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ヤドカリよ、自信を抱け

こんにちは。きっかけアクセサリーのお店カナ・ノワール堂、店主の音海奏乃です。

突然ですが、お客様の中にどなたか自信をお持ちの方はいませんか? と言われたら、どうしましょう

今回は、ヤドカリマインドな音海奏乃と自信のお話。実は先日、ハンドメイド関係でお世話になった(今もなっている)方の投稿に、ふと自分を見つめ直すきっかけをもらいました。なので、ヤドカリマインド式、自信の抱き方をレクチャー……できるほどではないので、どうやって自信と向き合ってきたか、綴っていきましょう。

ちっちゃな頃からヤドカリで

大学通って変わったよ♪ ……なんて歌っている余裕はなかった、子供のころ。自信があるかないかで問われたら、昔も今も大してありません。というより、今は自信を持つという概念を捨てました(えっ)

長女だったこともあるのか、子供のころから「できて当たり前」という環境で育てられました。立ったら歩け、歩いたら走れ、とは言いますが、まさにそんな感じ。褒めるより先に、もっと出来ないでどうする、と言われてきました。

例えば、いつもよりちょっとうまく塗り絵が塗れたから見せに行くと、「もう少し影の付け方とか工夫すればいいのに」とか「私だったらこういう風な色の組み合わせはしない」など、必ずと言っていいほど、ほめ言葉ではなく指摘が返ってきました。今となっては「そんな感想聞きに来たんじゃないやい」と言えますが、素直だったあの頃は「そっか、まだダメだったんだ、へたっぴなんだ」と思ってしまいました。

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もちろん、先生とか友達とか、身近な人からは褒められるタイミングもありました。それでも、「まだ頑張れってことかな」と受け止めてしまい、素直に喜べませんでした。そうこうしているうちに大学受験をするのですが、そこでちょっとしかなかった自信が粉々になります。志望校はすべて落ち、最終的に駆け込んだ大学に何とか入学。もう自信もへったくれもありゃしない、という状態でした。

たどり着いた潮だまりにて

そうしてヤドカリは東京でおしゃれなキャンパスライフ……ではなく地道にアルバイトする学生生活を送り始めるのですが、ある日ハンドメイドを始めます。

きっかけは、どうしても欲しいアクセサリーのデザインが、ピアスしかなかったから。残念なことに、そのお店には金具交換サービスもなく、私にピアス穴も開いていない。でも、欲しかった。そこで思い出したのが、母がハンドメイドをしていた光景でした。アクセサリーを買って帰って、ペンチなどを使えば金具交換できるな、と思ってやってみたら、出来た。それが嬉しくて、今まで「人にやってもらわないとできないこと」が「自分で出来た」というのがまず自信の基礎として誕生しました。

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それから、家業の洋服屋でアクセサリーの販売を始めて、それが売れて、さらにオーダーメイドの注文までいただけることになり、それが少しずつ基礎を補強していきました。そろそろ基礎の自信が出来てきたから、家でも建ちそうだな、なんて思いましたが、しかしまたそれも、ダイナミックに崩れ去ります。そう、介護です。

自分を信じること、略せば自信

本当の語源はわかりませんが、今では自信をそういう風に解釈しています。

介護が始まると、初めてのことばかりでうまく対応できず、自分の時間も無くなり、「出来ていた自分」への信頼を無くしてしまいました。ここでは詳細を省きますが、一度なくなったものを小さなヤドカリのはさみで拾い集めるには、かなりの時間がかかりました。

小さく砕けた自信のかけらを拾い集めながら、ある日ヤドカリは気づいたのです。「自信って、自分(の能力)を信じることか」と。例えば、今日はいつもより1品おおくおかずが作れた、とか、いつもより30分早く家事を終えた、とかとか。そういう小さなことでいいんです。それが達成できる能力を持っていたんだ、もっと自分の力を信じていいんだ。それがやがて、「あれもやってみたい」につながって、「あれができた!」になって、また自信の基礎となっていくのです。

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だけど、もし出来なかったら? 目標を立てていたのに、間に合わなかったり行きすぎちゃったり、達成できないと自信を無くすのでは、と思った方もいると思います。そんな方におススメなのは、「目標を投げ捨てる」です。乱暴ですが、目標を立てなきゃ、守るも守らないもありませんよね。出来なかった、と落ち込むくらいなら、ちょっと強引ですが、最初から目標なんて投げ捨てましょう

そういうわけで、自信は持つか持たないかではなく、「信じているかどうか」という風に解釈を変えています。大体、持つか持たれるか、みたいな言い方だとイメージが沸きません。いったい、どこに持っているんだ、心の中? 頭の片隅?? 日本語としての自信という文字の使い方だと私は息苦しさを感じるので、自分なりに解釈して使うことに決めました。そうしてからは、自信があるとかないとか、持ったとか持たないとか言われても「あ、そうなんだね」で聞き流せるようになりました。

自らの信条を抱いて、一歩ずつ

そんなわけで、ヤドカリは、その小さな殻の中にちょっとずつ自信のかけらを今日もマイペースに集めていくのです。比べるのは、この前同じ事をした自分と。他人と比べる時間に、効率よくする方法を考えたり、ハンドメイドパーツの組み合わせを考えたり……。そんな風に、小さなことから自分を信じていく、そういう生き方に変えたら、前よりは楽になりました

今でも「自信があるんですか」と聞かれれば、「特にないです」と答えますが、自分のことは信じています。なので、その場で自分が出せる力を出すだけです。それがたまたま、相手に自信を持っているように映れば「自信がある」になりますし、映らないなら「自信なさそう」になりますし、そう考えると、自信のありなしって、他人基準な部分があるのかもしれませんね。

最後に一つだけ、自信について書いておきたいのが、「証拠集め」です。ディティクティブヤドカリ(ここにはぜひあなたのお名前をいれて気分を盛り上げてください)、証拠を集めておくことはとても大切です。というのも、例え自分では自信がない状態でも、「こういうものを作った」とか「こういう絵を描いている」「こんな時短テクニックをノートに書いた」とかの「証拠」があるだけで、他の人に見せることができます

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実は私も、これで救われたことがありました。介護をして、世間からはぐれて、「普通の人とは違っちゃったのかな」と思っていたときのこと。ハンドメイドのサイトを見てくださった方が「こんなに素敵なサイトをお持ちだったんですね!」と言ってくれたおかげで、「自分はしっかりやってきていたんだ」と立ち直ることができました。時間がない中、これでいいのか不安になりながら、売り上げの実績がなく焦っていても、その言葉を思い出すと、今でも頑張れます。お世辞かもしれないですが、それでもその時の私にはプラスに聞こえたのだからそれでいい。このハンドメイドサイトと作品という「証拠」があったことで、今でも救われています。

自分に自信がある状態であればそれが一番理想です。ですが、そう思えない時もありますよね。だからといって、落ち込むのはまだ早い! 自分では良いものに思えなくても、見る人が見れば魅力的に見える場合もあります。他人がほめてくれた時のほうが、客観的にみられる場合もあります。だから、そういうタイミングが来た時のためにも、「証拠」を捨てずに、集めておいてくださいね

今回は、ヤドカリマインド式、自信との向き合い方についてお届けしました。なんら参考にはならなかったとは思いますが、こういう考え方もあるんだな、という参考になれば幸いです。

自信は、自分を信じることです。持つものでも、比べるものでもありません。自分を信じて、自分らしく輝ける、それが一番の「自信」だと、ヤドカリもとい音海奏乃は思うのでした。

きっかけアクセサリーのお店カナ・ノワール堂

音海奏乃

ギャラリートップ用 (2)


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