見出し画像

ゴシックメタルの雄、Type O Negativeについて

私が初めてType o negativeに出会ったのは、高校生、17歳ごろだったと記憶している。
当時、パワーメタルやメロディックデスメタルを主に聞いていたのだが、早い展開の音楽に飽きが来ていたのだ。
そして、ドゥームメタルやストーナー、ゴシックメタルに手を出そうと思い、偶然たどり着いたのだ。
Type o negativeは、ゴシックメタルというジャンルで語られることが多いが、実際のところ越境的な要素を持つバンドである。
それは、The BeatlesやBlack Sabbathなどからの影響を受けており、ハードコアやストーナー・サイケ、ドゥームメタル的サウンドが散見されるからである。
実際に、Type o negativeのアルバムにカバーバージョンが収録されている。
前身であるバンド、Carnivoreではハードコア要素が前面に出されてたのも特徴的である。
今回は、そんなType o negativeについて、アルバムも含めて語ろうと思う。

Type o negative解説

メンバー紹介

ピーター・スティール (Vo/B)
オリジナルメンバーの一人
吸血鬼のような見た目、2mを超える身長と圧倒的筋力、倍音豊かな低音でカルト的人気があるフロントマン
作詞も担当
2010 年 4 月 14 日死去

ケニー・ヒッキー (G)
オリジナルメンバーの一人
楽曲で所々見られる高めのシャウトコーラスは、彼が担当している
後述するが、Type o negative解散後は別バンドで活動中

ジョシュ・シルヴァー (Key)
オリジナルメンバーの一人
バンド解散後は救急救命士になった模様

ジョニー・ケリー (Ds)
1994年にバンドへ参加
後述するが、Type o negative解散後は別バンドで活動中

サル・アブラスカート (Ds)
オリジナルメンバーの一人
1994年ごろまで在籍
後述するが、Type o negative解散後は別バンドで活動中

アルバム紹介(コンピレーション除く)

1作目 Slow, Deep And Hard

ファーストアルバムである今作は、前身バンドであるCarnivoreの延長線上のハードコアサウンドが特徴的。
ハードコアサウンドを基調としつつも、所々ブラックサバスのようなドゥームメタルサウンドが見え隠れする、Type o negative前夜ともいえるアルバム。
おすすめ
Xero Tolerance、GRAVITATIONAL CONSTANT: G = 6.67 × 10⁻⁸ CM⁻³ GM⁻¹ SEC⁻²

2作目 Origin Of The Feces

セカンドアルバムである今作は、一部1stアルバムであるSlow, Deep And Hardで収録されているものを再録した曲で構成されている。
このアルバムで特筆すべきは、当時話題になった、Black sabbathの名曲であるParanoidのカバーだろう。
地鳴りのようなサウンド、あまりにもスローすぎるテンポ、囁くようなピーターの低音。
メタルであるはずなのに、まるでヒーリングミュージックと言わんばかりの浮遊感漂うサウンドである。
これぞ正しくType o negativeと言い表せるサウンドであろう。
ちなみに、発売当初のオリジナル版は、かなり下品なジャケット写真になっているため検索したり調べる方は注意すると良い。
おすすめ
Are You Afraid、Kill You Tonight、Paranoid

3作目 Bloody Kisses

Type o negativeの3枚目のアルバムで、このバンドを語るうえで重要視されるアルバムである。
このアルバムから、明確にゴシックメタルを意識したサウンドが採用されており、尚且つエロティシズムを感じさせるようなアルバムになっている。
ただ、ハードコア要素のある曲だったり、SEが入り乱れており、全体通して考えるとカオスといえるようなアルバムになっている。
敬虔なクリスチャンの女性が過ちを犯すことについて書かれたChristian Womanとドゥーム、ストーナーサウンド満載のBlack No.1は、バンドの代表曲と言って差し支えない定番曲となっているので、是非聞いてほしい。
他にも、Summer BreezeやToo Late:FrozenなどType o negativeサウンドを体感できる曲が収録されている。
Type o negativeの通算アルバムの中で、このアルバムは分岐点になっているので、必聴レベルで聴いてほしい。
おすすめ
Christian Woman、Black No.1、Summer Breeze、Too Late:Frozen

4作目 October Rust

前作Bloody Kissesのヒットを受け、明確にゴシック的アプローチが強まったアルバムになったのが、この4作目October Rustである。
カオス満載の前作とは違い、アルバムを通して、閉塞感・浮遊感・耽美性を感じることができる。
ドゥームの閉塞感、ストーナーサイケの浮遊感、ゴシックの耽美性が合わさった、Type o negativeの傑作アルバムである。
バンドを代表する楽曲である、Love you to Death、My Girlfriends Girlfriend、Wolf Moon、ニールヤングのカバー曲であるCinnamon Girlが収録されている。
他にも、Be My DruidessやGreen Man、Die With meなどファンから根強い人気を持つ曲が、多数収録されているアルバムでもある。
Type o negativeの作品の中でも、必聴盤と言って差し支えないであろう。
是非一聴すべし!
おすすめ
Love You to Death、Be My Druidess、Green man 、My Girlfriend's Girlfriend、、、、というかアルバムすべてがおすすめである。
全部聴いてくれ!

5作目 World Coming Down

Bloody KissesとOctober Rustに比べて、閉塞感や虚脱感が強まったのが、5作目、World Coming Downである。
これには理由があり、前作前々作で定着してしまった性的なテーマからの脱却、またピーターの親族の死に関連して作成されたからである。
死や薬物に関する曲が多く収録されており、これはType o negativeの通算で最も暗いアルバムであると言われている。
そんなアルバムではあるが、代表曲であるEverything DiesとEveryone I Love Is Dead、さらにThe Beatlesのカバーメドレーも収録されており、ビルボード39位を取るなど世間からは評価されていたようだ。
2021年、メタルハマー誌の1999年のベスト・メタル・アルバム20枚に選ばれたらしい

おすすめ
Everyone I Love Is Dead、Who Will Save the Sane?、Everything Dies、All Hallows Eve、Day Tripper (medley)


6作目 Life Is Killing Me

前作5作目は、通算で一番暗いアルバムになっていたが、今作も前作ほどではないが暗さ・虚無感を感じられるアルバムになっている。
また、この頃にはゴシックバンドというよりは、ドゥーム要素があるロック感だったりストーナー・サイケ色のほうが強くなっている。
前作はピーターの親族の死とイメージ脱却に悩んでいたが、今作制作時は、ピーターの両親の死や女性関係など精神的にも参ってたようだ。
ひたすら自己否定をし続けるパンクロック的名曲のI DON'T WANNA BE MEや、亡き母を思うマザコンソングのNettie(母親の名前らしい)、煌びやかなキーボードが印象的で、愛なんていらないとシャウトするAnesthesiaなど名曲も収録。
個人的にも好きなアルバムで、特にI DON'T WANNA BE MEは必聴もの。
自己否定最高!
おすすめ
I DON'T WANNA BE ME、Life Is Killing Me、Nettie、Angry Inch、Anesthesia


7作目 Dead Again

通算7作目のスタジオアルバムのDead Again。
アルバムジャケットは、ロシアの怪僧グリゴリー・ラスプーチンである。
このアルバムが発売されたのは2007年3月13日だが、約3年後にピーターが亡くなったことで、最後のスタジオアルバムとなった。
初期のハードコア期の要素を少し出してきたアルバムになっていて、タイトルにもなっているDead Againや2023年先日AIによるPVも作成されたHalloween in Heaven、Tripping a Blind ManなどCarnivoreからのファンにも嬉しい内容になっている。
ハードコアだけでなく、シャウト渦巻くバラードの名曲September Sunやストーナー的良曲An Ode to Locksmithsなど、Type o negativeらしさは健在の良盤になっている。
おすすめ
Dead Again、Halloween in Heaven、September Sun、An Ode to Locksmiths


最後に

メンバー紹介であった解散後の動向について
Gのケニーは先日新しいバンドがスタートすることをリリースした
その名もEYE AM
グランジやold rockといった印象で、ケニーは高音も出てロックに似合う声質をしているので、非常に歌ってて映えます。

Dsのジョニーとサルは、ポジションを替えて新バンドを立ち上げました。
その名もA Pale Horse Named Death
ドゥームやゴス、ストーナーやグランジのサウンドを上手く混ぜたようなサウンドです。

ジョニーはA Pale Horse Named Deathを脱退し、現在Quiet Riotでプレイしているよう。

長くなりましたが、Type o negativeの紹介を終わります。
耽美的で閉鎖的で浮遊するようなこのサウンドの魅力に取りつかれてくれる人が出るように祈っています。
どこかの誰かの役に立ちますように。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?