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向日葵のような佐川急便のお姉さんの話。

私は一人暮らしなので、ネット通販を多く利用します。
最近は宅配ボックスや置き配など、非接触のサービスもどんどん増えていますよね。
私のマンションはボックスが無いので、多くは置き配で対応してもらっているのですが、たまに対面で受け取る機会が発生します。

よく来てくれる佐川急便の配達員さんの中に、一人印象的なスタッフさんがいらっしゃるので、今日はその方の話をしようかなと思います。


初めてお会いしたのは、引っ越したての頃。もうすぐ冬になる季節でした。
当時はある会社で朝から終電まで休みもなく働いていました。(いわゆるブラック企業ってやつですね。笑)
東京に来たばかり、転職したばかり、一人暮らしも始めたばかりで、それに加えて想像以上の過酷な労働環境に私はいつも疲れ切っていました。

そんなある日の休日。夜の20時頃にインターホンが鳴り、宅配便が届きました。
そういえば時間指定で荷物が届く日だったな、と何気なくドアを開けると、そこには明るい茶髪に日焼けした小麦色の肌、そして弾ける笑顔の、私より年上の女性の配達員さんが立っていました。

「お荷物をお届けに参りました!」

配達員は男性のイメージが強かったので、女性のスタッフさんが来たことにまずびっくり。そして第一印象が太陽のように明るいオーラをまとったお姉さんに溌剌と話しかけられ、私は圧倒されて、たぶんあわあわと対応してしまったと思います。

荷物を受け取り終わった後、そのお姉さんが、

「今日も一日お疲れ様でございました。寒いので温かくしてお過ごしくださいね。」

と言って去っていったんです。

びっくりしました。まさかそんな言葉をかけられると思ってもいなくて。
その時上手く反応を返せなかったと思うのですが、とにかくすごく驚いたんです。

今まで配達員の方からそんな言葉をかけられたことはありませんでした。
自分が行動したことに対して感謝されることはあれど、見ず知らずの方から一日の労いをされたことなどなかったので、驚きと共に、じんわり温かいものが疲弊した心に染みわたり、疲れ切っていた私にはその優しい対応が本当に嬉しくて、有難くて。

彼女だってまだ勤務時間中だろうに「労いの一言を添える」という自分なりのやり方で一つ一つ丁寧に仕事をしているんだな、という感動や、
何気ない言葉だったとしてもこんなに心を温かくすることができるんだな、など、色々な気持ちが溢れてきました。

これは誰にでも対応した言葉ではないな、とも思います。(例えば夜勤のお仕事の方とか。)
話しかけられたくない人もいるかもしれません。
でも「一言を添える」という行動とその笑顔に、私は確かに救われて心を動かされました。


今でも時々その佐川のお姉さんが対応してくれます。
いつも本当に向日葵みたいな笑顔で来てくれて、「いつもご利用いただきありがとうございます!」「暑いですね、熱中症に気を付けてくださいね。」など、一言添えて荷物を運んでくださります。

最初は何も返せなかったのですが、今では私も「こちらこそいつも本当にありがとうございます!」と、つられて笑顔になっちゃいます。


対面のサービスがあまり推奨されない昨今ですが、人と人とが直接言葉を交わす大切さを、この佐川のお姉さんからいつも学んでいます。


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