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写真の色、どう決める?

「現像で写真の色をいじる、って話があったんですけど、そもそも写真の色ってどうやって決めてるんですか?」

昨夜、大盛り上がりだった #やわラボ のゆるゆるzoom会の中でそんな質問をされた。現像で色をいじるにしても、色々なことができすぎて決めることが難しい、と。

その質問に対しての答えは実に簡単で

「自分がその写真をどんなイメージで仕上げたいかと、好み」

それに尽きると思う

私は、「青み」のある写真が好きだ

私はどこか静けさのある写真だったり、スッと何かが通るような透明感のある写真が好きで、その「静けさ」だったり「透明感」のイメージカラーが私にとっては「青」なのである

それに加えて、その昔、プラハで見たミュシャの絵で、影にあたる部分に「青」が使われている絵があって、それがとても印象的で

だから、私の写真は「青」がベースになることが多い

この二枚の写真なんかは

■「青」が好きという自分の好み
■モデルさんが着てきた洋服が「青」
■ビルの窓枠や鉄骨が表す秩序感 ⇒ 秩序・静けさ=「青」のイメージ
■光の透明感 = 「青」のイメージ

辺りから、思い切り「青」に寄せて編集した

この写真も同様で、

■「青」が好きという自分の好み
■モデルさんの浴衣が「青」
■浅草の喧噪の中で、モデルさんだけ浮き出るような静けさが欲しい ⇒ 静けさ =「青」

というところから「青」をベースにすると決めて、その「青」が引き立つように、「青」の対象色である「赤」は彩度と輝度を下げて若干くすませた

これは「青」大好き人間な私にしては珍しい一枚で、どちらかというと、オレンジや黄色に寄せて仕上げた1枚

■これを撮影した場所が、暖色系のライトをメインで使っていた + 沢山の人が訪れるホステルの共用部という暖かみ、その雰囲気を壊したくなかった⇒ 「オレンジ」寄せ
■「青」に寄せると、上から吊られている漫画の1ページ1ページが冷たい印象になった

上記2つの理由から、メインカラーは「オレンジ」にすると決めて、「オレンジ」の鮮やかさを強めにして、逆に「青」を完全に抜いた(彩度をマックスまで下げた)

ただ、モデルさんが座っている椅子の色が、落ち着いた青緑だったので、その部分の色だけはハッキリ出して、そうやって自分の好きな「青」要素を入れるようにしている

実は、このオレンジと緑(青緑)の組み合わせは海外の写真でよく見る色味で、ずっと「この色味を出してみたい!」と思っていた色だったので、今回この写真を撮った時に「あの色に寄せてみよう!」と思った

花の写真なんかは分かりやすく、メインのお花の色を大切に

ちなみに、一つ前の写真は、あの場所を撮ることを前提にしていた + 彼が持っているライカという歴史あるカメラに合わせたかった、というのがあって事前にモデルさんに「黒とかモノトーンの洋服で!」とお願いをしていた

お花や、モデルさんの洋服のように、「主役が何色をメインにしているか」は写真全体の色味を決める大きな要素になることが多い

(ので、ポートレートを撮る時は、事前にこんなイメージの写真を撮りたい…というのを考えておいて、そこからモデルさんに衣装のリクエストをするのも大切)

こんな感じで、私の場合は

①自分の好みの色
②写真をどんなイメージで仕上げたいか

(透明感・静けさ⇒「青」、暖かみ⇒「オレンジ」みたいな)
③その写真の主役は何色か

で写真全体の色を決めている

自分の好みや・写真の仕上げイメージがないときは、色が決められず、写真の現像を行っている時に完全に迷子になってしまうことも多々あった

RAWデータを使って現像を行う場合は、1枚のデータから明るい写真も、暗い写真も、暖色っぽい写真も、寒色っぽい写真も、本当に様々な写真を仕上げることができる

こんな感じで↓

上の3枚、もとは全て同じ写真。同じ写真だけど、写真の現像・編集次第で、これだけ様々な絵を作ることができる

だからこそ、現像を始める前・写真を撮る時に「どんなイメージの写真にしたいか」をある程度自分の中で持っておく必要があるのだ

写真の仕上げイメージがないまま現像を始めるのは、ゴールの場所を決めないまま旅に出るようなもので、絶対に迷子になる

じゃあ、その「どんなイメージの写真にしたいか」ってどうやって考えるの??っていうと、結論、大切なのはインプットとアウトプットなのだと思う。先日のnoteにも書いたけど。

沢山の写真を見て、自分の好きな色や、自分の世界観に合う色を探す(インプット)「色を自分の中にためる」という意味では、見るものは写真じゃなくてもいいかもしれない。ファッションも、コスメも、絵画も、世界中の街並みも、風景も、見れば見ただけ、全ての色が自分の中に蓄積されていく

そして、実際に、写真を沢山いじってみて(アウトプット)「あ、自分はこの色の感じが好きだな」「こういうイメージの写真にしたい時は、この色の感じが合うな」という経験値をためていく

私の場合は、それを繰り返していくことで、自分の中で「自分の色」を見つけることができた

写真の色でお悩みの方は、撮って現像しまくる!は大前提で、その前のインプットのところにも力を入れてみるといいと思う

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