野菜料理とカプチーノが美味しいカフェ

大学生のころ、地元成田のカフェでアルバイトをしていた。
美味しい成田の有機野菜と美味しいカプチーノのお店。

私はこのお店でのアルバイトの経験や知識が、今でも自分の中に生きていて、日々の生活を彩るとっても大切な要素になっている。

そのお店で働く前まで、
私の食生活はごく普通のものだった。

好きな食べ物は、
鶏の唐揚げ、ラーメン、海老フライ、ハンバーグ。

好きな飲み物は、
紅茶、緑茶、オレンジジュース。

そのお店で働きはじめてから、
ベジタリアン、マクロビオティック、ヴィーガン、自然由来、無添加、などの言葉と出会った。

そして、コーヒーの世界とは無縁だった私が、illyの豆を使ったカプチーノ、イタリアンバールの世界と出会い、コーヒーが好きになった。

お店の場所は、
今は移転して日赤病院の近くにあるが、
私が働いていた当時は、
駅から成田山新勝寺に続く表参道の入り口にあった。
五月詣でや祇園祭、お正月の時には沢山の観光客や地元のお客さんで賑わう通りだったので、特に祇園祭やお正月の時期はお客さんがたくさん来てくれて忙しかったのを覚えている。

また、国際空港が車で数十分の場所にあるので、
外国人観光客や航空会社のクルーも、よく表参道で見かけることがあった。
マスターはオーストラリアに住んでいたことがあって日常的な英会話がスラスラと喋れるのと、野菜中心のメニュー、美味しいカプチーノが飲めるということもあって、海外クルーがよくカフェにも訪れていた。
フライトの度に立ち寄ってくれるパイロットもいた。

常連のオーストラリアのクルーは皆んな優しかった。
私と英語で話すときはゆっくり話してくれたし、私の英語にも耳を傾けてくれた。
成田では幼稚園から英会話教育を受ける機会があったし、私は小学校高学年から中学生の間、英会話教室で英語の勉強をしていたので、最低限の接客に必要な英会話くらいは、マスターには及ばないが、なんとかなった。
後にも先にもその時が1番英語を話せていたと思う。

そんなわけで、門前町としての伝統と、国際色の豊かさ、両方を併せ持つ成田の街に根付くお店というのが、特徴的だった。

お店で出すお料理は全て野菜料理。
動物性の食材や出汁は使わない。
美味しい地元の有機野菜をマスターが調理すれば、
野菜のパワーがばしばし伝わってくるご馳走になる。
野菜だけでこんなに美味しいお料理が作れるのかと感動した。
当時はまだヴィーガンとか菜食主義とか、マクロビレストランとかぜんぜんない時代だったので、お客さんに説明するのが大変な時もあった。
ベジタリアンの方たちは、それぞれ考え方なども違うので、ケースバイケースで対応することもあった。
ただ、マスターは別にベジタリアンのために野菜料理を提供しているわけじゃない。
実家が米農家で農協で働いていたマスターは、同世代の仲間が作っている、美味しい地元の野菜を、地元の人に知ってもらいたい食べてもらいたいという、純粋な想いからお料理を提供していた。

この経験は、今のインド料理・スパイス料理作りにものすごく役立っている。野菜や野菜料理に関する経験や知識が自分の中に溶け込んでいたから、ベジカレーや野菜のスパイスおかずへの理解も、早く深かったのだと思っている。

野菜料理をいただいた食後には、マスターの美味しいカプチーノをいただく。
イタリア式の美味しいカプチーノ。
マスターは研究熱心で、バリスタ認定試験も受けて、マシンのレベルも少しずつグレードアップさせていった。
成田で1番美味しいカプチーノが飲めるお店だと思う。
マスターのコーヒーの味に惚れこんで、通ってくれた海外クルーの人たちの顔は今でも覚えてる。
常連さんの中には、椅子のある座席には座らず、さながらイタリアンバールのバンコスタイルで、マスターの目の前でコーヒーを飲むお客さんもいた。

私はマスターに、ドリップコーヒーの淹れ方や、エスプレッソの抽出方法、フォームミルクのスチームの仕方と注ぎ方などを教えてもらった。

当時は自分で牛乳を買っていって、バイトの空き時間にミルクのスチームの練習をしたりして、ハートマークをかろうじて注げるようにはなっていた。

今の家に引っ越した時、置く場所がなかったため家庭用エスプレッソマシンを手放してしまい、もう腕が完全に鈍ってしまったが、コロナ禍で少し時間ができたのもあって、あの時手放さなければよかったなぁなんて思ったりもしている。

少しまとまらないけれど、私が野菜やコーヒーを好きになったキッカケとなった大切な場所の話をnoteでしておきたかったので、ここに記しておく。

本当に美味しい野菜と、コーヒーとの出会いは、
その後の私の人生をとっても豊かなものにしてくれた。

今でも地元に帰った時にふらっと立ち寄ると、暖かく迎えてくれる、大別な場所です。