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他人とわかりあうのは難しい

漫画『夏目友人帳』に出てくる、名取さんが言っていたセリフが今日はいやに沁みた。


猫に言わせてみた


病気の母を持ついとこが、「郁ちゃん、わかりあうって難しいもんかねえ」とLINEしてきた。

どうした、哲学的なことを言い出して...

心配になりながら聞いてみると、職場で仲良くなった人がいるという。

その仲良くなった人・Aさんには、認知症のお母さまがいたが、そのお母様は随分前に亡くなっているそうな。

それで、仲良くなった頃、ふっと母の愚痴を言いたくなって、「うちの母は、重い精神病で」とこぼしてしまったそう。

病気の種類は違えども、もしかしたら、共感してもらえるかな...と思ったみたいで。

するとAさんは、「どんな親でも、優しくしてあげないと」と言われたそうだ。
いとこは、「何も知らないくせに」と腹が立ってしまったという。

「郁ちゃん、わかりあうって難しいもんかねえ」
それで、先の発言になったらしい。

他人と私は違うのだ

うーんと唸りながら、いとこに言った。

「頷いて欲しかったわけだわね、大変だねってさ」

「そういうときがあるわね」

「私は発達障害があるけどさ」

「むかーし、仲の良かった友達に、話したわけさ」

「そうしたらね、『そんなのは甘えだ』『できないことを言い訳にしているだけだ』と言われたわけよ」

「友達が悪いわけでもないのよな。
ただ、彼女は経験してないから、わかんないわけさ」

「ただ、それから、リアルな友達には話してないね」

「話すなら、顔も名前も知らない誰かの方がいいよ。
リアルで話しても、個人的にはあんまり良いことはなかったし、理解してくれる人がいる畑で動いた方が楽よ」と。

…もちろん、リアルで話しても理解してくれる人はいると思う。
だから、リアルな友達に話すのが悪いわけじゃない。

ただ、話した後で思った反応と違ったときに、やっぱりショックを受けるだろうし、今までと同じ付き合いはまずできなくなるだろうから...ということを話した。

なんだか夢も希望もない言い方になるんだけど、やっぱり、人間って同じ立場になってみないとわからないと思うんだよね。



私には私の大変さがある、あなたにはあなたの大変さがある

大変にドライな考え方をしているなあと我ながら思うんだけど、同じような体験をしている人でも、感じ方や捉え方が変わってくることもあると思うんです。

たとえば、同じ発達障害でも、自分の困りごとが同じように他の人にあてはまるかといえば、必ずしもそうではないわけです。

また、発達障害ではないからと言って人生イージーモードかといえば、そんなこともないわけ。

大なり小なり、人はそれぞれに人生課題があって、悩むことは必ずあると思うんですよね。

同じ人生課題にぶちあたっても、サクッと乗り越えられる人もいれば、それが後々になるまで自分の足を引っ張る...ということもある。

でもそれって、その人が弱いからとか強いからとか、頭がいい悪いじゃなくて、培ってきた考え方であるとか、トラブルに対する対処法のカードを自分の中にいくつ持っているか(場数をいくつ踏んでいるか)によっても変わってくるものだと思うんですよね。

だからなんていうか...

自分のものさしで、「これくらいどうってことないでしょ?」とか、「家族は大事にしなきゃ」とか、あるいは「結婚しないと一人前になれない」とか、軽々しくいうもんじゃないよなあと思うのね。

これは自分自身に言い聞かせていることでもあります。


自分が相談を受ける時は、「他人の悩み」に踏み込みすぎない


私はよく、母から相談ごとを受ける。

それは、伯母の件だったり、父の件だったり、あるいは弟たちのことだったりするんだけど、大事にしているのは、

私の意見をおしつけない こと。

ふんふんと話を聞いて、「えー、それひどくない?」とか、「それはむかつくわ」とか同意はするけどアドバイスはしない。

「どうしたらいいと思う?」と聞かれたら、「今までのパターンだと△△したら⚪︎⚪︎だったから、次は▫️▫️してみたら?」みたいな経験を交えつつアドバイスしたりはするけど、「⚪︎⚪︎したほうがよくない?」みたいな言い方はしないようにしている。

「たとえば私だったらこうするかもしれないけど」
「でも最終的には、やっぱり話し合って決める方がいいよ」とかは言うけど。

結局、他人の悩みは他人の悩みであって、たぶん解決法は本人の中にしかないので、現状の気持ちの整理を手伝うとか、解決法が思いつかないなら解決法を考えて、あとは本人に選択してもらうとかの方が良いかなと思う。

すごくざっくりした言い方になっちゃうけど、他人の悩みに、私の主観は必要ないわけだから。

踏み込みすぎてはいけないのだよなあと思うし、
なんていうのか...軽々しく「私はこうだったからあなたもきっとそう」みたいな決めつけはしちゃいかんよなと思うよ。




おわりに

なんていうのかね、同じ病気や障害でも、たとえば程度が違ったり、元気な時とそうでないときの落差ってそれぞれに違ったり、落ち込むポイントがそもそも違ったりするわけじゃない?

これだけたくさんの人が生きているわけだから。

なんていうか、こう...難しいけど、そういう想像力は忘れないようにしたいなあと思った出来事でした。

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