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読書手帖 「暗幕のゲルニカ」原田マハ

500ページにも及ぶ長編「暗幕のゲルニカ」

5、6時間かけて一気に読了。
昨年読んだ「楽園のカンヴァス」同様の長編作品ということもあり、一気に読める時間を探し、ようやく先週末にまとまった時間が出来たので読書をじっくり堪能しました。

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物語は2003年のニューヨークと、1937年のパリが時を隔てて同時に進行。

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1937年パリ、登場する人物は2名を除き実在し、史実に基づいた内容が綴られ、2003年ニューヨークを舞台にした登場人物は架空。
1章ごとに時代を超えたパリとニューヨークでの話が進み、読んでる最中は自分も都度、パリとニューヨークにタイムマシーンで飛んでいるかのような気持ちを錯覚するほど、引き込まれていました。

ピカソが描いたゲルニカ。この絵の持つ意味を深く深く知れたことが良かった。

一つの作品が出来上がるまでの背景、そしてその作品が時を経てどのような旅路を辿り今どこにあるのか。想像を絶する困難で激しい旅路を歩んだゲルニカ。ここまでも人の心を動かして、そして時に人を狂わせた作品に興味が湧き読書後、作品について調べようと(ネット検索だけだけど・・)、紛れもなく史実に基づいたストーリーである事が改めて分かり、歴史も政治も何もかもが気になって仕方ない状態が今です。

そして何より、ドラ・マールと八神瑤子、強い2人の意思と生き様に惚れ惚れ。自分の大切なものをどこまでも守り抜き、その為には自身を犠牲にでも出来る信念の強さに胸打たれました。また、豊かな感情、やさしさなどがひしひしとページをめくる度にドラと瑶子に会いにパリとニューヨークに行きたい気持ちが芽生えたほど。

800円でこんな喜怒哀楽と旅のような体験をさせてくれる「本」って、つくづく素晴らしい文化だなと思えた一冊です。

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