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8月10日は「ハーゲンダッツの日」

「あーなんか熱があるかも」

どれどれとお母さんが額に手を当ててくれた。

「うーん、熱はなさそうだけどなぁ」とお母さん。

「体だるい?」

「……うん」

「ぶり返したかなぁ」

今日は土曜日で学校はお休み。
昨日は金曜日で本当は学校だったけどぼくは学校を休んだ。それは熱があったからだ。つまりは風邪をひいたから。

風邪をひくと学校に行かなくてよくなり、家の中で一日中お布団の中にいられる。だけどいつものお布団なのにずっとお布団の中にいるせいか、身体に当たるすべての面が面倒くさい感じで、身体は自分の身体じゃないみたいで、頭がボーっとしていて、とにかく熱かった。

いつも見ている天井のシミが知らないおじさんの顔に見えたりした。

その知らないおじさんが急に話しかけてきた。ニコニコしながら、

「熱いかい? 坊や」

ぼくは、ボーっとしながら熱いよと思った。

「熱い時は水風呂に入ると気持ちがいいぞ! サウナの後に水風呂、その後にまたサウナの後に水風呂。するとどうなるか?」

「……」

「ととのう」

ぼくはおじさんが何を言っているのか分からなかった。でもおじさんがサウナが好きということだけは分かった。

そんなよく分からないサウナ好きのおじさんが登場したり、あとは壁が四方から迫ってくる夢を見たり、なかなか忙しかった。

ふと目が覚めると、体中ものすごい汗をかいていた。

「あ、やっと起きた?」とお母さんは枕元で言った。そしてその手はなんと、ハーゲンダッツ(バニラ)があった。

ぼくはまだ夢を見ているのかと思い、サウナが好きなおじさんにこの素晴らしいことを伝えようと思ったが、天井にはおじさんはいなかった。

普段はお布団の上でなんて絶対に食べ物なんて食べたらダメだけど、今日は熱があるから特別にお布団の上でハーゲンダッツ(バニラ)を食べさせてもらった。

熱い身体に、アイスが気持ちいい。あー何回でも口を開けて、何回でも食べさせてほしい。
風邪をひいて熱があるのはつらいけど、でもハーゲンダッツ(バニラ)が食べられるのは最高。

そんな夢のような出来事がまた今日もおきないかと思う土曜日です。

「うーん、熱も平熱よ?」

もう風邪は治っているようです。

8月10日は「ハーゲンダッツの日」

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