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【記憶力】私の頭の中の小須田部長

人は人生の中で、
たくさんの「先生」に出会う。

学校の先生、
習い事の先生、
もしかしたら、弁護士先生や議員先生も。

先日、来年小学校卒業を控えたうちの小6の双子と「いままで出会った先生の中で、誰が一番好きか」という話になった。

その時双子は、二人そろって同じ先生の名前を挙げた。二卵性双生児には珍しく、マナカナくらいのハモリ具合だった。


その先生は、村山先生(仮名)という。
村山先生は、担任の先生ではない。
保健室の先生である。

30代前半の女性の先生で、背が高くすらっとしてて、何よりいつもニコニコしている。あまり話したことのない私でもわかる。
あの先生は、絶対、絶対やさしい。

運動会や学習発表会などの大きなイベントの前や、クラス替えのあとは三女はよくおなかが痛くなる。保育園のころからそうだった。
次女もさることながら、三女が特に保健室にはよくお世話になった。

そんな三女が「大好きすぎる」と訴えるのが村山先生だ。

これは、私もイチ先生の端くれとして、その恩恵を受けたい。「村山先生の何が良い先生なの?」と聞いてみた。

二人の答えは、意外にも
「村山先生は記憶力がいいから。」だった。

まず先生は全校生徒の名前を憶えているらしい。
まぁ、確かに保健室の先生には必要なスキルかもしれない。

でも、各生徒の家庭環境や、その子の体質、話した会話のどんな些細なことも覚えているというのだ。現に、三女が保健室に行ったときも、この子は毎年大きなイベント前は腹痛になるタイプだとちゃんとわかっててくれていたし、三女が以前に話した東京に行った話や、好きなアニメの話も覚えていてくれたそうだ。全校生徒が400人近くいて、そこまで頻繁に行くわけではない保健室で、もし全員にそのクオリティで接しているとしたら、それは確かにすごい。

「みんな村山先生が大好きなんだよ」という双子の言葉のとおり、早退する双子を迎えに行ったとき見た保健室の壁には、生徒からの似顔絵やお手紙がびっしり貼ってあった。

私だって、そんなふうに皆に愛される先生になりたい!でも、その村山先生の話を聞いて、私はひそかに絶望していた。

「記憶力」

私が最も欲していて、
私に最も欠如しているものである。

私は忘れる。簡単に忘れる。
英単語や英文法は覚えていられる。
でも、生徒から聞いたおしゃべりの内容をよく忘れてしまう。

「来週運動会でよさこい踊るんだよ!」
「おばあちゃんちにイチゴが生えたんだよ!」
「お兄ちゃんがポケモンクリアしたんだよ!」

その時は「えー!そうなんだー!」と聞くのに、忘れてしまう。
誰が運動会でよさこいを踊るんだっけ?
誰の家にイチゴがなってたんだっけ??

多分私の頭の中には、小須田部長が住んでいる。
笑う犬の、小須田部長だ。

内村光良が演じる小須田部長は、毎回左遷され、いつも引っ越し準備をしている。
「いるもの」「いらないもの」という2つの段ボールに手元の日用品を分けていく。「これはいるだろ?」と、いると思った必需品も、原田泰造に
「部長、それはいりません。」といわれ、
あっけなく「いらないもの」段ボールに分別される。

まさに、
私の脳内はあんな感じなんだとよく思う。

私がいくら、この話はいる!覚えておきたい!と思って脳内の「いるもの」BOXに入れても、気が付くと無意識の原田泰造に「部長、これはいりません。」と勝手に判断され、「いらないもの」BOXに移動させられている。そして、取り出せなくなる。

ちくしょう、原田泰造め。
私になんの恨みがあるんだ。

先日、5年ぶりに大学時代の親友に会った。
久しぶりに会う彼女は、とてもたくさんのことをちゃんと覚えていた。
「カナはプリンは嫌いなのに、パステルのプリンだけは食べた」とか
「チョコレートを食べるのが遅くて、いつも手の上で溶けてた」とか。
私が覚えていない事ですら、いろいろ覚えていた。


愛を感じた。

記憶=愛だ。

そして親友は、
「カナは、自分が話したことも忘れるけど、私が話したことも忘れるから、同じ話をしても、毎回初めて聞くリアクションをしてくれてありがたい」とも。なんだそれ、大丈夫か。

そんな脳内小須田部長の私が、「いらないもの」BOXに入れられる前に、なんとか様々なことを覚えておくために秘儀を生み出した。
脳内の原田泰造に打ち勝つために出来る事。

それが、マイノートである。

〇月〇日、どこどこにいった、何を感じた、誰に会った、どう思った。
一冊のノートにとにかく書く。覚えておきたいことはノンジャンルで書く。

マイノートのおかげでこのnoteが書けていると言っても過言ではない。
Emiさんが世に出したどんな商品よりも、どんな整理収納の考え方よりも、彼女の真骨頂を作り上げる物、それがマイノートだと私は思う。

そして、英語教室の運営においては
「生徒用マイノート」がある。

全生徒分の名前を書いた各ページが割り振られ、今日こんなことが出来るようになった、こんなことを言っていた、こんなことで注意された、こんなことで褒められた。たくさんの記録がある。長年通っている生徒さんに関しては、1人で何ページにもわたっている子もいる。

これがないと、私は覚えていられない。
これのおかげで、生徒さん本人にも保護者さんにも、過去と比べてこんなに成長したのだと伝えてあげることが出来る。


先日記事にした「やらない」のか「できない」のかという話。

私にとって、日々の一つ一つを覚えておくことは
「できない」事だとちゃんとわかってる。
でも、ちゃんと自分の「できない」をわかっているから「記録」するのだ。その場ですぐに。それが今のところの具体的対処法だ。

授業中にノートにメモする時もあるし、授業後すぐに書くこともある。
教室の外で起こったことに関しては、携帯にメモする時もある。

日々心に残しておきたいことも同じように、プライベートのマイノートに書く。

知識や新しい情報をインプットするためには、
意識的にアウトプットする必要がある。

それは、マイノートでもnoteでもInstagramでもいいと思う。
考えを外に出すことで、覚えておけるし、忘れても思い出せる。覚えられないなら、書いておけばいい。手間はかかるけど、それが私の未来を救う。

でも、引っ越す時にこのマイノートを「いらないもの」BOXに入れられたら原田泰造に完敗しちゃうんだけどね。

左遷されないように気をつけよ。

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