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今年も夏が始まった

イベント屋という名の何でも屋さんの私ですが、今年もプール運営の仕事をしている。

東京から電車で乗り継いで2時間半、さらにバスに乗ってようやく着く、まさに僻地という表現が素晴らしく似合うそんな場所に、寮を借りて男4人で暮らしながら働いている。去年はコロナでなかったけど、かれこれ三年目になる。商業施設が地元のレストランとココスとコンビニとくすりの福太郎とパチンコしか徒歩圏内にない。電車もなく、1時間に一本バスが通っているようなエリアだ。格安のレンタカーを借り切って、毎日プールまで往復する。

今年は他の現場も掛け持ちしているので、平日はそちらを、代わりの人を入れて休みを調整しながら土日祝日を中心にプールに行く。連勤になることもあるが、始発でも間に合わないようなところなので前日にそのまま現場あがりに寮に向かうが中々しんどい。

仕事なんてどれもそうだけど、プールの運営は華々しく見えてとても地味だ。設備的なケアもあるけど、高校生のバイトを求人で集めて監視や救助のトレーニングをする。スケジュールを巻き取ってシフトを組む。そうやって利用者にプールという娯楽を提供している。溺者がいないか、バイトはちゃんと仕事はしてるか、色々と見張りながらプールサイドを練り歩く。子供プール、流れるプールなど全部で7面もあるからバイトの数も相当になる。高3の夏休みにバイトをするくらいなので進学率も低い子たちの集まりになる。みんないい子なんだが、まあバックれたり喧嘩したりする子も出てくる。

何より暑い。とんでもなく暑い。日差しがジリジリと照りつける。北海道の深い雪のように真っ白だった私の肌は、日焼け止めを塗っていてもいつのまにかレンガのように赤茶色になっていた。

でもやっばりプールは気持ちいいんだ。水色に塗られた水底が透明の水でよく見える。強い風で揺れる水面が太陽の光を反射してキラキラと光る。業務の一環でわりと潜るんだけど、水温が冷たくてとても気持ちが良い。暑い日なんかだと本当に生き返る。

今月は湖で行われた水泳大会のレスキュー現場にも行った。サーフボードを一回り大きくしたようなレスキューボードの上に横たわり、パドリングで参加者を追いかけ、溺者に浮きを差し出し、ボートを呼んで拾わせた。あれも中々たのしい現場だった。
今の現場を含めてプールで働くのは5年目だけど、去年コロナで色んな案件がつぶれてしまった分、ようやく夏が始まった感じがする。

男4人でワイワイ寮生活を送るのも中々たのしい。まあ、みんな疲れて寝てばかりだし、なにかと手のかかる新人もいて、毎朝起こしたりしなきゃいけないけど、それも仕事のうちかな。地元のレストランで大盛りのオムライスを食べて動けないと言い出した時はさすがに「スタミナ太郎に来た中学生じゃないんだからやめてくれよ」って嘆いたけど。
でもまあ、たのしい。

今年もやっと夏が始まった。

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