〖短編小説〗1月10日は「伊藤くんの日」
この短編は601文字、約1分30秒で読めます。あなたの1分半を頂ければ幸いです。
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伊藤くんは、わたしのクラスメート。一度だけ席もすぐ隣になったことがある。
これは、わたしの伊藤くん紹介日記だ。
伊藤くんがやってきたのは、2学期のはじめだった。わたしの通う小学校は田舎なので、なかなか転校してきたり、新しいクラスメートができたことはなかった。それが、ある日先生に紹介された伊藤くん。すごく緊張していたみたいで、ずっと下を向いたまま、もじもじしていた。
その後、新しい友達にみんな興味津々でたくさん話しかけたんだけど、伊藤くんはすごく無口だった。都会に住んでいたのかな?田舎の学校は嫌なのかな?まわりの子が話しかけても、全然しゃべってくれなかった。
でも伊藤くんの人気はすごくて図工の時間になんでも好きなものを絵に描く授業があったんだけど、クラスのほとんどが伊藤くんを描いていてびっくりした。図工の時間にあちこちで、「あー伊藤くん動かないで」とか「じっとしてて」とかいう声がして面白かったな。
最近ではクラスメートにもなれたようで、顔をむけて目と目をあわせてくれるようになった。わたしもこの前伊藤くんと目があって少しドキッとした。伊藤くんの目がとてもつぶらできれいだったから。まさか、まさかこれが恋なのかしら…。
そんな感じで、以上がわたしの伊藤くん紹介日記でした。伊藤くんはクラスに馴染んでとても幸せそうです。うちのクラスの遊びに来たときは、カメの伊藤くんをぜひ見てね。
1月10日は「伊藤くんの日」
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