバム、The Beatlesのカヴァー収録と話題はあるものの、少しパッとしない印象のアルバムではあります。
しかしながら、エスニックかつ呪術的なサウンドの「We Hunger」や「Blow The House Down」といった、次作かつ傑作アルバムである「Tinderbox」へ繋がる要素を感じることができます。

01. Dazzle ★おすすめ
02. We Hunger ★おすすめ
03. Take Me Back
04. Belladonna
05. Swimming Horses
06. Bring Me The Head Of The Preacher Man
07. Running Town
08. Pointing Bone
09. Blow The House Down
※Dear Prudence ★おすすめ



1986年4月21日に発売した、7 枚目のスタジオ アルバムである「Tinderbox」
前作「Hyaena」では、The Cureのロバートスミスがギタリストとして参加していましたが、その後The Cureの活動に専念するため脱退。
後任には、Clock DVA のギタリストだったジョン・ヴァレンタイン・カルーソーズが加入しています。
前作「Hyaena」でのサウンドを昇華させ、今作はアグレッシブなギターとスージーの円熟した歌唱を生かし、よりエモーショナルで・官能的で・攻撃的なアルバムになっています。
「A Kiss in the Dreamhouse」を、煌びやかさ・妖美さはそのままに、「Juju」の頃のようなアグレッシブさを混ぜ合わせ、よりアップテンポなサウンドになったというのが適した表現になるでしょうか。
シングル曲で代表曲でもある、「Cities in Dust」と「Candyman」を収録。
アルバムとしての完成度はもちろんですが、1.Candy Manから4.Cities In Dustの前半部は特に秀逸な出来になっており、名盤「Juju」と合わせて、Siouxsie And The Bansheesを語るうえでは外せないアルバムになっています。

1.Candy Man ★おすすめ
2.Sweetest Chill ★おすすめ
3.This Unrest
4.Cities In Dust ★おすすめ
5.Cannons
6.Party's Fall ★おすすめ
7.92
8.Land's End

1987年発売した8枚目のスタジオアルバムである「Through The Looking Glass」
今までのスタジオアルバムとは違い、カバー曲のみで構成された異色作になっています。
イギー・ポップ、テレビジョン、ロキシー・ミュージック、クラフトワークなど、「Siouxsie And The Banshees」というバンドに影響を与えたであろう個性派な先人達の楽曲を、バンシーズ流のアプローチで聴くことができます。
実力のあるバンドは、カバー曲を自分たちの曲かのようにしてしまうとはよく言ったもので、数ある名曲たちをバンシーズの新曲であるかのように聞かせる技術には脱帽します。
スージーのボーカルも、中期は表現力豊かな歌唱になっていることも影響しているのでしょう。
カバー曲のみ収録されているので、アルバム全体としての統一感はありません。
シングルコレクションを聴くような気持ちで、気に入った曲をピンポイントで聴くと良いと思います。
おすすめは、クラフトワークの「Hall Of Mirrors」とイギーポップの「Passenger」です。
特に「Passenger」は、このアルバムで一番人気であろうカバー曲なので、是非一聴あれ。

1.This Town Ain't Big Enough For The Both Of Us
2.Hall Of Mirrors ★おすすめ
3.Trust In Me
4.This Wheel's On Fire
5.Strange Fruit
6.You're Lost Little Girl
7.Passenger ★おすすめ
8.Gun
9.Sea Breezes
10.Little Johnny Jewel
※↓2014年発売分のボーナストラック
11.She Cracked (ボーナストラック)
12.Song From The Edge Of The World (7' version) (ボーナストラック)
13.This Wheel's On Fire (Incendiary Mix) (ボーナストラック)
14.The Passenger (llllloco-motion mix) (ボーナストラック)

後期(Peepshow~Rapture)

1988 年発売9枚目のスタジオアルバム「Peepshow」
ギタリストのジョン・ヴァレンタイン・カルーソーズが抜け、「Specimen」 に在籍していたジョン・クラインが参加
キーボード&チェロ&アコーディオン奏者のマーティン・マッカリックが参加しています。
今までのゴシックやパンキッシュな作風から一転して、ポップさを基調にカントリーやファンク、ゴスペル調の曲を取り入れるなど、バラエティー豊かな作風に仕上がっています。
Vo,スージーの歌唱もより表現力溢れる方向性へシフトし、バラエティー豊かな作品へのアクセントとして一役かっています。
人気シングル曲「Peek-A-Boo」を収録。
実験的なアルバムながらも、中期アルバム「Hyaena」とは違い、良い意味で新境地を開拓できたアルバムになっています。
Siouxsie And The Bansheesの後期人気アルバムです。

01. Peek-a-Boo ★おすすめ
02. Killing Jar, The 
03. Scarecrow ★おすすめ
04. Carousel
05. Burn-Up
06. Ornaments of Gold
07. Turn to Stone ★おすすめ
08. Rawhead and Bloodybones
09. Last Beat of My Heart, The
10. Rhapsody

1991年発売10枚目のスタジオアルバム「Superstition」
今作は、前作のポップ路線をそのままに、テクノ基調のサウンドを採用。
よりディスコチューン、ダンサンブルなアルバムに仕上がっています。
ポップサウンドでありながらもスージーの歌唱も相まって、耽美で幻想的な世界観が構築されています。
アルバムジャケットから考えても「光、聖母」という言葉が一番合うかなと思います。
シングル曲「Kiss Them For Me」収録。
実はこの「Kiss Them For Me」が、Siouxsie And The Bansheesのシングル曲で一番売れた曲になっています。
前期中期とは違う作風ながらも、「Siouxsie And The Banshees」の名前を広げることになった人気作品です。

01. Kiss Them for Me ★おすすめ
02. Fear (Of the Unknown) ★おすすめ
03. Cry
04. Drifter
05. Little Sister
06. Shadowtime
07. Silly Thing ★おすすめ
08. Got to Get Up
09. Silver Waterfalls
10. Softly
11. Ghost in You, The ★おすすめ

1995年発売11作目最後のスタジオアルバムである「The Rapture」
一部楽曲を、元「the Velvet Underground」のジョンケイルがプロデュース、チェロでの演奏参加をしています。
それも相まってか、今までのSiouxsie And The Bansheesと雰囲気が少し変わった作品に仕上がっています。
オルタナティブポップとでも形容すればよいでしょうか。
基本的には後期特有のポップさを前面に出した作品にしあがってますが、最後の最後の「Love Out Me」でSiouxsie And The Bansheesらしいゴシックロックをたたきつけてきます。
この作品を最後に、Siouxsie And The Bansheesは解散しました。
バンド活動の最後を飾ったという意味で、名曲「Love Out Me」だけでも聴いていただけると嬉しいです。

01. O Baby ★おすすめ
02. Tearing Apart
03. Stargazer ★おすすめ
04. Fall from Grace
05. Not Forgotten
06. Sick Child
07. The Lonely One
08. Falling Down
09. Forever
10. The Rapture
11. The Double Life
12. Love Out Me ★おすすめ

さいごに

 1995年ベルギーでのライブが最後の活動となり、バンシーズは20年に及ぶ歴史に終止符を打つこととなりました。
解散後のスージーとバッジー夫婦は 、「The Creatures」の活動 に専念することになります。
2007年に スージーはバッジーと離婚し、これに先立って The Creatures も解散しています。

近年ですが、以下2作品を発売しました。
・「Downside UP」Bサイドトラックと未発表音源を収録したボックスセット
・「All Souls」Vo.スージー・スーが監修した代表曲&レア曲のコンピレーションアルバム

ポストパンク・ゴシックロックを語るうえで、外せないバンドの一つが、「Siouxsie And The Banshees」です。
それぞれ前期中期後期分けたうえで、最初に聞くなら「Juju」「Tinderbox」「The Rapture」あたりがおすすめです。
是非一度ご清聴あれ!

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