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「君たちはどう生きるか」鑑賞5時間後に書いた初見感想考察&三幕構成の分析

もしこの映画を一言で表すなら、それは「●●●●●●」の物語なのかな、と。
(中略)
だから正しくは「●●●●●●●●●●●●●●」っていうってことなのかな、と解釈しました。


ご無沙汰してます!!!!すみません!
相変わらず駆け出しなBL同人作家の鴨尽です。

先月下旬に脱稿してから、おあずけにしてたゲームを解禁してハイラル救ったり2P漫画描いたりRiJに熱狂したり1000DLお礼イラスト描いてたり次回作に向けて下調べしてたりしたら8月が終わりかけてました……嘘だろ…

一応インプットもいろいろやってて、今日も朝から映画を観てきました!
スタジオジブリの「君たちはどう生きるか」です。

以下、完全にネタバレを含んだ出来立てホヤホヤ初見感想を書き殴っておりますので、未見の方はご注意ください!





但し書き

・前提として、私はこの映画をとても良かったと思っています!いろんな想像を巡らせてドキドキしながら観させていただきました。

・映画を観終わった5時間後に覚えている範囲のことを書いた内容になりますので、見間違い、勘違い、覚え間違いなど多々あるかもしれません!

・noteの記事にするためメモを整理した際に登場人物の名前だけは調べてあります。が、他の方の考察や感想などはまだ目にしていない状態の文章なので、だいぶ頓珍漢なことを言ってるかもしれませんがお許しください…

・普段漫画を描いているのもあって自分なりに考察したり物語の構造を分析するのが好きというか癖なので深読み多めです!考察厨ぎみかも!


(たぶん)時系列順の感想

ここからはザクザク書いていきます!

・導入、戦火のシーン

実は、ネタバレは踏まないようにしていたもののチケット買おうとしたときに誤って開いてしまった映画.comで眞人の服装と自然が多い背景のスチルを見てしまっていたので、「ああ〜〜〜〜もしや戦時中の話なのかなこれ〜〜〜〜」ぐらいは心構えがありました。。

でもまさかいきなりお母様を亡くされるとは…この後の話でもずっとキーになる場面というのもあってなのか、炎のカットがとても印象的でした。

・自ら石で怪我をするシーン

このシーンを観たとき、眞人はかなり聡い子なんだなと思いました。
初めは「多分世間における自分の地位が分かってて、たとえ吹っかけられたケンカだったとしても勝者、加害者になってしまってはただの弱い者いじめになってしまって父親の立場が危うくなるのを懸念して被害者然として振る舞ったのかな」って思ったのですが、後々の描写を考えるとこれは単に学校に行きたくないとか、そういう利己的な自演だった、っていう描写でしたね。

もちろん眞人は実際にとても聡い子供でしたが、ちょっと深読みしすぎたな……恥ずかし………!
(そも時勢的に負けるなんて何事だ、男は強くあるべき、っていう価値観が強かったりもするのかもしれないし…でもお父さんは別にそうでもなかったか…)

・アオサギに見せられた偽物の母

水に溶けるように消えたけれど、この作品においての実母のモチーフは火だと思うので、あれはどちらかというと継母である夏子の偽物だったのでは?と観終わった後に感じました。
上手く言語化できないのですが、眞人の中で夏子をまだ母さんと認めきれないまま偽物の夏子を「母さん」だと認識したから自分の感情と齟齬が生じたんじゃないかなって…(こじつけ)

・異界へ

あの世界の正式名称が分からないので、仮に異界と呼ばせていただきます。(作中での名称を見落としてたらすみません)
腕時計でちらちら時間を計りながら観ていたのですが、上映時間のちょうど半分あたりのところが異界に誘われた場面だったと思います。
つまり、三幕構成でいうところのミッドポイントがここ。(のはず)

…とかいう分析をするまでもなく、作中で一番大きな転換シーンでしたよね!

(ふーむ?ここは冥界?幽世?あの世?)
とか考えていると、眞人は「上から来た」っていうし、「生きている奴は少ない」し、「ワラワラ達が上に昇ると現世で生まれる」って言うから
(完全に黄泉とかそういうとこじゃん!!!ヨモツヘグイ的な意味でご飯食べたらあかんのちゃう?!)
ってひやひやしながら観てました。

それでもキリコが用意してくれた炊きものに手をつける前に水を飲み、外へと出たので
(水だけなら煮炊きしてないってことでヨモツヘグイ回避か…?!)
と思いきや結局その後にちゃんとご飯もいただいてそうでしたね…

詳しくはこの感想記事の統括部分で書こうと思うんですけど、たぶんこのこともあって眞人は、一度は完全に異界の存在になっていたのでは…?とも思ったりしてます。いやわかんないけど。

・大叔父さま、ペリカン、インコたち

※ここらへん展開に気圧されてかなり記憶が曖昧です!めっちゃ適当書いてるかも!!!!

途中のペリカン一族の境遇とか、インコたちとの軋轢とか、そういう現実にも通ずる立場の違いによる終わらない争いや恨み合いの連鎖が無い「綺麗な世界」を大叔父さんは本当は作りたかったんだろうけど、結局それらは最後まで成せなかったのかなと…

あと積み石として使われていた石について、あれは
 ・空から降ってきて大叔父さまに力を授けた石神さま(正式名称を思い出せないので間違ってるかもしれませんが仮にそう呼びます)
 ・あの黄色い三角の通路の素材
 ・産屋の素材
(ビジュアルでいうとバチバチしたエフェクトが出てたやつ)
とかと力を同じくする石なんだろうけども、持ち主?や使い主?触れたニンゲン?によって危険な力にも純粋で美しい世界のための力にもなるというのが、現実の兵器というか技術に対する暗喩も入ってるのかも?と思いました。
(例を挙げるならダイナマイトとか)

最後にインコ大王がデタラメに積み上げて世界ごと壊しちゃうのも、なんかそういう兵器保有じみた要素を感じました。
あの積み石はギリギリのバランスで成り立っている世界の記号化そのものだと思いますし…作中の時代背景を考えても。。

・異界の崩壊

世界が壊れ、水が溢れる描写は破水のオマージュ?と思ったのですがその後現世に帰ってきた後、夏子の子供はまだ生まれてなさそうだったので該当シーンの直後は考えすぎかぁ〜〜と思いました。

が、あの世界自体が”産まれなおした”と考えればあながちそうなのかも?

ここもかなり設定うろ覚えなので間違ってるかもですが、
・大叔父さんの血縁しか世界を司れない
・少女の姿のヒミでは務まらないらしい
・身重の夏子さんと、それを逃すまいとする石神さま
→状況からすると、石としては老いた管理者である大叔父さんの代わりに新しく生まれる無垢な赤ちゃんを新たな管理者として据えて、世界を存続させようとしていた?

なんかモノリスみあるんだよなあの石………

しかし結果としてヒミも夏子もその子供も、大叔父さまが後継として立て(ようと見せかけ)た眞人も、世界の管理者を継ぐことはしなかったので崩壊したのだと思うのですが、仮にあの洪水を破水と見立てるならば、まさにこの異界から眞人たちは現世へ産まれなおした、ということになるのではないかと。

特にヒミについては眞人視点では既に死者なわけで、それでも眞人と同じように自分の時代の扉を潜り抜けて再び生を受けているわけで…

・火は綺麗だもの

ヒミと別れる際に眞人がヒミ…というか実母の最期を案じて訴えますが、ヒミは「火は怖くない」だか「素敵」だか「綺麗」だかって言っていたと思います。(うろ覚えにも程がある)

…作中の人物への感想ではなく多少メタな視点での感想なのですが、このセリフに関してはどちらかというと遺される側の「そうであってくれ」っていう祈りのように感じました。
お母様は恐怖のうちに火に巻かれて亡くなったのではないと。

個人的に作中で一番「制作側の感情」を感じたシーンです。
それが監督をはじめ、戦火の時代を生きた人の祈りなのかな…と。
(戦後に生まれた自分が察するにはおこがましすぎるかもしれませんが…)


物語全体の構造についての分析

漫画描きらしく物語の構造的な分析もしてみようと思います!
といっても、先ほども軽く触れた通り構造としてはかなりオーソドックスな三幕構成ではないかな…?と思います。

細かく分けてみると多分こんな感じかな?
【第一幕 (冒頭〜アオサギ登場ぐらいまで)】
・全体の約25%
・状況説明が主
・第一幕の終わりにあるプロットポイント①(転換点)→自ら石で怪我をする

【第二幕 (弓矢での応戦〜積み石をする大叔父さまと出会うぐらいまで)】
・全体の約50%
・主人公の葛藤や対立が主→アオサギを追い詰め、異界に渡り、アオサギ他と対立したり葛藤(夏子への想い)しながら夏子を探す様子
・第二幕及び物語全体のど真ん中にあるミッドポイント(重要な事件)→異界へ渡る

【第三幕 (種明かしパート〜エンディング)】
・全体の約25%
・解決パート
・第三幕の始めにあるプロットポイント②→異界の真実について大叔父さまから話を聞く

手元でチラ見してた時間配分からしても、おおよそこの流れだったかなと思います。
世界観の独特さや、直接的でない説明が多い種明かしパートの演出等でちょっと難しい話という印象もあるかもしれませんが、物語の構造としてはかなり王道だと思います!

また、歴代ジブリ作品のオマージュを強く感じました。
私はすべてのジブリ作品を観たことがあるわけではなく、せいぜいナウシカ、トトロ、魔女宅、ラピュタ、もののけ姫、千と千尋、ハウル、ポニョ、風立ちぬ(あとおぼろげな記憶の紅の豚、ぽんぽこ、耳すま、猫恩)ぐらいの浅い知識しか持っていないのですが、ジブリの集大成を感じる画や演出が多かったです!

恐れ多くも正直な感想を申し上げると、最後のまとめ方と種明かしはやや急ぎ足&想像の余地多めに感じたのですが、歴代ジブリを観てきた観客であれば、詳しい設定までもは理解できなかったとしても文脈からなんとなく理屈が分かるようになってると思います。

同じく今年公開されて話題になっていたマリオの映画(私も楽しく観ました!)に対しても似たような評論をお見かけしましたが、ファン層が厚く、また受け手側を信頼しているからこそ出来る過剰な説明を省いた演出だと感じました。
(マリオの映画については、もし事前知識全くなしの単一の物語として見た場合、意外と「なんでキノコでパワーアップするの?」とか「亀とキノコと猿と……?どういう世界観」???ってなるところを、あまりにも有名なマリオのお約束が世間に浸透しているからこそ説明はしすぎずにエンタメに振り切った演出が出来たのでは、というような解釈です)

事前プロモーションほぼゼロで公開されたこともあって、ジブリファンや、映画好きなど、作品への解像度が比較的高いであろう観客をメインターゲットに想定しているのかも?
…とか生意気にも思いましたが事前プロモ無しとはいえこんなでけぇ規模のビジネスなんですしきっともっと幅広いお客さんにもちゃんと楽しんでもらえるように作ってあると思います!!!!!!

そもそも映像美だけでも十分二十分∞分に楽しめますし!!!!こんなややこしいこと考えて見なくても絶対に素晴らしい作品です!!!!!!!!!!!!!
眞人くんめっちゃかっこよかった!!!!!!!!!

たぶん同じようなことを私のようなぺーぺーの漫画描きが真似するとほぼ確実に事故ると思うので、そこら辺はしっかり肝に銘じたいと思います!!!!!!!!


まだあんまりよく分かってない部分

時系列の部分であんまり触れてこなかったのでお察しかもしれませんが、アオサギというキャラの意味するところが自分的にはまだピンときてなかったりします。
あんなにいっぱい役割持って動いてたのに!

とりあえず作中におけるアオサギの役割だけを羅列するとこんな感じですかね…
・主人公を異界へと誘った
・主人公を喰おうとした
・返り討ちにあった
・大叔父さんとは主従関係にありそうだった
・上映時間のちょうど半分、つまりターニングポイントで主人公の仲間になった
・主人公の窮地を何度も救った
・大叔父さんから主人公の友達だと称された
・崩壊する世界から主人公や母たちを救い出した
・主人公と同じ時間軸の現世に渡り、最後は友達だと認めつつも去っていった

ラストのアオサギから眞人に対する「これだから異世界素人は」みたいな発言からして、過去に主人公たちと同じように異界に渡って長い時間を向こうで過ごした人物なんだろうけども………他の鳥たちとも雰囲気が違うし、大叔父さんの従者だった人とか?普通になんか見逃してるかもしれない……

この記事を書き終わったら他の方の感想とか考察とか読んでみます!

(※一旦記事を書き終わったあとの追記↓)
他の方の考察など拝見させてきただいたのですが、なるほど、アオサギは友達そのものかあ〜〜…!!ああ〜〜!そりゃそうだ!

言われてみれば上で羅列した行動全部めっちゃいい友人のそれじゃんね………なんか友人というものに対する感情のウェイトが少ないみたいで自分のリアル友人にも申し訳なくなってきたな………ごめんよ…………いつもありがとう…………

物語上の役割ばっかりに囚われて素直に受け取れなかった自分の感受性のなさに辟易します!!!!

主に世界観や家族関係の方に目が行ってしまったせいで、アオサギという友人との関係性とか、眞人自身の悪意との向き合いについてのところとか思いっきりスルーしてしまってますね!!恥ずかしい!!!修行しなおします!!!
(追記終わり)


総括

私は、気になっている作品を見る際は出来ればまず自分だけの感想をしっかり持ちたいと思っているので、今回も(スチル以外の)ネタバレも賛も否も聞かずに観に行きましたが個人的にはとても面白かったです!!!

石の描写とか異界の成り立ちにはSF要素を強く感じましたし、同時に古来から続く念というか、呪いというか、民族学的な要素も感じて、どっちのジャンルも好き&考察の余地がある映画が好きな自分としてはかなり楽しんで観れました!

また、「なんのために生きるのか」というテーマの作品がそもそも好きで、だからこそタイトルに惹かれて観に行ったところもあるのでいっぱいいろんな感情を体験できて大満足です……!

せっかくここまで長々長々と感想をまとめたり分析をしたので、総仕上げも兼ねて最後に「もしこの映画を一言で表すなら?」について考えてみました。

もしこの映画を一言で表すなら、それは「生まれなおし」の物語なのかな、と。

時系列順の感想でも述べましたが、登場人物のほぼ全員が異界で煮炊きしたものを口にしていたり、現実ではすでに亡くなっている人も現世へと帰っていったりしてたので、最後の異界からそれぞれの時代へ帰るシーンは単に帰還したのではなくそれぞれが再び現世へと生まれなおしている描写ではないだろうか、と感じました。

しかし、実母であるヒミは過去に生まれなおしたものの眞人視点の現在軸では既に亡くなっているわけです。

つまりもっと俯瞰的な視点で見ると、眞人ですらあの現世への扉をくぐった時点で生まれたと同時に死ぬことも確定した訳で、だから正しくは「生まれなおしていつか死ぬまで」っていうってことなのかな、と解釈しました。

たいそうな書き方をしてしまいましたが、つまるところその生まれなおした人生を「君たちはどう生きるのか」ってことですね!
やった〜〜タイトル回収!(こじつけ)

…とかかっこつけて書いちゃいましたが、私は原作(というわけでもないらしいのですが)の小説は読んだことがないのではちゃめちゃな解釈してる可能性大です!!!!!!!!!!重ね重ねすみません!!!!!!


さいごに(自分語りなのでおまけ程度にどうぞ)


懐かしい人を夢に見て泣いて起きた後のような、そんな気持ちになった映画でした。

もちろん作中でも眞人がお母様の夢を見て泣いて起きるシーンがありますが、強い追体験をさせてもらったというか…

ここから5段落ぐらい自分語りで恐縮ですが、私自身も、もう10年ぐらい前に亡くなった祖父の夢を定期的に見ることがあって。
初めは夢だと気付かずに祖父とお買い物したり、お土産を渡したりしてのんきに喋ってるんですけど、絶対に途中で「あっ、これ夢だ、だってもうおじいちゃんは亡くなってるんだもの」って気づいちゃうんですよね。

そうすると、夢が覚めてしまうのがさみしくてさみしくて、目を開ける前から涙が溢れちゃって、結局目を開けてしまうっていうのがいつものパターンで。

たぶん私の場合は、亡くなる直前に会いに行った祖父が、あまりにも…なんというか、素人目に見ても「あっもう長くないんだな」って分かっちゃって、帰り際に祖父が「会いにきてくれてありがとうね」って握ってくれた手と表情が忘れられなくて、だから今でもたびたび夢に見るんだと思うんです。
まあ漫画ばっかり描いてる孫を心配してちょくちょく会いにきてくれてるのかもしれないんですが!

で、なんでこんな恥ずかしい自分語りをしたかというと、本当に偶然なんですけどたまたま昨日の朝、そんな祖父の夢を見たところだったんですよね。

昨日は「も〜〜〜〜おじいちゃんお盆にしてはちょっと遅いよ〜〜〜〜〜お墓参りは先週行ったでしょ〜〜〜〜〜」とか思ってたんですけど、なんか今日この映画を見て、泣きながら目を覚ます眞人くんにとても感情移入してしまって……

ただの偶然なんですけどね!お恥ずかしい!

最後まで観終わった後に振り返ってみると、作中で眞人くんが持っている君たちはどう生きるかの本に書かれた「未来の眞人さんへ」っていうお母様からのメッセージに込められた気持ちを想像すると胸に迫るものがあります。

異界での記憶はないはずだけど、もしかすると…って思えるのが素敵ですね!


以上!!!!!!!!本当に長い文章にお付き合いいただきありがとうございました!
なんか今回めちゃめちゃ真面目に文章書いて分析して、プライベートな話まで勢いで出してしまってめちゃくちゃ恥ずかしいです!!!!

耐えられなくなったらこの記事はそっと消すかもしれませんが、映画観賞メモ&物語分析のログとして一旦置いときます!

私はいい加減そろそろ次回作のプロットまとめます!!!!
では!みなさまよい原稿ライフを〜〜〜〜!

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