見出し画像

本を処方する

誰かに紹介された本に、助けられた経験はあるでしょうか。

今回は「本を処方する」をテーマに5冊を紹介します。

1. 心と体がラクになる読書セラピー(寺田真理子)

著者自身の壮絶な経験をもとに、本を「読む薬」としてすすめ、「読書療法」を紹介しています。読書には多くの効能があり、問題解決の援助、行動変容、読解力・語彙力・発信力・集中力の向上、苦痛やストレスの軽減、なんと死亡率低下にもつながるそうです。イギリスではプライマリ・ケア医と司書が連携して、本を処方するサービスもあるのだとか。

絵本や詩集、写真集も紹介されており、そのときの気分や体力に合わせて読めばよいとわかりました。同じ著者で『うつの世界にさよならする100冊の本』もおすすめ。

2. 副作用あります!?人生おたすけ処方本(三宅香帆)

20代の書評ライターが、独自の視点でシチュエーションに合わせた本を紹介しています。そのシチュエーションが「お風呂にはいりたくないとき」「面白くない映画を観たあとに」「おじさん・おばさんになりたくないとき」・・といった具合でおもしろい。「人生そんなこともあるかもね」とくすっと笑いながら読んでしまいます。頼りになる友人が一緒に悩んでくれているような、温かい気持ちになれる本です。

語り口調が親しみやすく、熱い気持ちが伝わってきて、三宅さんの文章はハマってしまいます。手を出しにくい名著のハードルを下げてくれる天才!『人生を狂わす名著50』『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』も好きです。

3. 出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと(花田奈々子)

ヴィレッジヴァンガードの店長をしていた著者の体験談です。私も人に本をすすめられるようになりたいなぁと思っていたときに、衝撃を受けました。世の中にあふれている本のことを知らないといけない。相手がどんな人か知る必要がある(そもそも本を読みたいと思っているのか?)。そして、どうしてその人に読んでほしいのか、自分なりの理由も説明できなければならない。楽しそうだけれど、奥が深い行為だと感じました。

出会った人たちも、紹介した本もバラエティに富んでいて、世界が広がります。引きこもりがちな私でも、いろんな人と話がしたくなりました。

4. お探し物は図書室まで(青山美智子) 

2021年本屋大賞2位の話題作。さまざまな年代の人たちが町の図書室を訪れ、人生の悩みと向き合っていく物語です。本のリスト(意外な選書にヒントが!)と羊毛フェルトの「付録」をくれる司書さんがチャーミングで、癒やされます。進むべき道に迷ってしまった人に「何をお探し?」と声をかけ、お礼を言われても「見つけたのはあなたです。」と黒子に徹する。支援するというのはさりげない仕事なのだと学びました。

主人公の悩みに、自分の悩みを重ね合わせて読むこともできると思います。子どもから大人まで楽しめる作品です。

5.  一万円選書(岩田徹)

北海道の小さな書店が行っている選書サービス「一万円選書」が話題となっています。店主が一人ひとりの人生に向き合って本を選ぶ。その際に重要な「選書カルテ」は、本人が自分の人生をふりかえるツールになっています。誰にでも悩んでいることがある。自分なりの答えをだすために、本が手助けしてくれるのだと思いました。

いわた書店で一番選書しているという『カーテンコール!』を早速読みました。贈り物のような美しい表紙を開くと、社会での生きづらさを包み込んでくれる物語が待っています。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?