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デッサンに学ぶ人生の歩き方

今までの自分の人生を振り返るといつも思うことがあります。
それは

「人生とデッサンは似ている」

ということです。
はて、なんのことやらという感じかもしれませんが…。

人それぞれ何かに一生懸命取り組んだ経験があると思うのですが、人によってはマラソンかもしれないし野球かもしれないし他のことかもしれない。私の場合はデッサンでした。

私は高校3年に、美大に進学することを決め、そこから浪人時代を含め3年間絵を描き続けました。夏期講習や冬期講習では毎日10時間制作することが当たり前。未経験だった私は受験レベルまでの力をつけるためにとにかく必死でした。


画面上でモチーフを表現する

デッサンとは紙と鉛筆でモチーフを描写する表現方法です。

美大の一次試験の課題がデッサンでした。私が目指していたデザイン科は毎年少しずつ傾向が変わるものの石膏がモチーフとして出されることが多く、予備校でもとにかくひたすら描いてきました。

試験で見られているのは

・石膏像の印象が合っているか
・完成度

これらが時間内できちんと表現できているかで合否が決まります。

デッサンの答えは目の前にあるモチーフを画面上できちんと表現すること。
目の前にあるモチーフが目指す目的地になります。

印象が合っているかとは形、陰影、パース、空間などがきちんと捉えられていて、モチーフをパッと見たときの雰囲気が画面の中に自然に表現されているかどうかということ。

いくら印象が良くても完成度が低いと途中感があって画面に説得力が出ません。きちんと表現するには最低限の手数は必要になります。


間違いに気づいたら成長のチャンス

デッサンを進めていくとうまくいかなかったり、途中で間違いに気づいたりします。これはどんなにデッサンが上手い人でもあります。いい感じで進められていると思って離れて見たら軸がずれていることに気づいたときは本当に絶望的になります。笑

間違いに気づいたらどうするか。
軸がずれたまま書き込んでも意味はありません。
直すのは面倒だし、かなり進めてからだと勇気もいります。
でも、直さなければ進めない。

重い腰を上げて渋々直していくしかないんです。
目の前にモチーフという正解はあるので、改めて確認をして根気強く修正していきます。

でも間違いに気づいたらそんなすぐに気持ちを切り替えられるわけでもなく、一回トイレに行ったり休憩して気持ちを整えてからまた画面に向かいます。笑

大掛かりな修正になると立て直せるのか不安になりますが、徐々に形になってくるとランナーズハイにも似た感覚で進めやすくなってきます。
消した跡もむしろ味となってデッサンに深みが出るんです。

大変だったけどここまで立て直すことができたという事実は自分にとって自信になります。
また同じようなことが起きても対処できるのです。


モチーフは目的地

これは人生に置き換えても言えることだなと思うのです。

生きていく上で自分にとって大切にしたいことがある。
でもいつだって迷いや不安が生じることがあります。
予想外のことが起きて予定が狂うかもしれません。

そこで自分の本質に帰り、「あ、そうだ。自分が目指すところはあそこだった」と現在地を確認する。そしてそこから道筋を修正していく。
簡単に修正できることではない場合も多いけど、デッサンで目の前にモチーフが置かれているように自分の目指すべき目的地が明確であればまた戻ってこれるんです。

最終的に目的地が変わって結果オーライなこともありますが、その間にあれこれ試行錯誤しながら進んでいくというのはデッサンと似ています。

その道中での経験も決して無駄になることはなく、振り返ってみるとむしろ「このためだったのか…!」とゴールへの伏線だったと感じることもあります。


自分の画面には何が描かれているか

デッサンも表現方法のテクニックはいろいろあるけど、それらを習得したからといっていいデッサンが描けるとは限りません。細かい描写の他にも全体の構造を理解し、形を正確に捉えるというような大きな視点も必要です。

じっくり観察して描き込んだらバランスが崩れていないか全体で確認。
同じモチーフを見ているけどいろいろな見方をすることで初めて形になっていきます。

生きていく上でも持っている資格にこだわったり、ホームページを凝ったものにしたり、自分の本質ではないところに時間をかけていることが多くなりがちです。

でもそこで

「本当に自分が大切にしたいことってなんだっけ?」

と立ち返ることができたら、たくさんの資格も立派なホームページも必要ないかもしれません。

自分にとっての「モチーフ」がなんなのか。
画面にはそれを描けているか。
違う部分を細かく描き込んでいないか。

たまに振り返ってみることが大切だと思います。



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