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音楽の時間ですよ。~ようこそ、華麗なる音楽の沼へ ~ 1時間目 ボレロ

今西:初めまして、オーボエ奏者で講師の今西です。

くり:イラスト担当のくりです。

今西:こちらのコーナーでは皆様が聴いてみたいな~、でもとっつきにくいな~、と感じているクラシック音楽を身近に感じていただけるよう、クラシックの曲を一曲ずつ、有名無名問わず、難しい専門用語をできるだけ使わず解説していきます。早速ですが、一曲目はラヴェル作曲「ボレロ」です。

ラヴェルは近代フランス音楽を代表する作曲家です。

ではこちらの動画を観てください。

くり:音楽の教科書にも出てくる曲ですね!

今西:そうですね。この曲のどこがすごいのか、どこが普通じゃないのか、なぜ人気なのかを説明していきます。まずこの曲を演奏する際に一番責任のある楽器は何だと思いますか?

くり:指揮者は楽器じゃないし…最初にメロディーを演奏するからフルートでしょうか?

今西:フルートも素敵ですが違うんですねえ。この曲で最も責任ある楽器、それはスネアドラムなのです!

くり:なぜでしょうか?

今西:スネアドラムは動画を観てわかる通り、最初から最後まで同じリズムを淡々と刻み続けています。他の楽器はこのリズムを聴いて演奏しているので、決して揺れたりせず、時計のように正確に演奏しなければいけません。動画を観てわかる通り、序盤指揮者は何もしていません。オーケストラのメンバー全員がスネアドラムのリズムを聴いて演奏しています。そして最初は聴こえるか聴こえないかという弱音で始め、徐々に強くなり、最後は周りの楽器がこれでもかと盛り上がっている中でも聴こえるほどの音量で演奏しています。この曲は15分ほどありますので音量のペース配分も至難の業です。打楽器奏者の腕の見せ所でもあるのです。

くり:スネアドラム以外で特徴のあるところはどこでしょうか?

今西:メロディーの話に移りましょう。管楽器が大活躍ですね。Esクラリネット(読み方はエスクラリネット。普通のクラリネットより高音が出せる、クラリネット奏者が演奏)、オーボエ・ダモーレ(オーボエより少し低く、こもった音色が特徴、オーボエ奏者が演奏)など珍しい楽器が使われていますが、最も特徴的なのは、オーケストラで普段使われないサックスが使われているところでしょう。サックス自体がこの曲が作られた時代としては新しい楽器であり、オーケストラに入れるというのもかなりイレギュラーなので響きが斬新です。またメロディーは楽器を交代しながら徐々に盛り上がっていきます。動画の6:10辺りから少し不思議な響きがします。これは倍音の響きを利用した組み合わせと考えられています。ここでは専門的な説明は省きますが、初演当時の聴衆からすれば相当新鮮に聴こえたはずです。

くり:5:56あたりで弦楽器がギターを弾くように演奏していますが?

今西:これは奏法としてはピッチカートといわれるものですが、ギター風に弾くというのがこの曲ならではです。視覚的にも面白いですよね。

note1 楽器 決定

くり:素朴な疑問なのですが、ボレロってどういう意味でしょうか?

今西:ボレロはスペインの舞曲の名前です。先ほどの弦楽器をギター風に持つというのも、この舞曲の雰囲気に合わせたものです。因みにこの曲はバレエ音楽として作曲されたものなので、クラシックファンだけでなくバレエファンにも大変人気があり、そういう意味でも知名度が高くなっています.。物語は、酒場で一人の踊り子が踊っており、徐々に周囲の客も踊りだすというものです。バレエファンでなくとも一見の価値ありです。

くり:シンプルでありながらも色々な工夫や挑戦をしている曲なのですね…。

今西:時代を越えて残っていくものは、常に新しいことに挑戦したものなのです。今日はここまでです。お疲れさまでした!

くり:ありがとうございました!

llust くり
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(記事内のイラストの無断使用、転載はお控え下さい。)


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