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キューバ #8 / サルサ


帰り道は後部座席に座ってゆったりと風景を楽しんでいると、ドライバーのお姉さんが急にクラクションを何度も鳴らした。

「あそこ娘の学校なの、通り過ぎる時はクラクションを鳴らす約束になっているから」と。嬉しそうに娘の話をするお姉さんがとっても可愛かった。

キューバでクラシックカーに乗るという夢をまたひとつ叶えてウキウキしながらホテルに戻る。サクッとフレッシュアップし、今日は夕日が綺麗なはずだからとディナーの前に海岸べりへ向かった。

太陽が低くなり空全体が黄色く色づき、次第にオレンジに変わっていく。遠くで観光客相手に歌を歌うグループがいいBGMになりしっとりしがちなサンセットがラテンにポップになった。

ずっと行ってみたかった場所で、こんなに綺麗な夕日が見れて本当に幸せだなと全てに感謝した。

街頭が少ないオールドハバナの夜はライトアップされた建築物が浮かび上がって本当に美しい。クラシックムービーに出てくるようなタクシーで大通りを走っているとパリに居るみたいだ。

行こうと思っていたレストランが臨時休業中だったため、近くのレストランまで現地の人がよく利用している自転車タクシーに乗った。実はこれずっと気になっていて乗れることになって嬉しかった。

自転車に屋根付きの座席をくっつけた手作り感全開のその乗り物は、人力車的な感覚でローカルに街を楽しめる。

家のほとんどは窓やドアが閉まっておらず飾り鉄格子だけで、それ越しにテレビを見たり子供と遊んだりしているのが見える。自転車タクシーでいわゆる住宅地を走ったことでまた違った街の表情を見ることができた。

正直あんまりキューバで”お洒落”は期待してなかったけど、よく言うヒップな感じのレストランも多くその夜 行ったのもルーフトップバー付きの素敵なところで、ご飯もとても美味しかった。

食事の後は店員さんから情報を得て人気のサルサバーに行くことに。生バンドと生歌でサルサを踊れるその場所はキューバ最後の夜にぴったりだった。

ステージ上でダンサーの人たちが踊り方を教えてくれた後に、いよいよショーが始まると周りのテーブルの人たちが徐々に立ち上がって踊りだしたので、私たちもリズムに乗って楽しんだ。

カメラマンの友達が最初のステージでひときわ目立っていた男性ダンサーをオールドハバナの街で撮影したいと言い始め、口説いてくるとバックステージに消えていった。

しばらくすると私服に着替えた男性ダンサーと一緒に友達が戻ってくる。私たちに紹介してくれ一緒に飲むことになり、旅ならではの出会いは心地よく、すぐに打ち解けた。

キューバのアメリカンアイドル的なダンスのオーディション番組にも出たことがあるという彼は目隠ししながら激しいサルサを踊るビデオを見せてくれ、私達は「おおおおー」と拍手。

Intagaramのアカウントを聞かれたけど、僕はそんなに触ったことがないんだけどねといいキューバのネット環境のことを改めて思い出した。

そこから彼にサルサを習ったらいいじゃんという友達の提案に彼が乗ってくれ、手取り足取り教えてもらい、人生初のサルサをなんとも贅沢なシチュエーションで踊った。

そのまま彼と一緒に次の店に行くことになり、またこれも縁だなと。私は次の日のフライトが早朝だったため先にホテルでドロップオフしてもらったが3人は夜の街に繰り出していった。

続く

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