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絵を描く練習 / iPadを眠りから起こす作業から


iPad proを、これでもかというくらい眠りに眠らせていた罪深い女である。

「うちのネコのイラストでTシャツ作りたい、絵を描いてよ、描けるでしょ、なるはやで、いい感じで。」などという、クライアント(夫)からの短納期で曖昧な指示により、埃をかぶったiPadをゴソゴソと出してきた。

でも全然やる気が出ない。

絵はここ20年まともに描いていない。

オーダーが入ってから2〜3日は「降りてこない」「今じゃない」などと、神の目線を言語化して渋った。

クライアントは機嫌が悪そうだった。


仕方なく電源を入れるも充電が0でさらに私のやる気はなくなり、「私は絵なんてまともに描いたことない」「イラストレーターに頼みたい」など文句を言っては夫から「まあまあ、そう言わずに、描け。」と優しい口調で鬼のようなささやきに、渋々Apple Pencilを手にするのだった。


(私はこれの1つ前のモデル)



(かつてのpaypay祭りの際に浮かれて買ったので設備だけは整っている)


そもそも、きちんと絵を描いた記憶が小中学生以降ない。

学生の頃は絵が得意だった。

美術ではいつも成績が良くて、学生のデザインのコンテストみたいなのに入賞したこともあった。

なんとなくで描けてただけだから、技術はない。デッサンとかやったこともない。技術がない状態の学生の中でたまたま偶然ちょっと見栄えが良かった、または先生の描いて欲しいものを汲み取れる「空気を読める」人間だっただけだと思う。


しかもApple Pencilを手に取るのはいいものの、まずそもそも何でどう描いたらいいか分からない。

最初はデフォルトで入っている「メモ」で描いてみていた。

でもなんか使いにくい気がするし、そもそも絵を描くアプリではない気がする。

「メモ」ではなさそうだ。


次に、そういえばいしお先生が教えてくれたお絵かきアプリがあったかもしれない?と思い出し、探ると以前にインストールしたと思しきアプリが見つかった。


チュートリアルを見て、そもそもiPadで絵ってどうやって描くんだろう?のレベルから始まる。

鉛筆やペンで紙に描くのは(下手であっても)できる。

でもアプリを使うのは、下手とか上手とかそれ以前に「使い方」が分からない。


まずいきなり、iPadで描くのにインストールしていたのがスマホバージョンだった。

画面の真ん中に縦向きの小さな画面・・・

なんかおかしい、以前ちょっと触った時はこんな風じゃなかったはず、調子が悪い?、、、などと、試行錯誤していると、やっとiPad版が見つかった。(私はパソコン操作に弱い人間です)

この時点で疲労困憊。


やっと使えるようになったものの、画面の大きさの設定もよく分からないし、線の種類もGペンやら丸ペンやら水彩やら色々ありすぎて、何もピンとこないし、太さの変わる感覚もよく分からない。

そうか、ゆっくり強く描くと太くなるんだな、とか、消しゴムの大きさも変えれるんだな、とか、そのレベルでなんとか描き出したのがこちら。


画像1


画像2

「雷に怯えるうちのネコ(ベルカ)」である。


え、かわいい・・・。

私、そこそこ上手なんじゃない・・・?


と、調子に乗ったものの、この1つの絵を描くのに3時間くらいかかっている。

アプリを入れてからは数時間、充電してからは3日くらい、オーダーからはすでに1週間が経過していた


途中、「意味わからん」とか「んもう!!!!」とか「キーーーーー!」とか発狂しながら描いた絵。

ツルッとした線は描き方がよく分からない(←?)から、あえてのボコボコの輪郭にしよう、これが個性である、などとできないことを言い訳にして描いた輪郭。

サインを入れたらそれらしいのでは?と入れてみたり。

拡大したら描きやすいって途中で気付いたり、黒いところに白で描くのではなく、消しゴムで消すという方法でやってみたり、スナップをきかせたりきかせなかったり、iPadの角度や向きを変えたり、回転させたり、間違って全部消してしまって「ヒッ!」となって、冷静に矢印の戻るボタンを押して生き返ったり、いろんなことを試しながら失敗しながら描いた絵。


この時、「絵を描く人」を心底尊敬した。

1色で、丸ペンしか使ってなくて、これ。

何色も使って(←この視点が素人)、いろんな技法を使って、レイヤーとか(存在の認識はある)なんやらかんやら使って、絵を描いてる人たち。

汗が出る。疲れる。恐ろしすぎる。

これ以上、いろんなことをできる気がしない。

技術だけじゃなく、日々の繰り返しの賜物なんだなあと思うと、本当に心から、作品を作れる人を尊敬する。



とはいえ、つべこべいっていてもしょうがない。

違うパターンも描いてみよう、次はおもちだ。

画像3


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「いつもツンとしてるうちのネコ(おもち)」

え、すごくかわいい・・・似てる・・・

(親バカ)


ちょっとだけ、楽しくなってきた。

好きなものを描くと、好きな気持ちが「キュッ」として、自分の中で一番好きなネコたちの表情がそこにあらわれることで「愛してる!」となってしまう。

かわいい、愛してる、いつまでも一緒にいて・・・

そんな気持ちが絵を通して溢れ出てしまい、純粋に絵の良し悪しや、クライアントはTシャツにすると言っているのにそんなことどうでも良くなって、ただただ、自分の思う最高のネコたちを描きたい衝動に駆られてきた。


絵って素敵だ。

思い通りに描けないととてもイライラするけど、好きだ!これだ!と思うものが描けると楽しくなる。

技術はなくても、楽しい気持ちがあればいい。

そんな風に思えるようになった。

(5時間くらい経過して渾身の2枚)


描いてみよう。

やったことないことをやってみよう。

デッサンが大切とか、技術はこうだとか、いろんな見方があるかもしれないけど、手を動かす練習をしてみよう、好きなものを好きなように描いて、自分を満足させて楽しもう。

そんな、新たな気持ちが芽生えた日。

飽きるかもしれない、けど、それはそれで、飽きるまで。


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