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諦め、からの発見

こんにちは。きっかけアクセサリー作家の音海奏乃です。

金曜日は私、音海奏乃が思ったことなどを書いていくかなのわーずの日。今回は、諦めることについてのお話を。

諦めるとは、意外と幸せな状態。そういう考え方もあるんですよ、という、諦めの境地に立って見えてきた、新しい景色をお伝えしますね。

諦める、の先で

諦める、という言葉を聞くと、大体はマイナスのイメージになる場合があると思いますが、皆さんはどうですか。

私は、もはや諦めの境地に達してしまい、「諦める」が何だったかを思い出せないくらいです。一般の人たちが思う諦めると、私の体験してきた諦めるは、どうやら少し違ったみたいです。

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よく、「諦めたらそこで終わりだよ」や「簡単に諦めるんだね」なんて言われますが、そもそも諦めるというステージに私はいないのです。諦める、というのは、可能性があったのに、実現しかねた場合を指すことがほとんど。欲しいグッズがあったけど、高かったから諦めた、という場合は、極端な話、お給料の前借りなり友人に借りるなり、買える可能性があったわけです。私の場合は、欲しいグッズがあったとしても、お店にも行けなければ頼れる人もいない、さらにネットも使えない状態。買うもなにも、初めからそれは選択肢にないのです。

夢を見るのは自由で、憧れを抱くのは勝手です。でも、それは違う世界の人たちだからこそ出来るのであって、自分はできない。諦めというのは、期待をするから発生するものであって、期待をしなければ発生しない。その領域までたどり着くのに、そう長くはかかりませんでした。もがいても、あがいても、潮だまりからは出られないなら、あぁ、自分はこの潮だまりで暮らすんだな、と落とし込むよりほか無かったのです。

砂浜を歩いているヤドカリは、それはそれで幸せそうだな、こっちはこの潮だまりで何とか生きているよ……。

ペンギンは諦めているのか

ペンギンがどんなに羽ばたく練習をしても、空を飛ぶことはできません。空に夢を見たのが悪いわけでも、羽ばたく練習量が足りなかったわけでもない。だとしたら、ペンギンは「空を飛ぶことを諦めている鳥」と言われていても不思議ではないはずです。

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しかし、私は実際に「ペンギンは、空を飛ぶことを諦めた、かわいそうな鳥類である」という言葉を聞いたことがありません。もちろん、本や映画など、エンターテインメントの世界でペンギンがそういう役割を担う場合もあると思います。ですが、動物番組でも、「ペンギンは飛ぶことを諦めた、やる気の感じられない鳥類です」とは聞きません

では、人間はどうでしょう。「夢をあきらめた、かわいそうな人」「結婚を諦めた自分勝手な若者たち」のような表現を見聞きしませんか。不思議ですね、同じ「夢や憧れに努力した」という背景があるにもかかわらず、なんでこうも差が出てくるのでしょう。こういわれてしまうと、「事の背景」を説明するよりも早く「誰もわかってくれない」と心が傷つき、世間に対しての拒否反応を起こしかねません。

ペンギンはきっと、「海の中なら早く動けるという特徴があるからだよ」と思った方もいるかもしれませんが、では人間には夢を見たり努力する以外の特徴はないのでしょうか。そんなこともないですよね。例えば、結婚を諦めたからと言って、その人に特技がないかといえばそうでもない。結婚しなくても、ひとりで生きていける知恵と工夫をできる人はいます。料理人の道を諦めたとしても、それで誰かが命を落とすわけではありません。他の才能が開花して、違う分野で大活躍する可能性だってあります。なのになぜ、人だけが「諦める」ことを悪いことのように言われるのか、謎は深まるばかりです。

諦められる、幸せを

先ほども書いたように、一般的には「諦める」というのはよくないことのように言われる場合がほとんどです。例え自分や仲間が納得して「退くこと」を選んでも、事情を知らない人が「諦めるなんてみっともない」などということがあります。

でも、諦められるっていうのは案外、幸せなんですよ。なぜなら、「諦めるかどうか」という選択権をあなたが握っているから。その選択権すら握れない場合もあるのです。もっと簡単に言えば、諦めなんてただの選択肢。選択できるだけ、余裕がある、ということ。

私は小さいころから、なんとなく大人になったら結婚するのが当然で幸せなんだと思っていました。だから、結婚に対しては前向きで、夫婦にあこがれていました。しかし、介護が始まったことでその状況が一変します。在宅介護で家からはほとんど出ず、まず人と会うことがなくなった。そして日々に追われ、流行などを気にする余裕がなくなった。自分が将来どうやって生きたらいいのかも不透明。そんな中、ある日こう言われました。

結婚したいと思っているなら、外に出なさい

まぁ、ごもっともと言えば、ごもっとも。数打ちゃ当たるじゃないですが、出ないよりは出たほうがいい。今の時代アプリなどもありますが、使えるものは使ったほうがいいというのは、確かにその通りです。でも、私は正直、言ってきた人を疑いました。この状況で、それを言うか、と

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介護で無職、結婚しても介護からは離れられない、働きに出られない。夫婦のことより、介護が優先になるかもしれない。そんな人を好き好んでもらう人がどこにいるんだと言いたくなる気持ちを抑えて、とりあえず「そうですね」と言いました。が、結婚を諦めないでとか、今でもそういうようなことを言ってくる人がいるので、嫌になります。

諦めているんじゃなくて、選べる状況ではないだけ。自分の置かれた環境などを顧みても、そんな選択肢が出てくるほど余裕がない。そりゃ、出来るもんならしたいさ、という気持ちと、現実とが戦うと、現実が勝つ現実を見ればほら、「それを選択できる状況じゃない」というのがわかるんです。つまり、私は結婚というものにおいて、諦めの選択権は握れない

だから、諦められるっていうのはすごく幸せなんです。だって、夢を追える環境にいるから。努力できるステージがあるから。どんなにそれを望んでも、それに手を伸ばしても、手に入らない人もいる。そう思うと、諦めるというのは余裕がある人・場合の行為なんですよね。目の前に腐ったキャベツを置かれても、狭く汚れたケージの中で飢えているうさぎはそれを食べるしかないのです。おなかを壊すとか、味がまずいとか言っている場合じゃない。生きていくためには、今の空腹を解決しなければいけないから。腐っているから食べるのを諦めた、といえるのは、ちゃんとした家や施設で飼われているうさぎだけなのです。

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だから今、何かを諦めようとしているあなたは、とても幸せです。後ろめたいとか思わずに、諦めという選択をしてください。諦めるのは悪いことではない、幸せなことです。諦めたって、その先でいいことがあるかもしれない。諦めも一つの選択肢。ぜひ、有効に活用してくださいね

今回は、諦めについてお話をしました。思っていたより文章が長くなってしまいましたね……反省。諦めてはいけないという強い言葉に悩んでいる誰かや、困っているどなたかの心が、少しでも軽くなればいいなと思います。

きっかけアクセサリー作家の、音海奏乃でした。

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