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猫作家『仲田愛美展』によせて

先日、銀座へ
猫作家、仲田愛美さんの個展を見に行きました。
(*以下、愛ちゃん)

『強さとは』

愛ちゃんは
革雑貨メーカーでデザイナーをしていたときの
かつての同僚です。

愛ちゃんは
明るくて思いやりがあって
女の子らしいパワーの持ち主です✨💪^_^

一昨年の6月、zoomで
12年ぶりくらいに顔合わせをしました。

年始に展覧会のDMをもらって画廊をたずねたところ
ちっとも変わらない愛ちゃんの秘めたエネルギーに
20代の頃のような気持ちになりました。

「こんなに、ちゃんと絵について話したの初めて」

愛ちゃんはたくさんお話ししてくれて
特別に甘やかしてもらったみたいで
嬉しかったです。

絵は本来、好きにイメージして楽しむものだけど
こちらが全く気づきもしないことを
作家の口から直接聞くのは驚くし
思いもしない視点に思わずにんまりします。

この記事では主に
私が感じたことを書きます。
絵について知りたい方は
ぜひ愛ちゃんに直接、聞いてみてください^^。

「タイトル、わかってるなと思って。」

夕方ふらりと来たギャラリー巡りの女の子がこう言って
なるほど、と思いました。

愛ちゃんの作品は
名前(コンセプト)が愉しいです。

タイトルだけで一気に
絵が好きになってしまいます。
興奮してしまうし
背景を知りたくなってしまいます。

タイトルを考えてからラフスケッチを描く、
と聞きました。

描いたものは愛ちゃんにとって
切実なことなのだろうと思います。

男性は、ちょっと分からないこともあるらしい…
そりゃそうです。

男の子は女の子がわからない(だろう)し
私もママをしている女の人の気持ちは
聞くまでわからなかったもの。

『みんなイエネコ』

この『みんなイエネコ』は
好きな絵の一つです。
幸せを感じます。

幸福な絵というのは
こんな幸福なバター色をしている気がします。

私は奈良美智さんの描く
背景がアイボリーとか
クリーム色の絵が好きで、
そういう色合いの絵を見ると
反射的に良いなあと思ってしまいます。

『イエ』というモチーフも
居場所がある、という象徴みたいで
それだけで幸せです。

子供のころ、門限までに帰らないと
庭に出されたまま
鍵をかけられてしまうことがありました。

だんだん闇におおわれて
家の中には灯りがともって
ひどくせつなかったです。

今はもう、そんなことはない。
そのことを思うだけで幸せです。

すぐに売れてしまった2枚

『黒猫と紫陽花』
『溺れよう♪』

この2枚は
きっと最初に売れてしまうと
愛ちゃんが予想した絵。

『溺れよう♪』は愛ちゃんが今回
一番気に入っている最新作で
愛嬌があって
「元気がありあまっている」
という感じで、可愛いです。

私の好きな絵

私は女の子のいるコーナーが好きです。

絵の数は4点。
ちいさな絵で、
おとなしい絵。

猫作家としての期待に応えない(?)
作家自身が
自由に描いているふうの絵です。

『私の中の宇宙』

華やかで自己主張が強くないと
埋もれてしまいそうな世界に
こんな一角があることを
いとおしく感じます。

こういう絵こそ作家自身の
素を知ることができます。

作家が好きで描いたもので
『力を抜いた絵』と『力を込めた絵』の違いを
推理するのは楽しいです。

そうすると作家の絵に対する印象が変わって
別角度から自分なりに
見れるようになったりします。

私の過ごした幸福(な無駄)と違う
他の人の幸福を知って
今まで分からなかった人の気持ちが
ほんのり分かった気がしました。

愛ちゃんは自分と絵との距離が近い作家さんだなあ
と思います。
エッセイを読むように観ることができる絵。
物語を感じる絵。

『変わるものと変わらないもの』

『変わるものと変わらないもの』は
愛ちゃんの絵に対して私が
それまで持っていた印象を
一瞬で覆した絵です。

なんて軽やか。
なんてユーモラス。

絵から、デザインの要素を感じるのが好きです。
色のバランスも面白い。

蝶々になった女の子が
下着をつけているのも素敵です。
(少しお化粧もしています)

猫好きさんには人気がない、と聞くと
なおさら嬉しくなります。

『猫作家・仲田愛美』を知っている人は
愛ちゃんが下着姿の女の子を描くことに
びっくりするらしく・・
へええと驚き、納得します。

どんな人も立体的で
一人の中に矛盾する面を持っていて
でも、つい一番目立つ面で
その人の全体を見てしまいそうになるものです。

私も知らず知らず
誰かにイメージを押し付けることがあるかもしれないな
と少し反省。

『あなたが増やすか私が減らすか』

『あなたが増やすか私が減らすか』は
愛ちゃんのお気に入りの絵です。

ハートがおおければ
相手にあげれば良いのかなあ。

でも、ハートをあげられないとき
どうすれば良いのだろう。
見守ってあげるだけかなあ。

愛ちゃんはしっかり者だから
きっとパートナーに
たくさんハートをあげられるね。

『涙で育つ花』

涙はふつう哀しいときに流すものだけど
この絵は哀しい気持ちがしません。

「今、与えられてるものも
たくさんあるでしょう」
と言われてるみたいです。
色合いも、やさしい絵。

『出会い』
『春が聞こえる』
『誓いなんて無意味』

猫と草花たち。

DMにもなった『誓いなんて無意味』は
宇宙を描いて途中で猫が登場したそう。
愛ちゃんにとって猫は
必殺技みたいなものかな。

「誓いなんて無くても大丈夫(怖くない)」という意味にも
「誓いなんて(そもそも)無意味」という意味にも
「誓いなんて無意味(口じゃなく態度で示そう)」という意味にも見えます。

見る人が自由に想像できる、という見方もできるし
時々によって違うメッセージを受け取ることができるのかもしれません。

『幸せはつかまえちゃだめ』

『幸せはつかまえちゃだめ』はタイトルに惹かれる絵です。

「なんで幸せはつかまえちゃだめなの?」
って愛ちゃんに聞いてみました。
知りたいじゃないですか?

愛ちゃんの答えは・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
「幸せはつかまえるものじゃなく、感じるものだから」

・・・
なるほど〜!
とも思うし、まどわされます。

『幸せはつかまえなくちゃだめ』
という絵もそのうち
生まれるかもしれません。

『何にも染まらない黒猫になりたい、
何にも染まれる白猫でいたい』
『自分で自分を閉じ込めた』

『自分で自分を閉じ込めた』という絵は
「籠の中は自分が選んで入るのだけど
自由に出入りできたら良いな
(女性は自由が少ないから)」
という想いがこもっているそうです。

私は自由だから
籠は良いなあ、と思います。

仕事なり家庭なり友達なり
居場所があっても
元々どうしたって人間は
自由という気がします。

愛ちゃんは、ほんとうは
いつもいつも籠に入っていたいはずだ、
と疑っています。

いつもいつも籠に入っていたい、
と思うのは可能なのに。

『恋』
『愛』

『恋』と『愛』は連作。

愛ちゃんの絵を見ていると
ファンタジーの世界に逃避してしまいます。

私の描くファンタジーとは違うけれど
女の子は概ね
共感できる世界のように思います。

ふだん現実と向き合いっぱなしの私は
ひとときファンタジーの世界に
どっぷり浸って満足(^.^)。

現実好きな私は
この後、現実に戻るのも楽しみです。

話が逸れるけれど
女の子と対面で会うとき
SNS上よりなんだか仲がいいような気がします。
この『恋』と『愛』の絵みたい。
女性は感情が強いからかしら。

時に美しく、時に不思議です。

男の人だと清らかに
1なら1のまま保たれるというのが
おもしろいです。

『虎を被る猫と虎を隠す猫』

『虎を被る猫と虎を隠す猫』。
自分はどっちだろう?と考えたのですが
もしかしたら人は
どちらの面も持っているのかもしれません。
あなたは、どうですか?

たった一人のために描くということ

愛ちゃんは基本的には
描きたい絵を描く作家さんだと思っています。

かつてメーカーで修行した愛ちゃんは
「人が求めるものは何か」も知っています。

もちろん、おおくの人に愛されたほうが嬉しいけれど
絵は一枚しかないから
たったひとりの心に深く刺されば幸せだね。

『何色になるかな』

広く愛されるのも
深く愛されるのも
かんたんじゃないけど
絵の可能性を信じて
その難しさと楽しさに向かいあって
20年余の愛ちゃん。
素直にすごいなあ、と思います。

絵が少しでも気になったら
ぜひ愛ちゃんに会って
話をしてみてください。

親しみやすくて愛があっておもしろいこと、
請け合いです(^-^)/
(そして、本物の絵はやっぱり良いです…!)


画廊宮坂『仲田愛美展』

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金光香織(@kaolily_111)

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