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小娘はババァになる

大好きだったバイト先に、大嫌いだったジイさまと呼ばれている人がいました。もちろん、本人の前では呼べないあだ名。
「小娘ごときが」
「ガキが文句言うな」
といつもいつも言われていました。
うんざりでした。私だって好きでこの年齢でいるんじゃないと思っていました。高校の頃から目が覚めたら30歳くらい年を取ってないかなと考えていたのが、更に強くなりました。


ちょうどその時に、異動してきた社員さんと話していて、そんな話になりました。
若いのは嫌ですって言いました。それだけで馬鹿にされるから、早く年を取りたいんですって言いました。そうしたらもう、クソガキがって言われなくて済むから。
「ジイさまだろう?」
その社員さんは言いました。そうですよ、ガキが女がってバカにされるんですよと言ったら、
「でも、年取ったらババァってバカにされるからね」
と言われました。


幾つであろうが、バカにする人は理由を見つけてバカにするんだなぁ。そう思ったら、すごく楽になって今の年齢でしか感じられないことを大事にしないといけないのかなって自然に思えました。


もう私は、余分に年を取りたいとは思いません。もちろん、年を減らしたいとも思いません。私は今の年齢でしか感じられないことを感じていくべきだし、もう昔の年齢で感じられることは感じたからです。
ジイさまは恐かったのかなぁと思います。自分の年齢でないと感じられないはずのことを既に周りが感じているようで、自分の経験が大したことのないように思えて、恐かったのかもしれません。
でも、幾ら恐くても、努力しても何も出来ない年齢でバカにするのは狡い人だったなと思い出します。でもそれは、努力しても自分が先に死んでいく恐怖だったのかもしれません。


ジイさまの気持ちは、分かりたくありません。恐くても、自分が感じてきたことを自分で信じられる人間になりたいです。
とは言いつつ、ジイさまという呼称から何とかしなくてはいけませんね。



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