「等価値交換」と「共同プロジェクト」の違いについて考える
ちきりんさんのこちらの本を読んだら、家をリノベするための学びだけでなく、「取引とは」について深く考えるきっかけとなった。
(めちゃくちゃ学びがあったので、家を建てたりリノベする人はもちろん、家とか賃貸だし関係ないわ・・・って人も読むと良い!)
リノベや家を建てることは、単なる「等価値交換」(買い物)ではなく、一緒に作り上げていく「共同プロジェクト」だ、ということが書いてあって、なるほどな〜と思った。
自邸を建てた時の話は割愛するが、これが本当の意味でわかっているかいないかで、プロジェクトチームのメンバー(業者)の選定も変わってくるし、結果(どんな家が建つか)も違ってくる。
専門家にお金を払っておまかせする(等価値交換)という思想と、お互いが協力しあって作り上げていく(共同プロジェクト)という思想は、お金を支払う側こそがきちんと理解していないといけないなと感じた。
そしてこれは、家を建てるという金銭的に大きなものだけではなく、日常の買い物にも「等価値交換」のものと「共同プロジェクト」のものがあるのではないか?と気づいた。
私たちは毎日何かにお金を使っている。
スーパーでお肉を買う、ドラッグストアで頭痛薬を買う、ネットで加湿器を買う、カフェでコーヒーを飲む、体調が悪くて病院にかかる、電車に乗る、オンラインサロンに入る、保険に入る、車を買ったり家を建てたりする、、、
その場限りの小さな取引から、継続的に支払い続けるようなもの、とても大きな買い物も生涯のうちにいくつかはあるだろう。
スーパーやドラッグストアでの買い物は、一見「等価値交換」の最たるものであるような気がするけれど、行動を変えるとそれは小さな「共同プロジェクト」に近いものになるような気がする。
売り場でどの魚を買おうか悩んで、安いからサーモンにしようかなと自分で選んでレジで精算して持って帰るのは、「等価値交換」だ。
でも売り場でどの魚を買おうか悩んで、鮮魚コーナーのおじさんに「今日どれがいいですかね?」と聞いて、「旬だし、脂乗ってて秋刀魚が美味しいよ。」と言われて秋刀魚を買ったら、それは単なる「等価値交換」ではない気がする。
「秋ですしね、やっぱグリルで焼くのがいいかな?洗うの面倒で・・・」
「最近はオーブンとか、フライパンにホイル敷いて焼く人もいるよね、やってみたら?」
「頭とか捨てるのどうしたらいいんだろ。」
「ついてた方がそれっぽいけど、落としとこうか?」
なんて会話したりしたら、大げさかもしれないけど小さな小さな「共同プロジェクト」かもしれない。
そう思うと、ドラッグストアでただ棚から有名なメーカーの頭痛薬を手に取るのと、薬剤師さんに相談して自分の症状にあった頭痛薬を手にするのとは、単なる買い物か小さな共同プロジェクトか、違ってくる気がする。
単なる「等価値交換」の場であっても、対話を通して「共同プロジェクト」になりうる。
逆に、病院で医師に診てもらうことは、症状を正確に伝え、じっくり診てもらい、場合によっては投薬しながら経過を観察し、また病院へ行く、、、という継続的な「共同プロジェクト」であるのに、人によっては「お金を払ってるんだから治してもらって当然(等価値交換)」と思っている人もいるかもしれない。
コミュニティなどもそうだ。
オンラインサロンや互助グループなど、本来は「一緒に作り上げて行く」ものであるはずなのに「お金を払ったから何かメリットがあるはず」という思考に陥ってしまうと、本来の意味が失われてしまうものもある。
何らかの取引には「等価値交換」なのか「共同プロジェクト」なのかパターンがあり、そのどちらかを決めるのは「買い物の大小やモノそのもの」ではなく、「自分自身の態度」で決まるのではないか。
これは、お金を受け取る側も、渡す側も、同じ。
「等価値交換」と「共同プロジェクト」のどちらがいいとか悪いとかはなく、その取引に際して自分がどんな姿勢でいるかの違い。
そしてそれは、受ける側も渡す側も「どちらか同じ気持ち」であることが、納得感のある結果を出せる秘訣なのだと思う。
例えば長月では、来てくださった方に挨拶をしたそのあとはお客様の雰囲気で対応を変えたりもしている。
よく来てくださるお話が好きな常連さんや、何だか悩んでいる方には、タイミングを見て声をかけ、何が欲しいのか、どんなものが好きなのか、困っていることは何なのか、対話でお互いに情報交換しながら一つの商品を選んで行く。
これは小さいながらも「共同プロジェクト」だ。
話しかけられたくない、自分で決めたそうな方には、過剰に声をかけず、自由に見てもらい、レジのところでありがとうと言って終わる。
これは単なる買い物で「等価値交換」ではあるけれど、またそのお客様が来てくださったり、何か話すきっかけがあれば、のちのちは小さな「共同プロジェクト」を作る相手になり得る。
私は、「共同プロジェクト」の方がきっと良い選択ができるよ、という気持ちがあるから、多分少しずつそちらへ寄せていこうとするのだろう。
小さな買い物だとしても、お客様は欲しいものや描いているものをお店の人に伝えることで、お店側も真摯に対応して、心からその人に合うものを考える。
それが長月というお店の特徴でもあるけれど、お店によってもそれはかなりスタンスが違う。
WEBでポチッと買い物するのは共同プロジェクトである必要がないかもしれない(むしろそうでないことがメリットだ)し、実店舗であれば小さな共同プロジェクト型の思想の方が、実店舗である意味があるかもしれない。
正解はないけれど、できれば自分は単なる等価値交換としての買い物か、一緒に作り上げて行く共同プロジェクトかを、その都度意識しながら取引をしていきたいなと思った。
さて、明日はどんな「取引」があるだろうか?
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