信じてみようかなって思う人にはこれがある
初対面でも「この人の言葉を信じてみてもいいかも」って思う人がいる。どうしてそう思えるのか、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』でわかった。
国際霊柩送還士(こくさいれいきゅうそうかんし)と読むんですって。きっとこのドラマを見なかったら、知らなかった職業のひとつだろう。
そして、海外で亡くなる日本人って、ニュースになるくらいのテロや事件に巻き込また人のことだと思っていた。よく考えてみると、海外で生活していれば病気や交通事故で亡くなってしまうこともある。
私が感動したのは、遺体に敬意を示す場面。
「残された人たちは前を向いて、生きて行かなきゃいけない。最期のお別れをさせてあげて、とことん悲しんでもらう」
主人公の米倉涼子(この会社の社長)の言葉。最期のお別れって身が引き裂かれそうなほど悲しいし、もう会えないんだと思うと悔しい。だけど、最期のときに悲しんでおくって「さよならが言えた」って心が落ち着ける。
そのために、全力で力を尽くす。大使館や警察にご遺体が、早く、無事に日本に帰れるように話をつけり、遺体の状態を良くしたり、遺族の希望に添えるように手配をするシーンがあった。
痛くなかったかな、苦しくなかったかな、そんな悲しい心配があるけど、最後に見る顔が、昼寝でもしているような顔をしていたら、心が落ちつく。
ご遺体に対面して「大変でしたね。日本に帰ったらキレイにしますから。」と生きているように話しかけていた。
祖父母が亡くなったとき、葬儀屋さんが丁寧に扱ってくれて、感謝の気持ちがわいてきたのを思い出した。
生前を知らなくても、一生を終えた人に敬意を持つって遺族にとって救いだから。残された遺族の気持ちを察して、それを態度や言葉で伝えるのがプロの技。
遺体を引き取り、飛行機に乗って日本に帰る、そして、キレイに整えて最期のお別れをしてもらう。
そんな中で、希望に添えることと、できないことがある。例えば、「現地に着いたらすぐに会えるって言ったじゃない」って母親が詰め寄るシーンがあった。
それには理由があり、損傷が激しくてすぐには会えない状態だったから。だから、現地まで来たけど母親には合わせない方がいいだろうという判断になったのだった。
だけど、激しく抗議されてしまった。できないことを言ってはいけなかった。落ち着いてほしいからと都合のいいことを言うと、できなかったときに激しく責められて、信じてもらえなくなる。
「もう少し時間がかかります」と言われても「遺体によからぬ手を加えてるんじゃないか」と思われてしまう。信頼ではなく疑われてしまうのだ。信頼されるために、どんなことをしているのか注意深くみていたら、気が付いた。
それは、ウソをつかないこと。できることは「希望に沿えるように全力でやります」できるかどうかわからないことは、「できないかもしれません。だけど全力で取り組みます」と伝える。
そうやって言われると、不本意ではあったとしても納得できる。本当のことを言ってるなって思えば、不安定な精神状態でも受け入れられるのではないだろうか。
普段でも、都合のいいことは言わないけど、本当のことを言う人っている。冗談も言わないし少しも褒めてくれないけど、本当のことしか言わないから妙に信じられる人。
そこまでストイックになれなくても、ここぞというときに「できないかもしれない」ってきちんと言えるようになろう。相手のことを思うと、ダメだったパターンを想定しておけば、防げることもある。