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読書雑記『すてきなあなたに』

「でも、どんな宝石より、私は生きている花の方が、ずっと素晴しいとおもうのです。事実、その方が、おしゃれに見えますね。第一、こうやって、二十年も前のバラの花一輪のことを、あなたは、おぼえていて下さるんですもの」

『[ポケット版]すてきなあなたに 01』
大橋鎭子/著 暮しの手帖社 283頁より

このエッセイのすてきなところは、日々の細やかな観察と心持ちの清々しさにあります。

とくに背伸びすることなく、飾りたてて素敵さをアピールするでもない。
自分が良いと思うこと、あたりまえの日常で見つけた小さな発見、出会ったすてきな方たちとのエピソードなど。
読んでいると目がさめるような。生活を楽しむことは、すてきなことだと気づかせてくれる本です。

すてきなあなた、とはどんな人だろうか。
美人な人だろうか。
それとも所作の美しい人か。
自分を常に磨いている人のことか。
そのどれもが美しい人であり、間違ってはいないと思います。

私も、今まですてきな人にたくさん出会ってきました。憧れたり、良い刺激をもらったりしました。
その人になりたいと思うのではなく、その人のように、生き生きとしていたいと憧れます。

「すてきなあなたに」なりたくて、自分や暮らしを磨いていくことは美しい。

古風な物言いの文章が、ときには堅苦しく思われるかもしれませんが、読めば気持ちが少し明るくなる気がいたします。

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