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20180628 吉澤嘉代子に嫉妬する
六月の部屋で葉脈透かしてる
梅雨なんて百葉箱になかったの
梅雨という怠けた飛沫浴びている
不登校コンビニへ行く梅雨の月
雨傘をくるくると巻く葉子という
最近はずっと吉澤嘉代子さんの『ミューズ』をリピートして聞いている。強く生きるひと、というストレートなテーマをこんなにもすがすがしく歌いきっているうたをわたしは他に知らない。「戦っているあなたは美しい。」なんて歌われて、わたしはもう完全に参ってしまっている。
『ミューズ』に参ってしまったわたしは、吉澤さんのほかの作品も聞くのだけど、ひとつひとつの曲に触れるたびに、本音を言うと、わたしは嫉妬している。だって、全部、違うんだ。吉澤さんはそれぞれのうたの中で、俳優のようにころころと姿を変えてしまう。
ストレートかつ、ちょっとあまのじゃくな歌詞も、たまらない。
飛んだ世界かと思いきや、まったくもってわたしたちの現実を歌う。
そして、この世界の主役は「あなた」なのだと、教えてくれる。
おとな同士のデートから、中学生の憧憬に飛ぶなんて…!信じられない。
吉澤嘉代子さんの魅力は、臆しない表現力、だと感じている。それは果てしなく、わたしたちを日常から想像の世界へといざなう。
吉澤さんのうたを聞いていて思い出すことがある。小学生のころクラスにとても作文の上手な女の子がいた。わたしはその子に負けたくなくて、どれだけ枚数を重ねられるか競っていた。あ、相手は別にわたしのことなんか気にしていなかったと思う。
大抵原稿用紙2枚でよかったところを、彼女は5枚は書いていたから、わたしはそれを越えようと、必死で表現を飛ばした。形容詞ばかりの内容の薄い、分厚い原稿用紙を渡されて、先生も困ったことだろう。彼女の作文はよく評価されたが、わたしの作文は特に取り上げられることもなく、手のひらばかりがいつも黒鉛で染まっていた。
吉澤さんがもし同じクラスにいたなら、ってわたしは想像してしまう。きっとわたしは相変わらず彼女の才能に嫉妬していて、でも友達になりたいな、なんて思っている。友達になれたら、いいね。
つまり、わたしは、吉澤嘉代子さんがとっても大好きなのです。
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