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オンライン演劇のメリット、デメリット。生の舞台で観る演劇と比較をしてみた


劇団ノーミーツさんの旗揚げ公演、「門外不出モラトリアム」。
その素晴らしい新たなるエンタメをNYにて観劇した感想については、先日こちらの記事にまとめました。

新しい演劇のかたちとして、オンラインでできること全部つかって、おもしろいエンタメを届ける姿勢に心から拍手。まちがいなく成功の旗揚げ公演だったのではないかと思います。

あまりの反響の大きさも合ってか、再演まで決定...!
ほんとうに素晴らしいです。


演劇に限らず、新しい可能性が各業界でどんどん広がっている今、それでもやっぱり生の舞台でみる演劇が恋しい...と感じる、舞台好きの方もいらっしゃることでしょう。

今回は、生で観る舞台の演劇と比較した時の、オンライン演劇のメリットとデメリットについて書いてみようと思います。

オンライン演劇のメリット

1,コメント欄で好きなだけ喋れる
生でみる演劇の公演では、当然ですが上演中に喋るということは基本的に迷惑行為になります。役者さんのセリフが聞き取れなくなったり、音響演出の妨げになったり、何よりほかの観客が劇に集中できません。

しかしオンライン演劇では、コメント欄で自由に発言でき、観客どうしコミュニケーションを取りながら公演を楽しむことができます。コメント欄を見たくない人は非表示にすることもできるため、コメント投稿者は劇の妨げになる心配をせず自由に書き込みができる。劇中に自分の気づきや感想、疑問を他者と共有できるのもいいな、と感じました。

2,飲食自由、好きな場所、好きな体勢でリラックスして観れる
劇場で上演される演劇を観ている間は、休憩中以外でやたらと客席を離れることはできませんが、オンライン演劇の場合は通信環境さえ整っていればどこでも観られます。

もちろん、どれだけ体勢を変えようと席を離れようと、誰に迷惑がかかるわけでもないので自由です。観ている間に何を食べても、飲んでも、喫煙しても、問題はありません。周りを気にせずに、自分が一番リラックスした状態で演劇を楽しむことができます。

3,全員が特等席で見られる
劇場で公演を観る場合、どうしてもいい席と悪い席があります。舞台からの距離が近いか遠いかだけでなく、運が悪いと前の人の頭が邪魔になってしまったり、角度が悪くて見えないところがあったり。少しでも見づらいと、観劇中ずっとストレスになってしまいます。

しかし、オンライン演劇の場合は、座席による見え方のばらつきを一切気にする必要なし。観客全員が、しっかりと役者さんの表情を間近にみて楽しむことができます。


オンライン演劇のデメリット

1,臨場感を肌身で感じるのが難しい
やはり一番のちがいは、役者さんと同じ空間を共有できないことによる、臨場感や一体感の弱さ。役者さんを目の前でじかにみるのと、画面を通して見るのとでは、やはり見ている側につたわってくるエネルギーがちがいます。

声量の強弱や、息づかい、気配、体温、目線、空気感。そういったものは、やはり生の舞台ならではの醍醐味であり、人々が劇場に足を運ぶ最大の理由であるはず。それをオンラインで再現するのは、不可能に近いでしょう。

2, 演出や場面転換に限界がある
劇場で上演される演劇の場合、照明効果や音響、舞台装置をつかって空間の環境をガラリと変えることができるため、ストーリーに合わせてさまざまな演出や場面転換ができます。

しかし、今回の劇団ノーミーツさんのようなオンライン演劇では、基本的に役者さんはタネも仕掛けもない部屋の中で役を演じます。場面転換をするにしても、背景の小道具を変えたり、部屋の電気をつかったりというように、できることが限られています。そのような環境で場の印象を大幅に変えることは、なかなか難しいでしょう。

3, 観劇の特別感が薄まる
オンライン演劇の強みのひとつは、通信環境さえあればどんな場所でも気軽にリラックスして見られる点。

しかし、劇場に足を運び、客席でプログラムを読みながら、開演を今か今かと待っているときのあの高揚感や、ふだんの生活とは切り離された劇場という空間で、物語の世界観に全身が入り込むような感覚は、やはり舞台でみる演劇にしかない特別なもの。

こればかりは、体験した人にしかわからない、オンラインには変えがたい楽しみなのだと思います。


まとめ:オンライン演劇を、舞台に興味をもつきっかけに

5/31現在、日本では非常事態宣言が全国で解除されましたが、世界的にはまだまだ新型コロナウイルスの感染は収束していません。私のいるニューヨーク州でも、下がり続けていた新規入院者数が増えるなど、先の見えない状況が続いています。

そんな中でも、限られた環境の中でなんとかできることはないかと考え、今回のオンライン演劇のように新たな試みが生まれることは、すばらしいことだと思います。

今回の劇団ノーミーツさんを始め、オンライン演劇は自宅待機の時間を生かして観劇をした多くの人に感銘を与えました。

これをきっかけに、今まで以上に多くの人が、演劇をはじめとする舞台芸術に興味を持ち、いつかまた公演ができるようになった日には劇場に足を運んでみようと、そう思ってもらえたら。そんなふうに願う、今日このごろです。

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