読書雑記『MONKEY vol.7』

雑誌で読んだ、作家のカズオ・イシグロさんの言葉が強く心に残ったので、備忘録として書いておきます。

雑誌『MONKEY vol.7 特集 古典復活』2015年10月15日発行(173頁)
カズオ・イシグロ「これから小説を書く人へ」より引用

まず何より、作家であることと、小説を書くこととの違いをはっきりさせないといけません。作家というのは、はたから見ると、毎日出勤しなくてもいいし、通勤も不要だし、昼間はカフェの隅とかでノートパソコンを広げて、夜はこういうイベントに行って聴衆の前でお喋りをして……いかにも素敵な人生に思えます。ですが、作家であることにはもうひとつの側面があります。書かないといけないのです。ものすごく長い時間、コンピュータ画面か紙に向かって物語を考える。やってみると、そういうことに向いていない人がものすごく多いのです。二、三時間続けるのすら耐えられなかったりする。 ー(中略)ー
とにかく私がいつも強調するのは、本当に書きたいのかどうかよく考えなさい、単に作家という地位が欲しいだけではないのかどうか考えなさい、ということです。誰かがあなたのところに来て、何らかの理由で、君の作品はどんなにすぐれたものであれ絶対に出版されないよ、誰も君の作品を読まないんだよと言ったとして、それでも書きたいか? その問いの答えがイエスでなければいけません。でなければ、書くことはお勧めしません。

読後。
うむ。
さあ書こう。

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