人間関係で悩まなくなる能力
相手の気持ちがわかったらどれだけ楽なんだろう、って思ったことがある。会話がかみ合わないとき、普通だと思うことを相手がしなかったとき、その原因がわかるのは、相手の考えてることを覗き見ることしかない。
主人公の岸部露伴は、有名な漫画家。漫画にリアリティを宿すために外出するんだけど、奇妙なことに出くわす。
夢や妄想が苦手な現実主義者で、知識が豊富、自分の漫画を読んでくれる読者を大切に思っている。
そんな彼が、実はありえないような特殊能力を持っているところが、強味なようで弱点。
その特殊能力とは、「ヘブンズドア」と言って相手の顔の前に手をかざすと、お面のように浮き出てノートになる。そこには、人の記憶や心が書かれている。
例えば、家に入ってきた窃盗犯に「ヘブンズドア」を利用してその心理や背景を知ることができた。さらには、2人の窃盗犯が話していた、自分の漫画を読まなくなった理由もノートにあって知ることができた。
受験で漫画を読まなくなって頑張ったんだけど、大学受験に失敗したこと。
目の前にいる人の言動が理解できないとき、言葉や態度から相手を知ろうとする。正しく読み取れるときばかりではなし、本人も感情を正確に理解しているわけではない。
そう思うと、人の感情は不確かなもの。怒ってると思ったら悲しかった、とか、大事な何かを忘れて別のものに執着したり、自分で簡単にわかるものではない。
露伴のナレーションでこうある。
その正しい情報が、ヘブンズドアによって表れるノートに書いてある。
もし、相手との話し合いがこじれたら、ヘブンズドアは使える。なにを考えていて、どうしてほしいのかがわかればこっちのもの。気絶していた相手が起きたら、堂々と解決策を提示できる。
相手に言われたくないことも聞かなくていいし、言いたくないことも言わなくて済む。悩みの9割が人間関係だと言われているけど、それが2割くらいに減らせるんじゃないだろうか。
好きなあの人のタイプも知れるし、心の隙間を埋めてあげられて、私がいないと生きていけない、一緒にいてほしい、なんて、相手を操るような夢のようなことができるかもしれない。
夢みたいなことを想像してみたけど、「ヘブンズドア」という特殊能力がない私たちは、言葉や態度で相手の気持ちを読み取るしかない。相手とケンカして、間違えて、傷つく。
そうして、同じケンカを繰り返さないように、考えて、悟って、改善して、傷つかないようにする。相談した相手が親身で、友達になるかもしれないし、いつか、自分の経験が誰かの役に立つかもしれない。
うまく使えば最高の能力の「ヘブンズドア」だけど、無いことで得られることはある。こうして特殊能力が無い私たちの素晴らしさに気づかせてくれるのが、漫画のいいところなんだろうな。
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