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【中島みゆき】4.2.3.

『4.2.3.』というタイトルから、私はペルー日本国大使公邸占拠事件(1997年)を連想できない。
物心ついていない頃だったから。
それからもう一つ。
日本社会がこの事件に触れないから。

中島みゆきのこの歌を知ったのは偶然だった。
でも、この時期に知れたのは必然だと思えるほど、衝撃を受けた。
ペルー特殊部隊が強行突入して、人質を解放した4月23日がこの歌の由来。
この歌の最後の方に、こんな歌詞がある。

「この国は危い
 何度でも同じあやまちを繰り返すだろう
 平和を望むと言いながらも
 日本と名の付いていないものにならば
 いくらだって冷たくなれるのだろう」

衝撃だった。頭を殴られる、というより、頭の中から頭を殴る何かの音が聞こえた。
20年前に、この国の姿を言い当てている人がいたのだと思った。
日本人以外と、日本人の違いはなんなのだろう。
日本で育ったこと?
日本語が分かること?
日本の文化を知っていること?
国籍が日本なこと?
では、これらを満たしていて、日本人でいたくないと思っている私は?

この歌のなかで、兵士は黒い蟻に例えられている。
この蟻という比喩。
黒くて、小さくて、働き者の蟻。
その存在に気付けない人が、嬉しそうにリポートする。
私は、私たちは、足元の蟻にも気付けないのに、故郷の何を語るのだろうか。

私は、白より、黄色より、黒い蟻がいい。

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