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「8時間勤務」

「8時間勤務」

8時間勤務。
この時間で彼は何を考え、彼女は何を心に抱き、何を得るのか、何をなくすのか。

8時間が耐えられなんだ。
そういうこと。
彼女は思った。

世の中のみんなは平気そうだ。やる気だって充分に見える。
わたしと何が違う?
わからない。

そういう夢だった。
彼女はそういう夢を見たのだ。自分に問いかける夢を。

そういう夢から目覚めた彼女は、お金を稼ぐために仕事に出かけた。
誤字脱字のない仕事をするために。
食べ物を食べるために。欲しいものを買うために。
見栄を張るために。
境界線の無いプライドを肩にかけて。

上には関係ないふりで彼女を見つめる空があった。
この世に無駄なものはない。
この世は無駄なものばかり。

花菜

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