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[パニック小説]巨大なコンクリートの箱 改訂版

 KT大学病院の意見箱に投げ込まれた分厚い紙の束。 
 
 この病院の患者です。この病院はミスが多すぎです。
 この病院はセキュリティーが甘すぎます。
 この病院は危機管理がまったくなっていません。

 この病院の入院患者、通院患者は総合計37万7千573人です。
 およそ38万人です。38万人といえば、ひとつの市の人口くらいです。
 この病院に、なんらかの形で不測の事態が起これば、最悪で38万人に近い人たちが死にます。
 この病院のメインコンピューターが、悪意あるハッカー集団もしくはテロリストたちにサイバー攻撃を仕掛けられたらどうなるか。私なりにシミュレーションしてアトランダムにこれを書きます。以下。

 投薬ミスが頻繁に起こります。そのたびに人が死にます。
 飲み薬、注射薬、点滴がしょっちゅう入れ替わります。そのたびに人が死にます。
 処方箋を吐き出すプリンターがミスプリントして、患者は他人の薬を飲みます。そのたびに人が死にます。
 産婦人科では、赤ちゃんがよくすり替わります。
 人工授精の受精卵をとり違え、母親は、赤の他人の子を産みます。
 保育器が止まり、なかにいるちいさな未熟児の赤ちゃんが死にます。

 あたりまえに人が死にます。

 人工呼吸器が止まり瀕死の病人が死にます。
 集中治療室の機器が止まり、中にいる病人が全部死にます。
 抗アレルギー食と普通食が入れ替わり、カニコロッケを食べた子がアナフィラキシーショックで死にました。

 出産予定の赤ちゃんを中絶してしまいました。
 肺がんの患者さんに盲腸炎の手術をしてしまいました。肺がんの患者さんは死にました。
 かぜをこじらせて入院していた少女の両足を切断してしまいました。少女は自殺しました。
誰もいない実験室のドアが勝手に開き、ペスト菌に感染しているネズミたちが外に出てきます。

 心電測定機が誤作動を起こし、心拍数ゼロと表示され、まだ生きている患者さんが死亡したとみなされ処置室に送られました。鼻孔と口に脱脂綿を詰められて本当に窒息して死にました。
 手術中に停電が起こります。非常用電源に切り替えても電源が作動しません。手術中の患者さんが死にました。
 検査機器、測定器、人工心肺が止まります。手術ができなくなります。手術を予定していた患者さんがみんな死にました。

 普通に事故が起こります。                

 エレベーターが全部止まります。
 救助が大変です。           

 上りエスカレーター、下りエスカレーターが同時に止まります。上りエスカレーターでも、下りエスカレーターでも将棋倒しが起こり、死傷者が出ます

強固な金属で出来た格子状のシャッターが全部降ります。 
 オートロックが全て「閉」になります。     
 精神科の閉鎖病棟で患者がパニック症状を起こしても、処置ができません。       

隔離病棟の扉が空きません。

 誰も病院から外に出ることができません。
 誰も病院のなかに入ることができません。

 異変を知らせようとしても、電話は通じない‥携帯スマートホンもだめ。病院の屋上の携帯用のアンテナが停電で使えないのです。 

 大学病院の電気ガス水道ボイラー等すべてのインフラが停止しました。

 水がないので、赤ちゃんのミルクが作れません。

 病院のトイレは水が流れない、糞便が山盛りになります。小便器は、尿が逆流します。

 毎日おびただしく出る医療廃棄物も外に搬出できないので病院内に山積みになります。

感染症が心配になります。

 こんな時に、テロリスト達から、声明がありました。

 ーーkt大学病院は封鎖した。また実験室のネズミおよびペスト菌を「解放」した。
ここで声名は止みました。  

 調査の結果このテロリストたちは、人間の生命より動物の生命が大切という価値観を持つ人たちで、動物実験にも、肉食にも反対という人達でした。 

 政府は情報を収集し、さまざまな分野から分析し、「政治的決断」を下します。

 ーーktだいがく

ーーkt大学病院の中の人は、およそ2千500名。

院内では、すでに、ペストが発生している模様。

救助はきわめて困難‥

よって政府は、kt大学病院を「停止」する。

 病院から半径30キロメートル圏内の住民たちを全員避難させて、交通を遮断。人流も断ちました。

 バリケードを張りました。

 kt大学病院は、陸の孤島と化しました。   

 政府は対策を強化しました。ペストに感染したものが外に出ると外部の人間にペストを移してしまう それは危険であるということでよって政府病院から外に出た人間を殺処分することにしました。  
いくら病院のなかの人たちが、非常用エレベーターで逃げようとしてもまた火災時の脱出用 シューターであるいは縄ばしごもしくはハンマーやナタで非常口の鍵を壊すなどをして外に出ても所詮そこは病院と敷地内.上空を旋回している自衛隊の攻撃ヘリコプターの30ミリ機関砲で粉微塵になります。  
 マンホールの穴をくぐって逃げようとしても、下水道の暗渠部で腰まで水に浸かって脱出しようとしても、自衛隊の特殊部隊が待機していて、全員射殺します。防護服にガスマスクをつけた自衛隊の特殊部隊が全員を殺します。
2週間立ちました。
         

 予想通りペストが発生し、大部分の人たちは、死んでいます。

 いくら病院の内でも、医師も看護師もペストに感染することは避けられません。
 ペストの治療薬も底を付きました。
テロリストたちは、沈黙しています。
 生き残った人たちは、強力な麻酔薬を飲んで安楽死することにしました。
 保育器のタイマーが止まりちいさな未熟児の赤ちゃんがながで死にました、

 kt大学病院のなかの人たちはみんな死にました。
 kt大学病院は巨大なコンクリートの箱になりむなしくそびえ立ちます。
 

 以上。これが私の想定した最悪のケースです。 
 早急に対策を講じてください。


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